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マツダ「CX-8」が対峙する“ミニバンの歴史”と“ディーゼル逆風”

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2019年07月23日 12:32  マイナビニュース

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●3列シートSUVでクリーンディーゼルがマツダらしさ
マツダが3列シートのクロスオーバーSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)「CX-8」を発表、12月14日の発売に向け予約販売を開始した。相手にするのは日本市場で独自の歴史を経て発展したミニバン市場。搭載するのは世界的に逆風が吹くディーゼルエンジンだ。

マツダの小飼雅道社長は「新型CX-8は、マツダ長期ビジョンの柱でもあるクルマ本来の魅力“走る歓び”を追求した国内向けSUVラインアップの最上位モデルであり、新しいライフスタイルをお求めになるお客様とともに、新しい市場を創っていきたいという意気込みで開発したクルマだ」と国内での新市場開拓に意欲を示す。

○安全面に先進技術、マツダ独自の思想も盛り込む

この「CX-8」は、マツダの日本国内市場向けクロスオーバーSUVシリーズの最上級モデルであり、同社が多人数乗用車の新たな選択肢として提案する3列シート車となる。搭載するのは、マツダが独自に進化させたクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV(スカイアクティブ)-D 2.2」だ。

先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」も標準装備する。新開発の360度ビュー・モニターでは、死角や障害物との距離を目視で確認可能。危機回避操作もサポートしてくれる。後面衝突時に3列目乗員を保護するための剛性も確保した。

衝突時の安全という観点では、アクティブボンネットを標準装備するなど、マツダ独自の安全思想を盛り込む。アクティブボンネットとは、歩行者との衝突を検知した瞬間にボンネット後端を約100mm持ち上げ、エンジンとの間に空間を作ることで、歩行者への衝撃を緩和する機能だ。

○次世代車投入が間近、CX-8で前哨戦

マツダは、2010年から独自のものづくり革新によるスカイアクティブ技術を世に出し、存在感を打ち出してきた。先の8月8日には2030年を見据えた長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を公表。2019年からの次世代技術導入プランを発表している。

それによると、2019年からはマツダが世界で初めて圧縮着火を実用化した次世代エンジン「SKYACTIV-X」搭載車を世に出す。一方でディーゼルもさらに進化させ、2020年には「SKYACTIV-D GEN2」を投入する予定。2019年からはマイルドハイブリッド車にプラスしてトヨタ自動車と共同開発するバッテリーEVもラインアップし、内燃機関の進化と電動化展開を併用していく方針だ。

マツダとしては、こうした次世代車開発投入計画の前哨戦として、クリーンディーゼル搭載の3列シートSUV「CX-8」を市場投入することで、「走る歓び、顧客との強い絆づくり」というマツダらしさの存在感をアピールすることになる。

●国内ミニバン需要の吸収狙うマツダ「CX-8」
マツダは「CX-8」の投入でミニバン「プレマシー」「ビアンテ」の生産販売を切り替える。「マツダとしては、SUV固有の1人で運転する楽しみを多人数乗りの3列シート車でチャレンジする」(小飼社長)方針のもと、国内SUVラインアップの最上級車を設定することで、ミニバンからの撤退を決めたわけである。

○日本で独自の発展を遂げたミニバン市場

国内乗用車市場の変遷を見ると、かつての高度成長期のモータリゼーション進展時代は、セダンが軽乗用車あるいは大衆車から高級車へ上級移行し、幅広いセダン需要が主流だった。

それが1990年代に入ると、皮肉にも日本のバブル景気が終焉し、人々はモノの豊かさより心の豊かさを重視するようになり、自己表現として余暇活動を強く求めるようになった。いわゆる「アウトドアブーム」である。

クルマもRV(レクリエーショナル・ビークル)ブームが到来、欧米で主流だったオートキャンプが日本でも花開いたのが1990年代に入ってからである。家族でオートキャンプなどに出掛けられるRVが一気に日本の自動車市場の主役に躍り出たのだ。

RVとは当時、ミニバン、ステーションワゴン、SUV、ジープタイプなどの総称だった。日本のRV市場は1994年に100万台、1997年には200万台を超え、1990年代後半には新車需要の5割以上をRVが占めた。RVの中でも主流はミニバンだった。ワンボックスといわれた貨物バンから乗用バンとして開発されたミニバンは、7人乗り、8人乗りの多目的乗用車として需要の中心となっていった。

○各社がミニバン開発を加速、実はマツダがパイオニア?

