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ストレスで髪の毛を抜いてしまう「抜毛癖」 皮膚科医が実際に取り組んだ三つの改善法とは?

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2019年08月02日 07:00  AERA dot.

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写真大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
 無意識もしくは衝動的に髪の毛を抜くことで起きる「抜毛癖」。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師は、受験生時代に過度のストレスで髪の毛を抜く癖がつき、一時ハゲるまで抜くこともあったそうです。その癖を直すために大塚医師が実践した具体的な行動を紹介します。


*    *  *
 私は高校時代、思春期をこじらせ勉強もせずに遊んでばかりいました。成績はみるみる下降し、あっという間におちこぼれました。高校3年の夏に受けたセンター試験の模試はひどいもので800点満点中300点台。

 私の家は医者家系ではないのですが、自分が小児ぜんそくだったこともあり将来は医者になりたいと思っていました。高校3年のとき、父親が大けがをしたことがきっかけに「やる気スイッチ」が入りました。毎日猛烈に勉強しました。眠気に負けないように手の甲に針を刺して勉強をした日もあります。

 自分を極限まで追い込んで勉強、と言えばかっこよく聞こえるかもしれません。

 でも実際、やりすぎはよくありません。私は過度のストレスで髪の毛を抜く癖がつきました。トリコチロマニア(抜毛癖)という症状です。

 トリコチロマニアとは、無意識もしくは衝動的に髪の毛を抜くことで起きる脱毛症で、小学生までの女の子に多いとされています。

 私の場合、机に向かい問題集と向き合って10時間以上過ごす中で、ストレスから髪の毛をいじってしまうようになりました。

 そして、気がつけば髪の毛を抜いてしまうようになりました。

 しばらくは、右の前髪付近だけ毛が薄くなっていました。

 医者になってから本気でトリコチロマニアを直そうと取り組みました。その結果、完治はしなかったものの症状は改善しました。髪の毛をいじる癖は直っていませんが、ハゲるまで毛を抜くことはなくなりました。

 体に悪いこと、健康に悪いことを続けてしまう原因のひとつは、その行為になんらかの快楽が伴うからです。

 たとえば、アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは体をひっかくことは肌に悪いと自覚しています。それでもかくと気持ちいいし、血が出るまでかきむしった後は罪悪感が残ります。

 トリコチロマニアも毛を抜くのが気持ちいいのです。症状がひどかったときの私は毛が抜けることに快楽を感じていました。

 皮膚病の原因となる自傷行為はやっかいなものです。癖になってしまったものを直すには時間がかかります。

 今回は「皮膚に悪い癖を直すため」に私が取り組んだ三つの対策について紹介します。トリコチロマニアの方は少ないかもしれませんが、アトピー性皮膚炎のお子さんをもつ保護者の方々にお役に立てば幸いです。

1. 罪悪感が残る言葉を使わない

 トリコチロマニアがひどいとき、「髪の毛を抜いちゃだめ」と家族を含めいろんな方に言われましたが、その注意が役に立ったことはありません。同じように、アトピーのお子さんに「かいちゃだめ」と言うのは効果がないと思っています。かいちゃいけないのは自分でよく理解している場合のほうが多いのです。私も髪の毛を抜いちゃいけないのは自分でよくわかってます。だめなことをしているのは十分理解しているところに「やっちゃだめ」と注意するのは、実際にやってしまった後の罪悪感を強めるだけです。罪悪感が強くなっただけでは、癖は直りませんし、罪悪感が強くなればストレスはより強くなります。本人がその癖に気がついていないのならば、「いま触ってたよ」と声をかけるだけで十分です。

2. ほかの癖に置き換える

 髪の毛を抜きたいと思ったとき、それ以上の気持ちよさを感じる癖を身につければ悪い癖は直ります。例えば私の場合、髪の毛を抜く癖をペン回しに置き換えました。髪の毛を抜きはじめたら、気がついた瞬間からペン回しの練習をします。ペンを落として周りに迷惑をかけたりもするのですが、ペン回しに熱中すると髪の毛を抜きたい欲求が収まります。おかげでペン回しは数パターンできます。(医者として全然役に立たない特技です!)

 ペン回しはさすがにちょっとという方には、触り心地のよいクッションやぬいぐるみを用意するという手もあります。手頃な価格のビーズクッションや緩衝材のプチプチを繰り返し遊べる玩具もあります。とにかく一定の時間だけ両手が塞がればよいのです。なるべく楽しめるものを見つけましょう。

 お子さんがアトピー性皮膚炎の場合、かきはじめたら両手を握って一緒に歌って踊ることをおすすめしています。「かいちゃだめ!」と叱るのではなく、両手をつないで踊ってみてください。ミュージカルのように大げさに踊ると大人もけっこう楽しいですよ。

3. できないものとして最悪を避ける

 やってみるとわかりますが、癖を置き換えるのはなかなか難しいことです。健康被害の少ない新しい癖のほうが楽しい、となればいいのですがそうは簡単にいきません。

 私のトリコチロマニアの場合、毛を抜くのはなんとしてもやめたいのですが、この癖がなかなか直らなかったので「髪の毛を触るのはOK」としました。

 アトピー性皮膚炎の方の場合は、爪でひっかいて傷になってしまうことだけは避けたい。傷ができると感染源になりますし、治るまで時間がかかります。なので、かきむしってもよいように爪は必ず切っておく。かきはじめてしまったら、かいてもよい時間を決めておく。かくときはなるべく皮膚を傷つけないように指の腹でかくなど、ある程度は許してあげたほうがよい場合もあります。できないものと想定して最悪を避けるように工夫します。

まとめ

 今回はトリコチロマニアを直すため自分が実践した具体的な行動を紹介しました。髪の毛を抜いてしまうトリコチロマニア以外にも、円形脱毛症やその他の病気で毛が薄くなることがあります。毛が薄くなったと感じたら、まずは皮膚科を受診しましょう。

 また、生活習慣病のように、皮膚病を引き起こす悪い癖というものがあります。癖を直すのはとても難しく、トリコチロマニアも症状が強い場合は専門家の指導が必要ですし、薬物療法が適応となる場合もあります。日常生活の工夫で対応できる程度であればよいのですが、生活に支障が出るほどの悪い癖である場合は、心療内科の医師に相談することをおすすめします。

○大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

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このニュースに関するつぶやき

  • あれ?そんな症状ないのに髪の毛がない。(泣)オカシイな。頭の毛を抜こうにも、ないので仕方がない。頭さわるとダイレクトに頭皮なものでね。仕方がない。
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  • 髪の毛を抜くことがストレスって知ったのは大人になってからだったなー 髪の毛を触るな、不潔だと言われても我慢できないんだよー 話聞いてくれる人いなかったし
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