今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■吉本興業問題に元組長が発言
この暴排の世の中で、「発言する元親分」がここまで増えるとは、誰が想像できたでしょう。元山口組の直参(二次団体)の天野組・天野洋志穂(よしお)元組長が「週刊ポスト」(小学館)のインタビューに応じて、吉本興業問題を「スケールが小さ過ぎてイヤになる」とコメントしたことが話題になっています。
お写真で見る限り、数えで傘寿の天野元組長は、とてもお元気そうです。そもそもヤクザや元ヤクザが元気で長生きする時代が来たというのもすごいですね。天野組長は、山口組の中でも「武闘派」と呼ばれた方で、1997年に射殺された宅見勝若頭の宅見組の副組長でした。若頭の仇(かたき)である中野会の副会長を、キッチリ若い衆に撃たせています。このことは、中野会の中野太郎元会長の著書『悲憤』(講談社)にも詳しく書かれています。中野会副会長も人望があったそうで、中野元会長もショックと怒りを隠せなかったそうです。思えば中野元会長も「発言する元親分」ですね。やはり当事者の言葉は重いですね。
■山口組との「関係」で干された美空ひばり
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「週刊ポスト」の天野元組長へのインタビュー内容は、芸能界とヤクザの関係が中心でした。まあ登場人物は高倉健さんとか勝新太郎さんとかなので新しくはないのですが、昔はそれなりにカタギと親分衆が仲良くできていたことはわかります。
ただ、よくいわれる美空ひばりさんと三代目山口組の田岡一雄組長の関係は、当時も問題視されていました。もちろん今ほどの大問題にはなっていませんが、「暴力団組長と付き合うような歌手は『紅白歌合戦』に出演させるな」といった苦情がNHKにたくさん寄せられたそうです。その頃にひばりさんの実弟さんが不祥事を起こしてしまい、さらにバッシングも強まっています。でも、ひばりさんが実弟さんや田岡組長から離れることはありませんでした。
結局、ひばりさんは73年末には紅白出場を辞退させられています。それまで17回も出場して、63年から10年連続の紅組トリを務めたのに、その後は特別出演などはあっても正式な出場はしていないとウィキペディアにもあります。半世紀近く前の話ですが、構造的には今と変わらないんですね。
「今はもう、われわれが芸能界から恩恵を受けることは一つもない」
「利益供与なんか一銭もない。むしろ、われわれは利用されている」
六代目山口組・司忍組長は、産経新聞に芸能界との関係をこう明かしています。
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ちなみに主な「利益供与」とは、ヤクザが芸能人にお小遣いをあげるほうですね。芸能人からお金を取り上げるヤクザもゼロとは言いませんが、基本的にヤクザも芸能人が好きなので、「ワシ、○○と友だちやねん」とか自慢したいし、自慢できる関係になるのが「恩恵」なのだと思います。
というか、そもそも「飲む・打つ・買う」がキホンの芸人さんを時間通りに高座やテレビ局に行かせたり、芸人さん同士のトラブルを収めたりするのもコワモテの仕事ですからね。怖い人が言わなければ、言うことなんか聞きません。
芸能人も芸能人で、今でもたまに「黒い交際」などと報道されたりしますが、ヤクザと付き合う人は珍しくありませんでした。というか、むしろ喜んで付き合ってましたね。むしろ芸能人のほうが、ヤクザを好きな気がします。
なお、以前も書かせていただきましたが、大物歌手のKさんは、年齢もあって紅白を引退するつもりだったのに、「今やめたら、『やっぱりヤクザと関係があったんかい!』とうわさになるので、仕方なく続けた」そうです。真偽のほどは微妙ですが、ありそうなお話ですね。