モノづくりに強いこだわりを持ち、全国に30店舗を展開するオーダーメイド企業の株式会社ケイ・ウノと、日本及びアジア諸国でブライダルジュエリー専門店を112店舗を展開し、多くの花嫁から支持を集めるプリモ・ジャパン株式会社がタッグを組み、ジョイントベンチャーを設立。
そのジョイントベンチャーからケイ・ウノにとって海外1号店である店舗「台北忠孝旗艦店」が８月６日、台湾にオープンすることになりました。
今回の出店に至る経緯や、想いを、株式会社ケイ・ウノ 代表取締役社長 久野雅彦 様(以下、久野社長)と、プリモ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 澤野直樹 様(以下、澤野社長)にお話をお伺いしました。
編集部：今回、ケイ・ウノさんとプリモ・ジャパンさんがタッグを組みケイウノ台湾の１号店を出店されることとなり、多くの方が驚かれたかと思うのですが、どのような戦略で今回の決断に至ったのでしょうか？
久野社長：現在、日本のモノづくりは危機的な状況で、ほとんどのブランドがコストの関係でやむを得ず海外に工場を移して生産しています。当社ではオーダーメイドブランドとして、国内に職人を150人ほど抱えておりますが、日本のモノづくりをもっと世界に伝えていきたい、強くしたいという想いを持っていました。そんな時、IJT（国際宝飾展）でプリモ・ジャパンの澤野社長と知り合い、澤野社長の"良い商品を多くの方々に届けたい"という想いに共感しました。
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編集部：最初に台湾という場所を選んだのはなぜですか？
久野社長：まず、親日国であるということ。そして、台湾はほとんどの女性が働いており、平均の３、４倍稼ぐような女性もおり活気がある国です。
またジュエリー好きな女性も多い。プリモ・ジャパンさんがすでに台湾で出店をしておりノウハウもあることから台湾を選びました。
編集部：台湾と日本ではカルチャーの違いがあると思いますが、カルチャーの違いに合わせて日本のやり方とは何かを変えたりするのですか？
久野社長：あえて変えずに、日本の文化をそのまま持ち込みたいと考えています。
中国圏では昔から婚礼ではゴールドのジュエリーが重宝され、今も伝統を受け継ぎゴールドを扱う地元企業は多くありますが、「日本のブランド ケイウノ」をアピールするため、あえて現地の文化に寄せていくことはしない方針です。
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台湾にはオーダーメイド文化がまだないのですが、以前台湾でのイベントに出展した時、日本のお店でいつもしているようにデザイン画をお客様の目の前で描くパフォーマンスをしたところ、ほとんどの方が涙を流すほど感動してくれました。
それを見て、とても手ごたえを感じましたね。台湾の方は「こういうのが欲しい！」「こういうのを描いてほしい」という希望をしっかり伝えてくれる方が多くて、オーダーメイドとの親和性の高さを感じました。
オーダーメイドが台湾で広がる可能性は十分にあるので、ケイウノが台湾でのオーダーメイドブランドの先駆者になりたいです。
澤野社長：当社の台湾のお店でも、以前に比べだいぶプラチナが売れるようになってきました。ゴールドにこだわる現地の会社はまだ多いですが、プリモ・ジャパンは2007年に台湾で出店した当初から、ほとんどの商品は日本と同じプラチナのものを取り扱ってきました。「郷に入っては郷に従わず」をポリシーとして今までやってきています。
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澤野社長：今回、ケイ・ウノさんが台湾に進出するにあたり、当社では、海外事業展開のノウハウや、現地の法務・労務や会計、規定関係などをバックアップしました。また、今まで培ってきた現地での集客に関するマーケティングに関しても助言をさせていただきました。その他にも台湾人に対する接客面をサポートすることで早期にビジネスが立ち上がるよう、プリモ台湾の社員数名がケイ・ウノさんとのジョイントベンチャーに転籍をして、人員面でもお手伝いをしました。
久野社長：プリモ・ジャパンさんの完璧なサポートがあり、早い時期に決断をすることができました。３年で５店舗の出店を目指しています。
編集部：台湾での集客と日本での集客の違いはありますか？
澤野社長：台湾ではブライダルに特化したポータルメディアが存在しません。
ですので、自分たち独自で集客していく必要がありました。
