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「あなたと、 コンビに」が結びつけた“隅っこ”コント師、かが屋の真実

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2019年07月30日 17:03  日刊サイゾー

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日刊サイゾー

写真撮影=後藤秀二
撮影=後藤秀二

お笑い第7世代と呼ばれる芸人の中で、最も「新しい」と呼ばれる2人、マセキ芸能社所属・かが屋。黒いTシャツの加賀翔と白いTシャツの賀屋壮也が、身近にありながら今まで誰も目を向けなかった「日常の中の非日常」をコントであぶり出す。ガツガツでもギラギラでもないけど、見据える未来はかなりデカい。令和、それは“隅っこ”コント師、かが屋が真ん中を歩く時代である。

 

***

――「第7世代」といわれる芸人さんたちの注目度がいま、急上昇しております。

加賀 第7世代という言葉のおかげで仕事をいただけて。

賀屋 本当にそうなんですよ。

――多くの芸人さんが「かが屋が面白い」と引き合いに出される現状については、どう思われますか?

加賀 ち、ちなみに具体的に誰が言ってたんですか?

――私が聞いたのは、ハナコの3人です。

賀屋 チャンピオンに……あぁ、うれしい。

加賀 信じられないけど、うれしい。

――考えてみたらお2人は、そういう賞的なものって……

加賀 はい、まったくないです。

賀屋 無冠中の無冠でございます。

加賀 決勝にすら行ったことがない。だからまだ、(世間の評価に)まったく追いついてないというのが実際のところです。いや、追いついてないというのも生意気なくらいなんですけど。

――まだ、あまり自覚はないですか?

加賀 どうにかこうにか、周りに引っ張ってもらってるというような。

賀屋 そうですね、本当に。

――「いま舞台袖に一番人が集まる芸人」という表現については?

加賀 ひとつだけ心当たりがあるというか……。全然ウケてなかった時に「声が小さすぎる」って言われてたことがあったんです。じゃあ、いっそのこと舞台上からまったく声がしてなかったら「何が起こってるんだ?」と思って芸人さんが袖に来てくれるんじゃないかと。

賀屋 あいつら何をしてるんだ? って。

加賀 静かにしてたらみんなが集まって……心配して集まってきてくれたという出来事があって。それから静かにできるネタってなんかないかなって、そういうことを試したりしてた時期はありました。芸人さんとかスタッフさんの印象に残ろうとしてましたね。もちろん、お客さんが一番ですけど。

賀屋 僕らと付き合いが長い芸人さんたちは「前は本当に声小さかったよね」って、みんな言います。

加賀 マジでそれはめちゃくちゃ悩んで、ひたすら腹筋してた時期とかありました。声を大きくするために。面白いネタ書くとか以前の問題……。

――今は声の小ささを逆手に取って……という感じですか?

賀屋 今はただ開き直って。もうそっちに近いと思います。

――お2人が出会ったのは、コンビニのアルバイトですよね。

賀屋 そうです。6年前ぐらいかなぁ。

加賀 朝勤と夜勤だったのでまったく会わなかったんですけど、そこを店長がつないでくれたんです。店長が僕とシフトに入った時に話した話、賀屋と入った時に話した話をお互いに行き来させてて。バナナマンが好きって話を僕がしてたら「朝のあいつはバナナマンが好きらしいよ」って、夜の賀屋に伝えてくれて。

――キューピッドが店長……。

加賀 どうやらうちのコンビニに趣味の合うやつがいるらしいって知って、それが1年ぐらい続いたんですけど……そしたら店長が急に「忘年会をやろう」って言いだしたんですよ。しかも、みんなが忘年会に参加できるように、店長自身はずっとシフトに入って。そのためだけに派遣の人をわざわざ雇って。

――なんて素敵な店長……。

加賀 そこで初めて賀屋に話しかけられて。

賀屋 そうなんですよ。

――「バナナマンがお好きなんですよね?」みたいな感じ?

