『Heaven?』志尊淳×小関裕太×柾木玲弥のテニミュ俳優が集結! ユーモラスな演出にも注目

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2019年08月07日 15:41  リアルサウンド

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火曜ドラマ『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(c)TBS

 第3話で致命的なミスをしてしまい、「ロワン・ディシー」を大混乱に陥れた川合(志尊淳)。一向に接客技術がままならないどころか、ミスを連発する彼の姿から幕を開けた6日放送のTBS系列火曜ドラマ『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』第5話。登場人物ひとりひとりにフォーカスが当てられてきた流れに即し、今回は川合の物語となったわけだが、これまでのように過去を掘り下げるのではなく、あくまでも彼の現在を見つめ続けていた点は興味深いところといえるだろう。


参考:石原さとみが『Heaven?』で見つめた、自分らしさ 「自分に飽きたくなくて変わりたい」


 相変わらずの根拠なき自信(そして“ミステリーの女王”としての推理力)で、覆面取材の雑誌に「ロワン・ディシー」が紹介されるに違いないと豪語する仮名子(石原さとみ)。しかし覆面記者だと思っていた客は、実は英代(内田慈)の紹介で職探しにやってきただけであり、しかも接客がダメすぎることを指摘されてしまう。悔しさを覚えた仮名子は、川合に接客のノウハウを一から叩き込むために、伊賀(福士蒼汰)に教育を一任する。しかし何度やってもうまくならない川合にさらに苛立つ仮名子。そんなタイミングで、店で働きたいという青年・峰(小関裕太)がやってくるのだ。


 川合をクビにして峰を採用するという仮名子の指示に、頭を悩ませる伊賀。「完璧じゃなくていいけど、最低限仕事ができなきゃだめ」という仮名子の言葉は正論である一方で、それに対して伊賀が言う「きっと彼にしかできないことがある」というのも決して間違った意見ではない。そしてそれと同時に、仕事がうまくできなくて失敗つづきでも、川合は楽しんで仕事をしていることを知った伊賀。“できない従業員”をどのように教育していくかという今回のテーマは、保守的ながらも合理的な価値観と進歩的で現代的な価値観のせめぎ合いを描き出すものであっただけに、もっと深掘りされてもよかったと見える(そういったファクターをあえてさらりと躱すようにして小ざっぱりとまとめる点が、このドラマがコメディとして弾けきれていない弱点なのかもしれない)。


 とはいえ、すっかり本作のおなじみのスタイルとなっている各登場人物の思考が頭の上に浮かび上がる演出に関しては、徐々に様々なバリエーションを見出そうと模索している様子が窺える。序盤から「諦観」以外の文字情報で各々のスキルのレベルを表現したり、仮名子の手の動きに合わせて浮かび上がった「ロワン・ディシー」の文字を堤(勝村政信)がモップで拭ってみたりと、一見すると突飛に見える古典的な情報過多演出がしっかりと扱いきれているのは、決してドラマがすでに折り返し地点を迎えたからというわけではないだろう。少なくとも、各々がミスを自己申告するときの回想へ飛ぶ際の演出は、従業員同士の連帯感と相まってなかなか好意的に映った部分だ。


 さて、今回のエピソードで峰役として登場した小関裕太、そして川合が伊賀に送ってもらってたどり着いた居酒屋の前で会う友人役の柾木玲弥と、志尊の出世作でもあるミュージカル『テニスの王子様』キャストが集結したのは大きな見どころであったといえよう。しかもその後も志尊と小関の2人は『覆面系ノイズ』や『半分、青い』(NHK)で、志尊と柾木は『きみはペット』(フジテレビ系/関東ローカル)でも共演するなど、同世代(学年で言えば小関が1つ下だが)の俳優として切磋琢磨してきた間柄だ。愛くるしい笑顔で憎めないタイプの志尊に、対照的に“できる感じ”がにじみ出るが愛想たっぷりの小関、どこか飄々としながらも少ない出番で存在感を発揮する柾木。彼ら自身もまた“彼らにしかできない”役を演じているわけだ。 (文=久保田和馬)


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