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「香りの可視化」でECでも新商品の購入を促す 老舗化粧品メーカー THE BODY SHOPの挑戦

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2019年07月23日 08:02  MarkeZine

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写真株式会社イオンフォレスト 営業本部 デジタルセールス部 斉藤正賢氏
株式会社イオンフォレスト 営業本部 デジタルセールス部 斉藤正賢氏
 Patheeの原嶋宏明氏が業界キーパーソンを訪ね、「リアル店舗におけるデジタル施策」や、これからの「リアル店舗の役割」について意見を交わしていく本連載。今回は、1976年設立以来、ボディケアアイテムを中心に展開してきたイギリス生まれの老舗化粧品メーカー THE BODY SHOP(ザ・ボディショップ)を日本国内で運営する、イオンフォレスト斉藤正賢氏の元へ。香りやテクスチャなど、実際に商品に触れなければわからない部分が購入の決め手となる商品が多い中、ECでも新商品を購入しやすくするために同社が導き出した解決策とは?


■購買フローはコントロールしない


原嶋:まず、イオンフォレストさんが考える、THE BODY SHOPにおける理想の顧客体験フローを教えてください。


斉藤:ECであれ実店舗であれ、どこでも同じようにお買い物を楽しんでいただける状態が理想です。当社のEC化率は約10%と、業界水準から考えると高いかもしれませんが、裏を返せば90%は実店舗でご購入いただいているということになります。



株式会社イオンフォレスト 営業本部 デジタルセールス部 斉藤正賢氏


斉藤:実店舗をご利用いただくお客様が多いのは、当社商品における購入の決め手の1つに「香り」があるからだと考えています。香りって、オンラインでは知りようがないですよね。そのため、使ったことのある商品はECで購入するけど、新商品は店舗で試してから、という方も多いです。


 私たちとしては、どこで買っていただいても良いと思っています。最初は店舗で体験していただき、香りやテクスチャがわかった製品はECで……というように購買フローをコントロールしようとするのは、事業者側のエゴでしかないので、それぞれのチャネルにおける購買体験をいかに高めていけるかということが大事だと考えています。


原嶋:おっしゃるとおりですね。斉藤さんもお話しされていたとおり、THE BODY SHOPの商品は、香りやテクスチャが重要な商品が主軸です。そんななか、ECを始めたのはどのような経緯があったのでしょうか?


斉藤:EC事業を開始する以前、実は店舗での購入とあわせて、電話やFAXで注文が入ることも多かったんです。当初は電話もFAXも受注に使っていたのですが、アーリーアダプターを中心に、徐々にECを使う方が増えていました。これからはインターネットからの注文が主流になるに違いないと確信し、当社も早い段階から対応したほうがいいだろうと思い、2005年からECをスタートさせました。


 そして、実は香りはオンラインで知ることができないという課題についてもある解決策を考えています。それが、「香りの可視化」です。


■「香りの可視化」で化粧品業界のEC事情が変わる?


原嶋:香りの可視化……! 詳細を教えていただけますか?


斉藤:実はまだ詳細はお話しできないのですが(笑)、香りを数値としてグラフ化したいと考えているんです。商品の香りを示す指標を表示させることで、オンライン上でも新商品を購入しやすくなるのではないかと期待しています。


原嶋:なるほど、おもしろいですね。ただ、グラフの数値を見ても、ユーザーには香りがピンと来ない気もするのですが……。


斉藤:一つだけを見てもピンと来ないかもしれませんね。そこに関しては、これまで購入したことのある商品のグラフと比較したりすることで、「この商品に近いのであれば、好きな香りだ」というように判断できるようにしたいと考えています。


 早ければ来年以降から挑戦したいと思い動いています。まだこうした取り組みは他にないので、かなりインパクトを与えられるのではないかと期待しています。


原嶋:業界的にも大きな変化となりそうですね! とても楽しみです。


■顧客IDの統合でお客様の“真の姿”を捉える


原嶋:店舗、ECと両方の体験を向上させていくということでしたが、店舗からECへの導線はどのように作られているんですか?



株式会社Pathee ソリューション事業部 原嶋宏明氏


斉藤:当社の場合、オンライン・オフラインの会員IDは2013年に統合しています。 そのため、店舗のお客様もECのお客様も分け隔てなくコミュニケーションが取れる仕組みは既に構築できています。


 店舗とECの顧客DBが別々に存在していた時は、それぞれでメルマガやターゲティングなどのアプローチを仕掛けており、お客様の状況を正確に把握することができていませんでした。たとえば、実店舗で購入した商品を気に入ってECで同じ商品を購入したお客様がいるとします。本当はリピートしていただいているのに、それぞれの販売チャネルで購入したということしかわからなかったのです。お客様の真の姿が見えていない状況でコミュニケーションを取り続けても効果が低いと判断し、DBの統合を図りました。


原嶋:かなり早い段階で、オンライン・オフラインの会員IDは統合できていたのですね。


斉藤:はい。当社はお客様の利便性を考慮して比較的早い段階で行うことができました。現在は実店舗もECも同じ本部に所属しています。


原嶋:実店舗もECも、本来追うべき指標は同じですしね。


斉藤:そうなんです。同じ部署にいることで同じKGIを持つことになります。よく起こりがちな実店舗とECの対立はほとんどなく、1つの目標に向かって一致団結できています。複数部署がつながり、融合しているという点では、組織そのものがオムニチャネル化できていると言えるでしょう。