加賀 せっかく店長が企画してくれんですけど、その僕……コンビニの忘年会っていうカオスな状況がちょっと居心地悪くて、外でずっとタバコ吸ってたんですよ。そしたら急に耳元で「バナナマン好きな加賀くん?」って言われて。

賀屋 必死だったんですよ、その時。声かけようと思って。

加賀 鳥肌ゾワッて立って。強烈な印象を残されました。でも、そこから話聞いてったら趣味が合うっていうか、ネタも書いてるって聞いて。

賀屋 そこからコンビ組んだんですけど。ちなみに、そのコンビニはファミリーマートで。「あなたと、コンビに」

――おあとがよろしい……。

賀屋 さらにそのキューピッド店長さんの名字が、大きい矢って書いて「大矢さん」っていうんですよ。キューピッドの矢(ニヤリ)。

――腹立つ〜(笑)。

賀屋 これ、絶対に載せてください(笑)。

――お2人は、いつ頃から芸人を目指していたんですか?

加賀 僕は幼なじみに大阪NSCに誘われて……それが高校2年生。僕中退してたんで、特にやることもないし、じゃあって。でもNSCに入る直前、急に向こうから「俺やっぱりやめたい」って言われて。僕、お金振り込んでて、引っ越し先も決めてたんです。結局、大阪には一人で行ったんですけど「あれ? なんで俺一人なんだ?」って。一生懸命ネタの授業も受けてるんですけど「なんでだ?」って。自分一人でここにいる意味わからなくて、授業にも行かなくなって。親に「もうやめたい」って電話したら、親は「帰ってくんな」って。やるって決めたんだからと。

――その後、どうしたんですか?

加賀 決定的だったのは「漫才劇場ができる」っていうウワサがNSCで流れて。若手は漫才しかやっちゃいけないみたいな、そういうウワサが流れて。僕一人だったし、もう大阪ではやれないな、じゃあ東京に行こう……と。

――NSCで、新しい相方を探すことはしなかったんですか?

加賀 人見知りなのと、あんまり友達もいなかったですし。「コントやろう」って言ってくれた子もいたんですが、その時にはもう東京行くって決めてたので断りました。そしたら「俺もお金ためていくから、東京で待っててくれ」って言われたんですよ。だから僕、東京に引っ越して、その子を待ちながらファミリーマートで働き始めました。でも1年たった時に電話かけたら、「芸人やめることにした」って。

賀屋 振られまくってる。

――すれ違いコントみたいだ……。

加賀 2年ネタばらしないアンジャッシュさん……。

賀屋 恋人に振られまくって傷ついてるところに、僕が付け入ったっていう感じでしょうか。タイミング的に。僕は普通に大学生だったんですけど。

――賀屋さんもその時、芸人を目指していたんですか?

賀屋 どちらかというと、放送作家希望でした。バナナマンさんがすごい好きで、オークラさん に憧れてたから。

――3人目のバナナマンですね。

賀屋 そうなんです。でも、就活も控えてて、どうしようかなと思ってたところに、新人で加賀が入ってきた。すごく運命めいたものを感じたのに、ちょっと思いが強すぎて、ファーストコンタクトで怖がらせちゃったっていう。

加賀 結構、熱い感じで「コント書いてるから見てよ」って言われて、5本ぐらい持ってきてくれたんですけど、全部人が死ぬコントだったんですよ。

賀屋 それが格好いいと思ってたんですねぇ(笑)。

加賀 僕はもう「ヤバイ」「この人は危険」って感じて。

賀屋 俺の部屋で見せたんだっけ?

加賀 部屋で……密室で……最後に人が死ぬコントを見た。

――ヤバイですね。

加賀 ヤバイとは思ったんですけど、僕としてはこれでミスったらもう終わりだと思ってたから……「ちょっと、俺中卒だからかなぁ、わからないのは」みたいな逃げ方した。

賀屋 そんなこと思ってたんだ、気使わせちゃった(笑)。

――今でもコントに、そのエッセンスは感じますか?

