スカパラ、三代目JSB、Creepy Nuts、CKB、SPiCYSOL……魅力的なコラボが堪能できる新作

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2019年08月06日 13:51  リアルサウンド

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東京スカパラダイスオーケストラ『リボン feat.桜井和寿(Mr.Children)』(CD)

 桜井和寿(Mr.Children)をゲストボーカルに招いた東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ)の“歌モノ”シングル、海外のトップクリエイターの共同プロデュースによる三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)の新曲など、魅力的なコラボレーションが堪能できる新作を紹介。海外のシーンと同様、国内でも意外性に溢れたコラボやコライトによってヒットにつなげる流れができつつあるようだ。


(関連:【写真】東京スカパラダイスオーケストラが語る、エレカシ宮本浩次とのコラボ曲に込めた“30年分の音楽人生”


 昨年の『ap bank fes ’18』で初めて共演したスカパラと桜井和寿。その1年後の夏、スカパラのデビュー30周年を記念した“歌モノ”シングルとして、「リボン feat. 桜井和寿(Mr.Children)」が届けられた。「スカパラ三十周年のために何かさせて欲しい」という桜井の申し出によって制作がスタートしたこの曲は、NARGO(Tp)が作曲、谷中敦(Baritone Sax)が作詞を担当したナンバーだ。オープニングはド派手なホーンのフレーズ。軽快なスカビートを軸にした生々しいバンドサウンド、躍動感としなやかさに溢れた桜井のボーカルがぶつかり合う、スリリングにして開放的な楽曲に仕上がっている。〈祈るように待つのはもうやめた/哀しみはデタラメに塗り潰せ〉に象徴される、切実なポジティブ感と強い説得力に満ちたリリックも素晴らしい。


 8月2日放送の『ミュージックステーション』で初披露、翌日3日に全世界配信された新曲「SCARLET feat.Afrojack」は、“赤”をテーマにしたサマーチューン。デヴィッド・ゲッタ、アリアナ・グランデなどの楽曲を手がけてきたオランダ出身のクリエイター、ジョルジオ・タインフォートと、世界的プロデューサー/DJであり、三代目JSBの「Summer Madness」に関わったAfrojackの共同プロデュースによるこの曲は、フロアを盛り上げるアッパー感、そして、切なくも悲しげなメロディラインを共存させた哀愁系エレクトロと呼ぶべきナンバーに仕上がっている。躍動感に溢れたダンスパフォーマンス、ボーカリスト2人の魅力をバランスよく際立たせる構成も見事。世界の潮流を反映させつつ、J-POPとしても成立させてきたこのグループの最新モードを示す1曲と言えるだろう。


 表題曲「よふかしのうた」(『オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー』公式テーマソング)、「犬も食わない」(日本テレビ系コントバラエティ番組『犬も食わない』テーマソング)などを含む新作ミニアルバム。メンバーのR−指定(MC)とDJ松永(DJ)とオードリーとの交流から派生した「よふかしのうた」、番組の趣旨に賛同して書き下ろした「犬も食わない」ともに、“なぜこの曲をCreepy Nutsが作ったか”という動機、文脈がはっきりしているところがポイントだろう。特筆すべきは、すでにライブアンセムとなっている「生業」。トラップ系のトラックにストロングスタイルのラップを乗せ、“ラップをやっていきることとは?”という根源的なメッセージを込めたフレーズを刻んだこの曲は、このユニットの高い実力とセンス、ヒップホップに対するプライドが真っ直ぐに伝わってくる。


 デビュー20周年を迎えても絶倫ぶりは止まることなく、(ほぼいつも通り)1年のスパンで届けられた通算19枚目のオリジナルアルバム『PACIFIC』のテーマは、ずばり“港街(≒ヨコハマ)”。〈色んな国のコンテナが行く〉(「Tampopo」)というフレーズ通り、港町にはありとあらゆる物資、文化、人種、感情などが渦巻き、混ざり、通り過ぎていく。その雑多にして人間くさく、奥深い魅力に溢れた世界は、CKBの音楽——ソウル、ファンク、アシッドジャズ、ヒップホップ、ロックンロール、ボサノヴァ、歌謡曲などが入り混じった”セルフコライト状態”ーーと直結している。横山剣の脳内サンプラーの性能はさらに向上。どこかで聴いたことがあるような、でも、決して触れたことがない楽曲をたっぷり堪能できる。2019年秋公開『影に抱かれて眠れ』主題歌「場末の天使」のいぶし銀のブルーズにもシビれる。


 サーフカルチャーを背景に、ロック、レゲエ、ヒップホップ、R&Bなどを織り交ぜた音楽性で徐々に知名度を上げているSPiCYSOL。今年1月に発表されたEP『FREE-EP』と対になる新作EP『EASY-EP』はメンバー間のコライトにより、さらに多様性を増したサウンドが楽しめる1枚。軽快なギターカッティングときらびやかなシンセを用いた「Traffic Jam」、沖縄出身のラッパー・Rude-αを招いた、ゆったりとアガれるヒップホップチューン「The Night Is Still Young feat. Rude-α」、ラテンのフレイバーをたっぷりと振りかけた「Fresh Go」(ブラジル発祥のビーチ・スポーツ『フレスコボール』公式応援ソング)などを収録。(森朋之)


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