ランエボの知見も? 三菱の新型SUVエクリプス クロスはどんなクルマか

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2019年07月23日 13:12  マイナビニュース

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●三菱自動車「エクリプス クロス」のウリはどこか
三菱自動車工業は先週末、新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を東京でお披露目した。同社にとって久々の新型車はどんなキャラクターなのか。ライバルが多いコンパクトSUV市場の中で自慢できる点はあるのだろうか。商品企画担当者に聞いた内容をもとに解説していくことにしよう。

○アウトランダーとRVRの“中間”ではない

三菱自動車が2017年3月の「第87回ジュネーブ国際モーターショー」で世界初披露した新型コンパクトSUVエクリプス クロス。日本では4月15日〜16日に東京・お台場で行われた「モータースポーツジャパン 2017 フェスティバル イン お台場」が初披露の場となった。

会場に着くと、三菱ブースの中央に鮮やかなメタリックレッドに塗られた実車があった。ボディサイズは全長4405mm、全幅1805mm、全高1685mmで、ホイールベースは2670mm。最近デビューしたSUVで言えばスバルの新型「XV」に近い。

でもスタイリングは、XVを含めた他のSUVのどれとも似ていない。直線基調で、ボディサイドのラインは明確なウエッジシェイプを描く。しかも無駄なラインがなくシンプルでもある。

○展示車が赤い理由

エクリプス クロスの商品企画を担当したCPS室チーフ・プロダクト・スペシャリストの林祐一郎氏に、まずこのスタイリングの意味を聞いた。

「既存のSUV、つまりアウトランダーやRVRとは別のラインとして考えました。力強さとスタイリッシュさを両立したクーペ風のスタイリングはその象徴です。そのためにボディサイドのキャラクターラインは、生産現場の人たちにも協力してもらって、彫りの深いラインを目指しました」

その一方で、三菱SUVの伝統である走破性については最初からこだわったという。そのためにアプローチアングルやデパーチャーアングルなどをしっかり確保している。

展示車のボディカラーを赤としたのは、三菱のコーポレートカラーということもあるが、2013年の東京モーターショーにプロトタイプに当たるコンセプト「XR-PHEV」を出展した時、「あの赤いクルマ」と呼ぶ人が多かったので、そのイメージを大切にしたという。

ちなみにこの赤、従来の色より彩度の高さにこだわっており、色合いを出すのに何度も試行錯誤を重ねたという。具体的には、通常の上塗り塗装の上に、さらに半透明のレッドとクリア層を塗り重ねることで、深みがあり、彩度が高い高品質なカラーにしたとのことだ。

●エンジンに三菱初の試みも
○クオリティを高める工夫

インテリアは窓越しにのぞいただけだが、それでも質感の高さが伝わってきた。この点について林氏は次のように語った。

「クオリティを高めたいという意識は当初からありました。2年前のアウトランダーのマイナーチェンジでは、欧州市場からの要望に応えて内装の質感を引き上げましたが、今回はオールニューのモデルなので、最初からこの面をこだわって作り込んでいきました」

それとともに留意したのは開放感だ。物理的な広さを追求するだけでなく、インパネを低くすることで感覚的な広々感を演出。リアクォーターピラーは力強さを演出しつつ、視認性も確保した。リアは垂直面にもウインドーを入れた上下2段とすることで後方視界に配慮している。

装備面ではコネクティビティが特筆できる。インパネ中央から立ち上がった薄型ディスプレイは、アップルのカープレイ(CarPlay)、グーグルのアンドロイド・オート(Android Auto)に対応。センターコンソールのタッチパッドコントローラーで操作するほか、音声操作にも対応している。カラーヘッドアップディスプレーを用意したこともポイントだろう。

○ガソリンエンジンは三菱初のダウンサイジングターボ

エンジンはガソリンとディーゼルを用意する予定。ディーゼルはすでに「デリカD:5」に積まれている2.2Lターボがベースだが、“第2世代”と呼べるほどあらゆる部分に手を入れたそうで、燃費、音、滑らかさなど、すべての部分でバージョンアップを達成しているとのことだ。トランスミッションには三菱初の8速ATを導入しており、これも上質な走りに貢献しているという。

一方のガソリンエンジンは1.5Lターボで、三菱としては初のダウンサイジングターボとなる。エクリプス クロスは欧州での販売を重視しているので、ダウンサイジングターボの採用は必然だったそうだ。エンジン本体は経験豊富な直噴方式をベースに、状況に応じて間接噴射を使い分けるデュアルインジェクション方式とすることで燃焼効率を高めた。CVTは8速マニュアルモード付きとしている。

●ランエボの経験をいかした4WD
○車両制御にいきるランエボの知見

メカニズムにおいて、同クラスのSUVに対するアピールポイントになるのがドライブトレインになるはずだ。4WDには「ランサーエボリューション(ランエボ)」などで経験を積んだ電子制御の車両運動統合制御システム「スーパー・オール・ホイール・コントロール(S-AWC)」を採用しているからである。

「4WDにS-AWCを標準装備するかどうかは、議論になりました。しかし、三菱のブランドイメージを反映させるため、装着することにしました。メカニズムの内容はランサーエボリューションの時とは違い、電子制御4WDにブレーキ制御を用いたアクティブ・ヨー・コントロール(AYC)を組み合わせた内容となっていますが、エボリューションなどの経験もいかされています」

さらにエクリプス クロスは、走りの基本となるボディも鍛え上げている。フロントサスペンション部分は3点式のストラットタワーバーで補強し、ボディ組み立てには溶接に加え、リアまわりを中心に接着剤を併用することで、高剛性ボディを実現し、信頼できるハンドリングをものにしているという。

○日本での発売も待たれる仕上がり

実車を見て、話を聞いて感じたのは、エクリプス クロスには三菱らしさがあふれているということだ。同クラスのSUVは、この半年間でトヨタ自動車、マツダ、スバルの3ブランドが新型車を送り込むなど激戦区になっている。でも、エクリプス クロスは競合車に負けない個性を持ち合わせていると感じられた。

販売はまず欧州からスタートするそうで、日本では2017年秋の東京モーターショーで具体的なアナウンスがあるようだが、個人的には今すぐ発売してもイケそうな魅力が詰まったSUVだと思った。(森口将之)

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  • 経験生かすのは良いから、それはそれとしてランエボがいいの。
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