日本で販売倍増! 好調マクラーレンに見るクルマ新時代への心構え

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2019年07月23日 12:32  マイナビニュース

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●「スポーツシリーズ」に新型車「570S Spider」導入
日本でマクラーレンの販売が好調だ。販売台数は2015年の90台が昨2016年には179台と倍増。好調の立役者となっているのは、同社としてはエントリーモデルの位置づけとなる「スポーツシリーズ」だ。このシリーズに今回、3つ目のボディタイプとしてコンバーチブルの新型車「570S Spider」(スパイダー)を導入する。

○シリーズ初のコンバーチブル登場、スタイルが多彩に

日本では2015年に導入となったスポーツシリーズ。クーペの「570S Coupe」と実用性を高めたグランドツアラーの「570GT」に続き、シリーズに新たに追加となるのが、リトラクタブル・ハードトップを開閉することでオープンエアのドライブが楽しめるスパイダーだ。

スパイダーは3.8リッターV8ツインターボエンジンを搭載。最高出力570PS、最大トルク600Nmを発揮する。ルーフはドライバーシートから電動操作できて、時速40キロ以下での走行時に15秒で開閉が可能だ。受注は始まっており、車両本体価格は税込みで2,898万8,000円からとなる。

○日本で販売台数が倍増、7割が新規客

マクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社代表の正本嘉宏氏によれば、スポーツシリーズの特徴は「サーキットでの卓越したパフォーマンス」「マクラーレン史上最も快適で洗練されたオンロード性能」「日常での実用性」の3つ。2016年に日本におけるマクラーレンの販売台数が倍増した大きな理由が、このスポーツシリーズの存在だ。

正本氏によると、2015年の途中から日本に導入したスポーツシリーズが、2016年は通年で販売に貢献したのが台数倍増の要因。マクラーレンのエントリーモデルに位置づけられるスポーツシリーズだが、購入者の約7割が他ブランドからの乗換え客など新規ユーザーだったというから、新たな顧客層の開拓も進んだ模様だ。

日本で販売台数が倍増と言っても、それは90台が179台に増えただけとも言えるわけだが、正本氏はマクラーレンを「あくまでニッチプレイヤー」と表現し、「ドライビングプレジャーに徹底的にこだわり、そこを軸に車両を開発」していくことで、「いかにクルマを運転する楽しさを味わってもらえるかに徹底」するのが同社の在り方だと話す。

●「SUVを作るつもりはない」
○「クルマのコモディティ化」懸念にマクラーレンは

マクラーレンは2016年にビジネス・プラン「Track22」を掲げ、その中では商品の半数をハイブリッドモデルにすることや、モーターとバッテリーのみで駆動する電気自動車(ピュアEV)を試作することなどを発表している。これを見ると、マクラーレンも自動車業界のトレンドである「電動化」の流れには対応していく様子だ。

電動化と自動化が進めば、クルマの差別化が難しくなり、クルマはコモディティ化してしまうとの見方がある。電動化するマクラーレンは今後も、個性的なニッチプレイヤーというポジションを維持していくことができるのだろうか。正本氏に聞いてみると、「他社はSUVを出したりするが、マクラーレンは2シーター、軽量、ラグジュアリー、ハイパフォーマンスなスポーツカーに特化して、これ以外は基本的に作る予定もない。この価値を体感したい顧客に最高の商品とブランド体験を用意する」との答えだった。電動化した時、クルマは何で個性を発揮するのか。マクラーレンのクルマを見ていれば、1つの解答が得られるのかもしれない。(藤田真吾)
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