山田裕貴が明かした“芝居の軸” 『なつぞら』鈴木杏樹との関係性に進展

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2019年07月24日 12:11  リアルサウンド

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『なつぞら』(写真提供=NHK)

 「アマチュア精神を感じた」。雪次郎(山田裕貴)が蘭子(鈴木杏樹)に伝えた言葉は、蘭子にとって大切な人から伝えられた言葉でもあった。


 劇団に残り、蘭子と芝居を続けることを選んだ雪次郎は、なつ(広瀬すず)とレミ子(藤本沙紀)にそのことを報告する。なつもレミ子も、雪次郎の背中を押し応援することにした。一方なつは、テレビ漫画を作ることになったと雪次郎たちに打ち明ける。『なつぞら』(NHK総合)第99話では、なつと雪次郎の新たな挑戦が描かれた。


【写真】蘭子を見つめる雪次郎


 劇団残留を決めた雪次郎は、さっそく新たな演目であるチェーホフの『かもめ』の稽古を始める。雪次郎と蘭子は親子を演じることになった。稽古中、蘭子から厳しいダメ出しを受ける雪次郎。蘭子の背中を追って残留を決めたものの、蘭子に認められるまでは長い道のりだ。


 一方でなつは『百獣の王子サム』の制作に勤しむ。サムが走り去るシーンを一枚一枚丁寧に仕上げるなつであったが、先輩アニメーターから「丁寧に描きすぎ」と指摘を受けてしまう。そしてその先輩から教わった方法は、なつを驚かせるようなシンプルな方法でサムを走らせるのであった。たった数本の流線をサっと引くだけで、サムは颯爽と走ってフレームアウトしたように見える。なつはこういった簡略化した表現で人物を動かすことを学んだ。


 雪次郎は、芝居に行き詰まっている様子を見せ、休憩中に蘭子と話をする。蘭子は雪次郎に、初めて自分の芝居を観にきてくれた日のことを覚えているかと問う。そしてその時、雪次郎が「蘭子の芝居にアマチュア精神を感じた」と言ったことを話した。蘭子にとってその言葉は、かつての憧れの先輩から言われていた言葉と同じだった。さらに雪次郎にとっては、北海道での高校時代、演劇部の恩師に 「カッコつけずに普通の人間としてしゃべるアマチュア精神が大事」と言われた思い出の言葉でもある。蘭子は、戦争で亡くなってしまった憧れの先輩と雪次郎をどこか重ね合わせているかのような発言をし、雪次郎もまた、その先輩は男性だったのか、と問うなど特別な関係を見せた。


 壁を乗り越えようとしているのは雪次郎だけではない。なつは、サムの涙だけを動かし、サムの気持ちを表現しようとしていることを坂場(中川大志)に伝え、原画を見せる。坂場はその原画を見て、驚きつつも感心している様子だった。というのも、なつが描いた原画では、省略された動きでありながら登場人物の気持ちがよく伝わっており、動いていない部分に個性が宿っているという。まるで、日本の伝統芸能である歌舞伎のようだと形容し、興奮した様子を見せた。そしてなつに「くさらずにやってください」と一言添えるのであった。なつはくさっていないのに、露木(木下ほうか)が過去に言ったこの言葉を投げかけられ、呆れたような表情を浮かべる。夜な夜な残って原画を仕上げるなつを、坂場はそっと見守っていた。


 なつが前進すれば、雪次郎もまた前進する。いよいよ次は雪次郎の舞台が幕を開ける。


(Nana Numoto)


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