 お客様に対しても理想的なオムニチャネルを実現するために、実店舗経由でのオンライン売上の見える化など、店舗での接客効果を明確にできるような施策に取り組んでいく予定です。やはり、香りとテクスチャーが重要である以上、店頭での接客は今後ますますキーになっていくはずなので、今後はより注力していきたいと考えています。


■「接客ノウハウの可視化」で顧客体験を向上


原嶋:店舗での接客効果を明確にするというのは、具体的にどのような施策でしょうか。


斉藤:まだ構想段階ではあるのですが、「接客ノウハウの可視化」を考えています。店舗で接客されたお客様が、その後オンラインで購入したかどうかは、現状計測できません。でも、その流れで購入いただいている方は一定数いるはずなんです。


 そこを計測できれば、売上につながる接客ができているスタッフがわかり、その接客ノウハウを社内で共有することで、お客様により良い購買体験を提供できるようになります。今後はアプリを軸とし、顧客情報の取得と活用を行っていきます。


原嶋:近日、アプリも大幅にリニューアルされるそうですね。アプリを提供されている目的と、リニューアルにおける注力ポイントを教えてください。


斉藤:アプリは既存会員様向けに提供していて、現在約70万DLされています。当社は「LOVE YOUR BODY カスタマークラブ」という会員プログラムを運営しており、元々はプラスチックの会員カードを発行していました。現在は店舗スタッフの協力もあり多くのお客様にアプリをダウンロードしていただき、デジタル会員証をご利用いただいています。


 ただ、当社の製品は毎週買うものではないため、カードを常に携帯されない方もいて、購入時にカードを忘れてしまうケースもあったんです。アプリ化すれば携帯する必要はなくなり、お客様の利便性向上に寄与できると考え、会員カードの代替としてアプリをリリースしました。


 現状は会員カード・ショップ情報・ショッピングカート機能など基本的な機能のみを実装していますが、今秋実施するリニューアルでは、THE BODY SHOPの理念やストーリーを伝える場所として活用したいと考えています。


■アプリでファンのエンゲージメントを高める


原嶋:理念やストーリー、ですか?


斉藤:はい。現在のアプリには、お客様に「もっとTHE BODY SHOPのことを知りたい」と思っていただいたとしても、提供できるコンテンツが多くはありません。そのため、アプリにブランドコンテンツを充実させていきたいな、と。


原嶋:ファンのエンゲージメントを上げる場として活用するわけですね。具体的にはどのようなコンテンツを発信していくのでしょうか。


斉藤:1987年からTHE BODY SHOP独自のフェアトレードプログラム「コミュニティトレード」を実施しています。創業者のアニータ・ロディックが、世界の貧困地域を救うのは「援助」ではなく「取引」が最も効果的だと考えたのが始まりです。


 同プログラムでは、生活向上に貢献したり、雇用機会を生み出したりなど、世界各国でコミュニティトレードを実現するための取り組みを行っており、各国でどのような支援につながっているかは「コミュニティトレードマップ」にまとまっています。


原嶋:素晴らしい取り組みですね。ブランド理念に共感してもらえれば、より強固なエンゲージメントが生まれそうです。


斉藤:そうですね。コミュニティトレード以外にも動物と森を救うバイオブリッジキャンペーンなど様々な取り組みを行っています。コンテンツを通じて、当社の理念に共感いただけるお客様とよりつながっていきたいです。


■コミュニティを形成し、新旧ファンの交流を促したい


原嶋:お客様とつながりをもつために、たとえば「コミュニティマーケティング」などはされているのでしょうか?


斉藤:まだ実施できてはいないのですが、まさに今後チャレンジしたい分野です。お客様の傾向を見ていると、コミュニティマーケティングがうまく機能しそうだなと感じていて。


原嶋:製品に対する想いを感じるときが多いということでしょうか。


斉藤:おっしゃるとおりです。先日、5月14日〜31日の期間限定イベント「オンラインショップハッピーフェスティバル」を開催しました。その際、お客様に「THE BODY SHOP関連のエピソードを教えて」と募集したら、数百件単位のメッセージが届いたんです。


 お客様の生活を彩る1アイテムとして我々の製品が役立てているんだろうなと思えましたし、同じ製品を好きなお客様同士でつながればより深いコミュニケーションができそうだなと。コミュニティマーケティングの可能性を感じましたね。


原嶋:今後の展望として、コミュニティがひとつのキーワードになってくるのでしょうか。


斉藤:そうですね。THE BODY SHOPが日本で第一号店を出したのは1990年で、もう30年前になります。30年の間でたくさんのお客様にお使いいただきましたが、中には離れてしまった方もいます。


 ただ、過去にTHE BODY SHOPの製品を使っていたという経験ってなかなか忘れないものなんですよね。そこで私たちが今のお客様とつながり、何か楽しそうなことをやっているように見えるコミュニティを形成することで、「またTHE BODY SHOPの製品に戻ろうかな」と思ってもらえる方を少しでも増やせていけたらと考えています。

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