賀屋 でもまぁ、変な人が出てくるんです。

加賀 やっぱり、なんていうか、学生時代に「面白いね」って言われてたタイプではないので、どうしてもそういう感じになってしまう。

賀屋 だよね、そう。俺は、めちゃめちゃ隅っこにいましたね。

加賀 中学の時は、ものすごくいいポジションにいたんですよ。僕の幼なじみだった女の子が一番強い女ヤンキーで。

賀屋 女ヤンキー……。

加賀 生え抜き? なんていうんだろ? その、ヤンキーになる前の時代から仲良くしてたんで。

賀屋 生え抜きっていうの?(笑)

――野球選手みたいですね(笑)。

賀屋 進化前から知ってるってことだ。

加賀 そう、だからヤンキーの人たちとも仲良くできるし、自分の本来のポジションの人たちとも仲良くしてて。

賀屋 めちゃくちゃ格好いいじゃん。

加賀 無敵だったんですよ。それが高校に進学したら、僕は今まで女ヤンキーのおかげで友達ができてたっていうのをわかってなくて。友達の作り方がわからなくなっちゃったんですよ。そこから誰とも仲良くなれずに……。

――逆高校デビューですね

加賀 でも、学校行かなくなった一番の理由は別にあって。休みがちになっていた頃、一度“不登校児のプロ”みたいなスクールカウンセラーと面談したことがあったんです。その人が「何が好きなの?」って聞くから「お笑い好きです」。「へぇ、そうなんだ。誰が好きなの?」「ダウンタウンさんとか紳助さんとか好きですね」って言ったら急に顔色変わって「ダウンタウンなんか面白くないよ」「ああいう人を傷つけるような笑いをして」って、そのカウンセラーが。

――ああ……。

加賀 僕、むちゃくちゃケンカしちゃって、その人と。「見てますか?」「じゃあ、何見てますか?」「『ガキ使』とか『ダウンタウンDX』とか見てますか?」と。「見てない」って答えたカウンセラーに「見てないのに面白くないとか言うな!!」って、そこで飛び出しちゃって、完全に学校には行かなくなってしまいました。

――(ハードだ……)賀屋さんは、どんな感じだったんですか?

賀屋 僕は逆にもう中学時代は女の子から嫌われてて。

加賀 えぇぇぇ!

賀屋 「えぇぇぇ!」って、知ってんだろ!? 何回も言ってるはずだから! 女の子からいじめられてて。うちの実家ちょっと変わってて、お風呂が薪でたくタイプだったんですよ。薪 だから煙が出るじゃないですか。煙突から出た煙が全部子ども部屋のほうに入ってくるつくりだったんですよ。学生服がそこで長年いぶされて、ずっとスモーキーな香りがしてた。そういうのって、女の子は敏感じゃないですか。「キモイ」とか「臭い」とか「焼いたソーセージのにおいがするね」みたいな。

加賀 焼くの? ソーセージ。

賀屋 好きな子もいたんだよ。私立で中高一貫で2クラスしかなくて、その子は別のクラスで。時々ある合同授業の時にその子が自分のクラスに来るんですよ。それでどの席に座ろうか探してて、僕の席を指さして「これ誰の席?」って友達に聞いてて、友達が「あ、あいつのだよ」って言ったら「うわぁ、最悪なんですけど」って。「あぁ……俺の恋は終わった」と。

――うううう。

賀屋 俺はなぜこの話をしたんだ……。

加賀 そんなこと言う子を好きになったのが間違いだよ!!

賀屋 好きだったんだよ、かわいかったんだよ! 1軍の子が好きだったんですよ! いつも一番かわいい子が好きで、身分不相応なのにその子が好きで。で、そこからどんどん暗くなっちゃった。机に、いじめてくる、悪口言ってくる子の名前をもう彫れるんじゃないかっていうくらいシャーペンで重ね書きして。くっそう……って。

加賀 そんなインタビューじゃ……。

――……続けてください。

賀屋 いじめてたほうは……もう勝手に大人になっていくんですね。大人になってくると、いじめるのダサいとか、みんなで仲良くしたほうが格好いいみたいな方向にシフトチェンジして、僕と仲良くしだしたんですよ。「なんだよこいつら、俺は忘れてないぞ」って。それがずーっとあって。わかって……いただけます?

――わかります……。なんか楽しかったよね、学校。みたいな感じにされて、はぁ?

加賀 まさかの共感。

賀屋 でも、めっちゃかわいかったんでね、何事もなかったかのように仲良くしちゃいました。

――そこ戦ってくださいよ!!

