フォルクスワーゲンが小型車up!を刷新、不思議なクルマの独特な戦略

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2019年07月23日 13:12  マイナビニュース

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●軽に見えて軽ではない、フォルクスワーゲン最小の商品
フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)は小型車「up!」を刷新し、販売を開始した。フォルクスワーゲン(VW)で最も小さいクルマであるup!は、軽自動車のように見えて分類上はコンパクトカーの部類に入る不思議な存在。誰向けの商品なのかが気になった。

○小さいけれどフォルクスワーゲン

up!の売り文句は「小さいけど、しっかりフォルクスワーゲン」。コンパクトで軽量だが、VWブランドを冠する以上、安全性には一切の妥協を許していないというのがアピールポイントだ。新型up!の発表会に登場したVGJのティル・シェア社長によると、up!のサイズ感は都会で乗るのに最適だが、高いボディ剛性と走行安定性を兼ね備えているので、長距離でも快適にドライブできるという。

「ピープルズ・カー」を標榜するVWが、up!でこだわったポイントは気軽に使える車であることだ。シェア社長は気軽に使えるクルマに不可欠な要素としてコネクティビティを挙げ、up!がVW純正インフォテイメントシステムである「Composition Phone」を搭載していることをアピールした。このシステムにより、普段から使っているスマートフォンをクルマと簡単につなぐことができるという。

初代「up!」が日本に登場したのは5年前のこと。購入者の比率は女性がやや多く、年齢層としては年配の方が過半を占めているという。では、今回の2代目up!は誰に向けたクルマなのだろうか。

●顧客の人生に2度登場するクルマに
○年齢層は上と下、セグメントは1つに絞らず

「最も小さいVWであるup!は、若い人のエントリーカーとしての役割を担うと同時に、ダウンサイザー、つまりは快適性や効率を求めて、大きめのクルマ(上のセグメント)からコンパクトカーに乗り換える人の、品質に対する高いニーズも満たすことができる」。シェア社長の言葉から分かる通り、新型up!が狙うのは、年齢層でいえば上と下の両方ということになる。

では、見た目が軽自動車のようで、実態はコンパクトカーの部類に入るup!は、どちらの市場で勝負するのだろうか。「VWユーザーになっていただけるならば全ての顧客がウェルカムだ」とシェア社長は答えていたが、つまりは1つのセグメントに絞らず、幅広い客層に商品を訴求したいとの考えなのだろう。

up!には3つのグレードがあり、価格設定は158万7000円から193万8000円となっている。この価格帯では、軽自動車およびコンパクトカーとの競合は避けられないし、維持費は軽自動車よりも高くつく。どちらの市場もライバルが多いので、おそらく拡販は一筋縄ではいかないだろう。このサイズ感のクルマを欲しがる人に対し、up!のデザインやVWブランドならではの安全性などが響くかどうかが焦点となる。

○up!から始まる顧客との長い付き合い

若い客と年配の客の両方を狙うup!の販売戦略は、顧客との長い付き合いを望むVWの考え方を端的に表している。まずはup!や「ポロ」でVWとの接点を持った顧客が、そのうち「ゴルフ」やミニバンに乗り換え、ダウンサイジングを考えるタイミングで再びup!などの車種に戻る。これがVWにとって理想の流れだ。

この4月はメルセデス・ベンツ「GLA」とアウディ「Q2」の新車発表会にも足を運んだのだが、そこで見たのは、両社が客層の若返りを図ろうとする姿だった。おそらくVWにとっても、ユーザーの若返りは重要なテーマとなっている。up!で若者にアピールし、顧客の人生に早い段階でVWブランドを登場させることが、長期にわたって安定的なビジネスを続ける上では重要な要素となるのだろう。(藤田真吾)

このニュースに関するつぶやき

  • この藤田さんって人、経済のことはともかく、車のことはまったくわかってないみたいですね。
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