見た目も体力も母親世代よりずっと若々しいのが、最近のアラフォー女性です。とはいえ自覚症状がなくても、20代の頃に比べて身体が大きくかわってくる年代でもあります。
「元気なつもり」のアラフォー女性が真夏にぐったりしがちな理由を、皮膚科医であり、漢方専門医でもある野本真由美先生に教えていただきました。
■「虚証」と「実症」、2つの体質がある
野本先生にうかがったところ、漢方では体質を大きく2つにわけてとらえます。
気温や湿度、天気などの環境に大きく揺さぶられ影響される人を「虚症(きょしょう)」と呼び、逆に、少々の環境変化ではまったく揺さぶられない人、病気と戦う力の強い人を「実症(じっしょう)」と呼びます。
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野本先生によるとこの2つの見分け方はとても簡単で、例えば、「風邪をひいた時に40度近く高熱が出ても、パッとすぐ治る人が“実症”です。一方で、2週間ちかくグズグズと長引き、治りが遅いのが“虚症”です。
決してどちらが良い、悪い、ということではなく、そういう傾向を持つグループに分けられるということです。」
ものすごく簡単にいうと、“実症”の人は、一見丈夫でアクティブに見え、“虚症”の人は、小さい頃から身体が弱かったり、不調になることが多い傾向にあります。
真夏に熱中症で運ばれるのは、“虚証”の方が多い!?
「真夏に熱中症で運ばれるのは、やはり“虚証”の方が多いのです。冬と夏のような、季節による環境の変化に弱いからなんですね。
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汗をかいた状態を放っておくだけで風邪をひいてしまったり、猛暑の炎天下でバスを待ち、乗ったら強い冷房の風に当たる、それだけで体調を崩してしまう。そういった、環境にうまく対応できないのが“虚証”の特徴です」。
ところが、真夏の間は“実症”の人も充分に注意が必要なのだそうです。
■アラフォーからは「実症」の人の方が、より注意が必要
野本先生によれば、真夏の間は“虚証”の人が増えるのだそうです。なぜでしょうか。
「暑さに対応しようと身体が汗を出したりするためには、エネルギーが必要です。ですから、基本は“実症”の人でも真夏の間はエネルギーを常に奪われ気味になり、どんどん“虚証”の状態に近づいています。
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さらに、年齢を重ねるということは、“実”の人も“虚”に向かっていくということです」。このことを理解していないと、「元気なつもり」のアラフォー女性も、ガクッと体調を崩してしまいやすいそうです。
若い頃と同様の感覚でスケジュールを立てることはNG
「若い頃から体力があってスポーツをやっていたり、大病をしたりしたことがないという方は、漢方のことは知らなくても元々ご自分が“実症”だ、という感覚を強くお持ちです。
ですから、アラフォー世代に入り、多少“あれ?”と感じる日があっても、“そんなハズないわ”と年齢も季節も関係なく、若い頃と同様の感覚でスケジュールを立ててしまいがちです。しかし、身体は昔より“虚証”に変化しているため、そのスケジュールをこなすことがむずかしく、ある時にガクンと調子を崩してしまうのです。
更年期に入り、突然“不調のオンパレード”になる方も多いのです」。
“虚証”の人は、常に養生を心がけている
逆に“虚証”の人は、「若い頃から自分が環境の変化に弱い」という自覚があるので、冷えないために腹巻きをしたり五本指ソックスを履く、冷たい物を飲まない、真夏でもカーディガンなどを持ち歩くなど、常日頃から養生を心がけていることが多いのだそうです。
なので、更年期を迎えても意外とガクンと落ち込むことは少ないそうです。
自分は大丈夫と思わずに、養生を心がけましょう
「特に真夏は、“実症”だった人もガクンと体調を崩すことが増えるので、アラフォーからの女性は、“自分は丈夫だから”とたかをくくらずに、気をつけて生活しましょう。
『食べ過ぎをさける』『ストレスを抱えない』『スケジュールを詰め込まずに休む日を作る』など、さまざまな形で養生を心がけてください」。
最近の真夏は、ひと昔前と明らかに違う温度と湿度の猛暑が続きます。普段元気だと思っている人でも、身体は前より“虚証”になっていると思い、気をつけて過ごしていきましょう。
(美容エディター&ライター 斎藤真知子編集プロダクションと美容雑誌編集部を経てフリーランスに。かれこれ20ウン年美容雑誌業界の片隅でお仕事中。肌データは、アトピー持ちの(でも現在はほぼ出ない)基本乾燥肌。)
【野本真由美先生 プロフィール】
野本真由美クリニック銀座・院長。皮膚科医。銀座の真ん中にあるクリニックは、大人ニキビや更年期揺らぎ肌、アトピー性皮膚炎などに悩む大人の女性の駆け込み寺。日本東洋医学会認定の漢方専門医でもあり、全身から皮膚を診る診察が好評。