台湾は小さな国で人口密度が高いので、クチコミがとても強い影響力を持っています。
知り合いの知り合い、さらにその先の知り合いまでもつながっている、なんてことが普通にあるコミュニティなんです。
そんな背景もあり、FacebookをはじめとするSNSを活用した集客がとても重要です。
また台湾は百貨店文化が根強いので、百貨店エリアに確実に出店し、かつSNSでのクチコミを利用して認知を上げています。
久野社長：台湾の方はほとんど、スマホでSNSを見て情報収集をしています。
またことあるごとに写真を撮っている印象です。
私がお店の内装を作っている時にも、突然お店に入ってきて、何のお店か尋ねられました（笑）
澤野社長：今回出店する場所は日本でいう銀座２丁目のような場所で、人通りも多い場所なんです。
久野社長：中央通り沿いにあって、３、４年したらほとんどの台湾の方が存在を知るような場所で、次の百貨店進出がしやすいと考えています。
編集部：台湾でオーダーメイドを浸透させるために何か工夫はありますか？
久野社長：お客様にあわせてデザイン画を描くことはもちろんのこと、DIY体験も考えています。
またお店のつくりも、外から見える位置に工房をつくり、実際に作業をしている職人の様子が見えるようになっています。
澤野社長：１階に工房があるようなブランドの店舗は台湾にはありません。目抜き通りの多くの方が通る場所で日本人の職人が作っている光景が見えるようにすることで、よりオーダーメイドを感じていただけるのではないかと考えています。
編集部：オーダーメイドというと、ある程度デザインが決まらないと価格がわからないと思いますが、最初から価格がわからないことの壁はどう乗り越えようと思っていますか？
久野社長：台湾は経済力がある女性がいますし、台湾人は冒険家マインドの方が多い印象なので、価格に関しての壁はあまり感じていません。
ラフな感じでお店に入ってきてもらって、まずは体験してほしいですね。
編集部：日本よりオーダーメイドの文化が根付きやすそうですね。
澤野社長：久野社長からオーダーメイドの考え方やデモンストレーションを台湾のスタッフたちにやってもらいましたが、スタッフ皆が感動していました。それを目の当たりにして、台湾での成功を確信しました。
久野社長：台湾の店舗の壁も自分で線を描いて作りました。モノづくりの会社が自分たちで内装までやっているのをスタッフに見てもらいたかったんです。店舗を作っていく途中でスタッフから休憩室に換気扇がほしいというオーダーももらいました（笑）
お互いに一緒に店舗を作り上げていくのを感じました。
澤野社長：ディスプレイや導線もスタッフと話しながら決めていて、ケイ・ウノさんはモノづくりの会社であることを強く感じました。
久野社長：壁に絵をかくことは僕の生きざまなんです。これが少しずつでも伝わっていくことが、日本からモノづくりが消滅しないエネルギーになるのではないかと思っています。日本から来たモノづくりを見て感じて味わってほしいです。
編集部：台湾に出店するにあたり、課題はありますか？
久野社長：難しい問題はオーダーメイドの文化がないこと。
日本だとアフターサービスは永久無料、できあがった商品が気に入らなければ無料で作り直すサービスがありますが、台湾だとやめた方がいいと言われます。
また、オーダーメイドなので、オペレーションも複雑で難しい。これはできて、これはできないといったことを見極めていくことも必要なので、まずは店舗を実際に運営して学びながら、日本と同じことができるようにブライダルに特化して始めていきたいと考えています。
早期に複数展開して、来年には２店舗、次は３店舗と増やしていけるようにしたいですね。
編集部：プリモ・ジャパンさんからすると台湾での競合を増やしてしまうという見方もできると思うのですが、どうお考えですか？
澤野社長：そういう意見もありますが、弊社はすでに台湾で高いシェアをとっており、これ以上台湾でアイプリモというひとつのブランドでやっていくのは限界があると感じています。またケイ・ウノさんの社風であるモノづくりと日本の職人文化を継承していくんだという志に深く感銘を受けました。
今回はプリモ・ジャパンの社名は出さず、間接的に、５０対５０のジョイントベンチャーというかたちで後方支援をしますが、それを通して台湾で日本のブライダルジュエリーや当社の商いが増えていけばプラスだと考え、前向きに判断しました。
また、台湾人は成長している企業で長く働きたいという仕事面でのカルチャーがあります。今は11店舗出店し、出店に関しては足留めしているタイミングで、停滞期が続くと優秀な人材のロスにも繋がります。プリモ台湾社内ではマルチブランド戦略を押し出すことにし、その第一号がケイ・ウノさんです。新しいブランドを誘致することで、スタッフにとっても店長になれるチャンスが増えたり、上を目指せるチャンスができ、より前向きに働いてくれることを期待しています。