自動車各社もミニバンの開発・投入を積極的に展開した。当時、マツダはMPV(マルチ・パーパス・ビークル)を米国(1988年)に続き日本にも1990年に投入し、「マツダはMPVでミニバンのパイオニアだった」(小飼社長)歴史もある。

また、ホンダは1994年に初代「オデッセイ」を市場投入したが、「アコード」のプラットフォームを活用したこのミニバンモデルが当時厳しい業績に喘いでいたホンダの救世主となったのは周知の事実である。また、トヨタの「エスティマ」も、その卵形のフォルムでミニバンの代表的モデルとしてベストセラーとなった。

実は筆者は、1970年代前半に日本オートキャンプ協会を取材して以来、その頃から家族でオートキャンプを楽しんでいたが、1990年代に入り、セダンからの乗り換えでミニバンを愛車とし、ミニバンの多目的活用を実践していたユーザーでもある。だが、2000年代以降はRVブームがやや下火となり、最近ではSUVが主流になりつつある。

それでもミニバンは、トヨタ、ホンダ、日産自動車の大手が幅広い車種で競っている。その中で、マツダはミニバン生産からSUVシリーズの拡充に考え方を切り替えて、最上級車CX-8でミニバン需要吸収を狙う戦略に打って出たのである。

●あえてクリーンディーゼル搭載車で勝負する
○あえてディーゼルを搭載、WLTCモードの燃費も併記

それも電動化のハイブリッドではなく、独自のスカイアクティブ技術を落としこんだ、クリーンディーゼルエンジン搭載の3列シート車の設定である。マツダは「地球環境保全へCO2を大幅低減したマツダのSKYACTIV-D 2.2は、大トルクと静粛性の改善でガソリン車と遜色ない。今後の欧州規制強化もクリアできる自信がある」(小飼社長)とし、ディーゼルエンジンへの向かい風にも動じる様子はない。

日本国内市場における最近の需要構造は家族構成と共に変化している一方、多人数乗りへの要望と高級車志向の流れもあるため、マツダはSUVラインアップの拡充で対応することとした。最上級SUVモデルではコスト、燃費、排ガス、軽量化のいずれも改善し、3列シートへの工夫も施したとしている。

また、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」については、新たな「WLTCモード」燃費(詳しくはこちら)と従来の「JC08モード」燃費を併記し、より実燃費に近いカタログ燃費を示した。それによると、1リッターあたりの燃費はWLTCモードで市街地12.5キロ、郊外15.3キロ、高速道路18.0キロとなっている。さらに、72リッターの燃料タンク容量により、東京〜九州間を給油なしで走りきる1,137キロの航続距離も実現させている。

○ディーゼル逆風はむしろチャンス?

欧州では、ディーゼル排ガス不正問題から電動化、EV転換を宣言したフォルクスワーゲン(VW)を筆頭に、ディーゼルエンジン主流から電動化戦略に切り替える自動車メーカーが続出している。

しかしマツダは、こうした逆風下においてもクリーンディーゼルエンジンに自信を持って臨む姿勢を変えておらず、むしろ「SKYACTIV-D」をアピールするチャンスと捉えているのだ。

マツダの次世代車戦略における電動化の位置づけを見ると、2019年からはマイルドハイブリッドと並存させる形で、トヨタと共同開発するバッテリーEVの新投入を予定するなど、トヨタとの資本提携をいかしたプランを公表している。しかし一方で、マツダのDNAとする内燃機関の進化にもこだわり、内燃機関の進化(深化)版を投入する二面作戦を計画している。

その方向からも、今回の「マツダの手作り3列シートSUVディーゼル車」による国内市場開拓の動向が注目されることになる。(佃義夫)

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