「幸せでも不倫する人」の意外な動機とは? 人気心理療法士が分析

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2019年07月30日 17:12  BOOK STAND

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『不倫と結婚』エスター・ペレル 晶文社
直近では原田龍二に後藤真希......。多発するスキャンダルによって、不倫の注目度がますます高まる中で、世間の目もこれまでよりも厳しくなっています。こうした不倫問題は、日本だけでなく万国共通の問題のようです。

 本書『不倫と結婚』(晶文社)によれば、米国を例にとると、不倫には普遍的な定義がないなどの理由からデータ上では女性の26〜70%、男性は33〜75%と相当な幅があるとしながらも、不倫が増加しているのは紛れもない事実だとしています。

 世界中で多くのカップルを見てきた心理療法士で著者のエスター・ペレル氏は、本書の中で「1990年以降、男性の不倫率は変わっていないのに、女性のそれは40%も増加している」と女性の不倫増加が背景にあると言及。「もはや浮気をするのに自宅を出る必要がない」と、普及したネットやアプリによる影響が大きいとも述べています。

 そのように本書では、ペレル氏が数多くの不倫夫婦へのカウンセリングしてきた経験を踏まえながら、不倫をさまざまな角度から論じています。例えば、不倫には三つの構成要素があると分析。「秘密」「性の魔力」「精神的な関わり」のうち一つ、もしくはいくつかが含まれているといいます。

 まず「秘密」は「不倫を不倫たらしめる筆頭の原則」と評します。秘密であることが性欲を掻き立てるものであるとしたうえで、"罪悪感と喜びのミックス"なんだとか。2番目の「性の魔力」は、セックス行為そのものよりも、「欲情されたい」「自分を特別な存在だと感じたい」などの欲望が充足されるという"魔力"が関係していると分析します。

 最後は「精神的な関わり」。言うなれば、それは"情熱的な愛の開花"。「愛がどんなものか知っているつもりでした。でも、こんな気持ちは生まれて初めてなんです」というよくあるセリフがまさにそれだというのです。一方で、あの女性とは「肉体関係だけだ」と精神面での関わりを最小限に見せようとする言い訳も該当するとのこと。

 ペレル氏は「人はなぜ不倫するのか?」という不倫問題の根幹にも触れています。中でも興味深いのは「幸せな人でも不倫する」ということ。これまで、不倫の動機はセックスレスや孤独感などの問題から、不倫で"結婚の機能不全"を補うという面で語られがちでした。

 しかし、何年も何十年も貞節を守り、思いやりのある円熟した"完璧な夫婦"に見えたとしても、不倫に走ってしまうというケースが少なくありませんでした。ペレル氏は、カウンセリングを進めていくうちに、その動機が「新たな自分探し」だとわかったのです。

 「繰り返し耳にするテーマが一つあった。それは新しい(または失われた)アイデンティティの探求、つまり自己発見という形の不倫だ。こういった探求者には、不倫が何らかの問題の症状というよりは、成長や変化を伴った発展的な体験だと描写されることが多い。(中略)求めているのは、新しい恋人よりむしろ新バージョンの自分だ」(本書より)

 本書では、「私の人生は恵まれた人生」と自分で言えるほど完璧な女性が登場。50歳のいま、「私がデートするような相手じゃない」と揶揄する男性との不倫が辞められない......。彼女に一体何があったのか、結婚生活の問題ではなく彼女の人生の問題に迫っています。

 豊富な事例を交えながら不倫に陥る動機やその代償など、不倫のすべてを知れる本書。反面教師として活用すれば、より良い結婚生活を送るためのバイブルとなりそうです。


『不倫と結婚』
著者:エスター・ペレル
出版社:晶文社
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