編集部：今後の展望として中国などの他のアジア圏への進出も視野に入れていますか？
澤野社長：私は来年、再来年あたりにどうですかと言っているんですが、久野社長は「まずは台湾をしっかり」と仰っています。
久野社長：オーダーメイドなので、人材は簡単には育ちません。職人とデザイナーが育つスピードでケイウノは伸びてきました。
売上が伸びるほど、職人やデザイナーの課題も出てきます。売上だけでなく、育てることも同時に力を入れてやらなければいけないんです。
中国本土はより伸びしろがあるので、教育と体制を整える必要があります。
澤野社長：オーダーメイドなので、人的、アナログ的ナレッジの蓄積には一定の時間がかかります。でもそこがケイ・ウノさんの強みであり、ブランドが立つところでもあります。弊社と企業文化の違いはありますが、近いうちに中国進出なども一緒にできたらと考えています。
編集部：現地のデザイナーを採用することも考えているのですか？
久野社長：日本の職人やデザイナーを派遣するかたちでやっていくのが良いかと思っています。「日本人がやっている」というブランドも必要だと考えています。
編集部：日本国内では婚姻組数が減少傾向で頭打ち感を感じ、海外に活路を見出したいと考えているブランドは多くありますが、その中でケイ・ウノさんが早期に決断できた理由はなんですか？
久野社長：根本にはモノづくりを世界に伝えたい、弱っている日本のモノづくりを強くしたいという想いがあります。
ただ、一企業でやるよりも、いくつかの企業とタッグを組んだ方が有効だと思っていました。
ただ、本当に価値観が合わないと自分たちの損得だけになってしまう。でもその不安がプリモ・ジャパンさんとなら一切ありません。
プリモ・ジャパンさんという最高のパートナーと出会えたことで、こうした機会に恵まれたと思います。
現在、日本のモノづくりは壊滅的な状況で、海外で作っているところがほとんどです。
良いものをつくるためには、工場を自前で持つことが必要だと考えており、ケイ・ウノはジュエリー業界の中で国内に大きな工場をもつ最後の存在となりました。当社では時計や靴も作っていますが、最初の開発には莫大な費用がかかります。
でもそういうリスクのあることをやるのは楽しい。やった方が絶対いいことは絶対にやりたいんです。
世界に出ることで日本のモノづくりが見直されることもあるので、ベストな選択だと思っています。
ケイ・ウノでないとできない文化があるので、他に真似できないものをつくっていきたいです。
会社が成長するためにも海外に進出し、将来的には中国やヨーロッパなど色々な国でモノづくりを伝えていきたいと考えています。
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久野社長、澤野社長の今回の台湾１号店にかける熱い想いや、台湾のブライダルジュエリー市場についてなど、貴重なお話を聞くことができました。
オーダーメイド文化がまだない台湾で、オーダーメイドのパイオニアとして大きなチャレンジを仕掛けていくケイ・ウノとプリモ・ジャパン。
そのチャレンジの根本にある日本のモノづくりに再び活気を取り戻したい、モノづくりを世界に広げていきたいという高い志に感動しました。
両社の挑戦にこれから目が離せません。
■ケイウノ台湾 1 号店について
店舗名：台北忠孝旗艦店
住所：台北市大安区忠孝東路四段 177 号
アクセス：台北捷運板南線 忠孝敦化駅 地上出口 1 すぐ
営業時間：12：00〜21：00
売場面積: 164.4 �屐淵丱奪�ヤードを含まない）
特徴：
・ジュエリー工房併設（職人常駐）
・ジュエリーデザイナーによるデザイン提案
・ディズニーデザイン ジュエリー取り扱い
・アフターサービス（サイズ直し、店舗でのクリーニングなど）永久無料 ※一部対象外
店長：�� 喬文（Melissa Teng）
コメント「璞琳夢台湾が台湾市場で 12 年間培った知見を活かして、日本最大のオーダーメイドジュエリーブランドを台湾のお客様に体験してもらいたいです。一緒に働くスタッフを家族のように大切に思っています。温かい家庭のような雰囲気でお客様をお迎えしたいと思います。」
マイナビウエディングでは、多くのカップルにブライダルジュエリーを通して幸せを届けている
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