加賀 そういうことですよ。

賀屋 そういうことですね。

――そこからお笑いにつながっていくエネルギーは見つかりましたか?

賀屋 1回……すっごい鮮明にその光景を覚えてるんですけど、高1の夕方……教室のドアのところに僕が立たされて、窓際に12人ぐらい男子がいて、一斉にイジられるっていう。で、僕もそれに返さないわけにはいかないから、「なんでだよ?」「だれがだよ!」「パッと燃えてなくならないわ!」みたいなことを返して。夕方なんで、同級生の背中に日が差して、全部シルエットなんですよ。その光景が時々夢に出てくる。あの12人は、なんだったんだろう……。もしかしたら夢かもしれない。お笑いは好きでしたね。

――急に「お笑いは好きでしたね」って……。

賀屋 ああいう時に一番ダメなのは、イジってこないやつですね。イジるならイジれと思いました。

――賀屋さんの記憶の奥底にあるシルエットが、かが屋のコントになんらかの影響を与えていることはわかった気がします。

加賀 そうなのか……。

――小道具とかもあまり使わないし、衣装もシンプルですし。

賀屋 確かに、あんまり使ってはないですね。

加賀 しかも、コントに入る時の状況説明をしないので、だからこそシチュエーションが偏るというか。電車のネタが異常に多くて。つり革を持つ、リュックを前に背負う――これだけで電車になるから。本当に「『トレイン』っていう単独ライブやったら?」ってイジられるくらい。

賀屋 かが屋単独ライブ「トレイン」。

加賀 本当は昔、衣装や小道具にお金使いすぎて、しかもそれがどんズベりして。結局、自前の白Tシャツ、黒Tシャツ、下ジーンズってなっただけなんですけど。

賀屋 見た目地味だし……衣装も地味なほうがいいかっていう。

加賀 「声が小さい」みたいなことも、人に言われるまで「あ、僕たちは声が小さいんだ」って気づいてなかったんですよ。そういうレベルの人間だったので。

――お笑いスクールでは、一番怒られそうなところですよね。

加賀 ただ、「新しい」と思われたいとか「あいつらすごいな」って思われたいところはめちゃくちゃあって。学歴コンプレックスでしょうか、高学歴の人もいっぱいいる、上手な人、面白い人もたくさんいる中で、「なんでそんなことするの?」って思われるようなことをやらないと生き残ってはいけないとは思ってました。

賀屋 なんか違うことしないと。

加賀 なるべく誰の邪魔もしたくないっていうのもあって。たくさん芸人さんがいるライブだと、設定やキャラがかぶることがあるじゃないですか。できるだけ人の邪魔……嫌われたくないんで「コンビニのネタやりやがって」「面接のネタやりやがって」とか、なるべく言われないように。本当に「すみません」って端っこ、端っこを歩くという。

賀屋 メチャクチャ気にしいだから。

――2人の、これからの夢は?

加賀 自分たちの……いつか冠番組持ちたいっていうのはもちろんあるんですけど、何ができるかっていうのもまだわかってなくて。ネタのことは一生懸命考えてきたんですけど、それ以外のことって正直あんまり考えられてなかったっていうか。でも今、急にトーク番組に行かされたり、ギャップがすごくて。今後のことを本気で考えなきゃいけない時期だなぁとは思ってますけど。

賀屋 観るのはすっごい好きなので、自然と溶け込めたらめっちゃいいなぁとは思うんですけど。

加賀 食レポとかもやりたいよね。

賀屋 一番いいですよね。

加賀 母親やおばあちゃんは、テレビに出てる息子や孫がお笑いやってる姿より飯食ってる姿見れたほうが、絶対に安心すると思うんです。僕ら2人ともシングルマザー家庭なんで。

賀屋 そうなんですよ。だからね、お母さんには、ちゃんと食べてるんだって安心してほしい。あと、大河ドラマ出たいです!
(取材・文=西澤千央)

 

【出演情報】

●8/17(土)27:00〜29:00/ニッポン放送『かが屋のオールナイトニッポン0(ZERO)』

●8/23(金)22:00〜24:00/RCCラジオ『かが屋の鶴の間』(毎月第4金曜日) 

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