吉沢亮が口にする優しい「なっちゃん!」をもう一度 『なつぞら』“天陽劇場”を振り返る

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2019年07月27日 09:52  リアルサウンド

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吉沢亮『なつぞら』(写真提供=NHK)

 『なつぞら』(NHK総合)で、テレビ漫画制作という新たな一歩を踏み出した奥原なつ(広瀬すず)。一方でカップル誕生には至っていないものの、坂場一久(中川大志)の恋も少しずつ進展している模様。果たしてなつは、“絵でつながっている”天陽くんへの思いを吹っ切ることができたのだろうか。


 なつと天陽の出会いは小学生の頃。北海道・十勝で暮らし始めたなつが、天陽がノートに描く馬の絵に惹かれたことをきっかけに心を通わせるようになり、大好きな“絵”を通して絆を深めていく。


【写真】なつ(広瀬すず)と乗馬を楽しんでいた頃の天陽(吉沢亮)


 第12回から、天陽役は荒井雄斗から吉沢亮へとバトンタッチ。2人が向き合いながらスケッチする姿はほほえましく、演劇部のなつを天陽が背景画で支え、牛飼いを始めた天陽をなつがサポートするなど、一層かけがえない存在に。そして、互いに惹かれながらも“幼なじみ”という距離感を保つ初々しさと、吉沢が生み出す朗らかな空気が相まって、ますます天陽くん人気は加速していった。


 第33回では、2人が帯広の映画館に『ファンタジア』を観に行くことになる。なつにとってはアニメーターを目指す大きな転機となるのだが、心躍らせるなつの横で、天陽は「なつと離れたくない」けれども「なつの夢も応援したい」というジレンマを抱えていた。その中で天陽は東京行きを後押しするのだが、なつは「行きたいなんて言ってない」と。そこで飛び出したのが「だったら、行くなよ」という男気溢れるパワーワード。これまで、なつの気持ちを優しく受け入れ続けてきた天陽が、初めて自分の意思を放った瞬間だった。


 両思いであることは明らかなのに、進展することのない2人の関係。その後、照男(清原翔)とのスキー対決を経て、なつへの告白を決意する天陽だったが、なつが東京行きを決めたことで、結局思いを飲み込むことに。ところが天陽は、なつの送別会で「俺はなっちゃんが好きだ。それはこれからも変わらない」と突然の告白。この急展開には驚かされたが、これは天陽からなつへ、“同志”を送り出す最大のエールでもあった。


 なつが上京してもなお、文通をしたり、“なっちゃんの恋人”と称されたりと、2人の思いは変わらずつながっているものと思われた。だが、第78回で状況が一変。天陽の兄・陽平(犬飼貴丈)によって、なつは天陽が結婚すると聞かされたのだ。たしかに天陽は「俺は待たんよ。なっちゃんのこと、ここで帰るのは待たない」と言っていた、言っていたけれど……。


 その後、妹・千遙(清原果耶)が十勝に現れたことを機に北海道に戻ったなつは、天陽の妻・靖枝(大原櫻子)と初対面を果たす。「天陽くん!」と声をかけようとした時、天陽の横には靖枝がいるという現実を突きつけられたなつ。天陽の結婚について理解はしているが、受け入れられない。そんな思いをなつ、そして視聴者の誰もが抱いた一幕だった。


 スッキリとした表情で靖枝との馴れ初めを語る天陽に反して、なつ(と筆者)の心はモヤモヤするばかり。なつに向ける温かな眼差しは変わらないのに、どこか大人びた表情や口調が、2人が離れ離れになった長い時間を物語っているようで寂しくて。


 だが天陽は天陽で、酪農を継ぐと決めたからには、早い段階での結婚は致し方ないことだった。キャンバスに描いたなつの絵を赤色で塗りつぶして涙するシーンには天陽の覚悟が詰まっており、その決意を無下にするわけにもいかない。けれども真っ赤なキャンバスは、結婚後も残されたまま。そこに封印した天陽の本心が垣間見えるようで、切なさを掻き立てた。


 先週放送された予告に「おかえり」というセリフと共にほんの一瞬、天陽が映っただけで「天陽くん」がTwitterでトレンド入りするなど、未だ“天陽人気”は衰えず。なつが「(坂場と)一緒に生きれたらいいなと思う」と話している以上、この期に及んでなつと天陽の恋愛成就は願わない。だが、たとえなつが誰と結ばれようと、互いを支える存在として、2人には変わらぬ“つながり”を見せてほしい。知的で、芯が通っていて、アツくて、温かくて、爽やかで、カッコいい天陽が口にする優しい「なっちゃん!」を、まだまだ聞かせてほしいのだ。


(nakamura omame)


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  • ホンマ天陽劇場やったなぁ。あの美貌、人間か?
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