横浜を倒した県立進学校! 相模原の強さの秘密をOBたちに聞いてみた(後編)

0

2019年08月09日 12:12  ベースボールキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ベースボールキング

写真
今年の高校野球選手権神奈川大会で優勝候補の横浜を準々決勝で破り全国の高校野球ファン、関係者を驚かせたのが神奈川県立相模原高校(以下県相)だ。県内屈指の進学校が全国的な強豪校を倒すことができた秘訣はどこにあるのだろうか? 横浜国立大学野球部でプレーしている3人のOBに話を聞いてみた。



お話を聞いた3人の県相OB
森山 皓介(もりやま こうすけ)
3年 外野手 横浜国立大学 理工学部 数物電子情報系

中嶋 拓未(なかじま たくみ)
4年 外野手 横浜国立大学 理工学部 建築都市環境系

金子 圭希(かねこ よしき)
4年 内野手 横浜国立大学 教育人間科学部 学校教育課程(家庭科)

■卒業して分かった、県相の強み
――レベルの高い神奈川県で公立の進学校がコンスタントに結果を残せるのは凄いことだと思います。卒業して大学で色んな他の高校出身の選手とも接している中で、県相の強みとなっている部分はどんなところにあると思いますか?

森山「バッティングに関して言うと、他のチームと比べて打てない選手がいないというのが大きいと思います。元々打てる選手は当然更に打てるようになるんですけど、打撃が弱かったような選手のレベルも引き上げられていて、チームとしての水準が高いというのはありますね。下位を打つような選手でも簡単にアウトにならずに、みんなきちんとしたバッティングができるようになるのは強みじゃないでしょうか」

中嶋「校風が影響しているのかもしれませんけど、基本的に真面目な選手が多いと思います。人柄が良い選手が多いので、みんなで同じ目標に向かって努力できる。そういう基盤がある上に佐相先生の指導があって、全員でレベルアップできているというのはあると思います」

金子「佐相先生が横浜、東海大相模、慶応、桐光学園の『私学4強を倒す!』ということを常に言っていて、選手の意識が上がっていると思います。あと練習試合でも普通の公立高校がなかなか対戦しないような強いチームと日常的に試合をやって、普段から見ている野球のレベルが高いというのもありますね。油断とか慢心とかいう意味ではなくて『普通にしっかりやれば公立相手には負けない!』という自信を持ってプレーできていました」

■甲子園出場のために足りないもの、必要なもの
――去年は準々決勝で強豪の東海大相模をあと一歩まで追い詰めて(初回に5点を先制するもその後追いつかれ、試合終盤に再度リードするも9回裏に3点を奪われ逆転サヨナラ負け)、今年は横浜に勝ちました。この上となると甲子園という話になると思いますが、そのためにはまだ何が足りないと思いますか?

森山「一つ大きいのは運だと思います。どうしても県立高校が私立の強いところを三つ、四つ倒すのはなかなか大変なので、ある程度恵まれたゾーンに入って、まだピッチャーも元気な状態で準決勝、決勝で強豪私学を二つ倒す。そういう流れになればチャンスはあると思います」

中嶋「今年を見ていてもピッチャーの層の厚さが私立と比べるとどうしても足りないように思いました。しっかり計算できるピッチャーが一人だと厳しいですね。私立は2枚、3枚いて、上位に来てもまだ余力があるように見えるので、その差を埋めないとなかなか続けて勝つのは難しいと思います」

金子「今年はエースの子が頑張っていて、自分たちの代も宮崎(現立教大)がいたから勝てたというのはあると思うんですけど、やっぱり同じレベルのピッチャーが最低もう一人はほしいですね」


■強豪私学と渡り合うには「どれだけ頭を使えるか」
――県内有数の進学校ということで勉強との両立は大変じゃなかったですか?また、そんな中でも野球に打ち込んだことで得たものなどはありますか?

森山「現役で野球をやっていた時は、勉強はほとんどできていなかったです。テスト前にやっていたくらいですね(笑)。一年浪人しましたけど、引退後に勉強をしっかりやって、今大学でもこうやって野球ができているのは県相で野球をやっていたからだと思っているので、それは良かったと思っています」

中嶋「自分は正直成績が良かったほうなので勉強はあまり苦労しませんでした(笑)。学校から家が近いこともあって、他の選手に比べて時間があったのも良かったですね。引退してからは受験勉強を一生懸命やりましたけど、野球をやっていた時はほとんど授業だけです。でも授業をしっかりやることがベースになるので、現役の高校生にもまずは授業でしっかり勉強することを大事にしてもらいたいですね」

金子「森山、中嶋は野球部の中でも成績が良くて、自分は真ん中より少し下くらいでした。通学も片道1時間半近くかかりましたし、練習で疲れているというのもあって、家に帰ってからはなかなか勉強できなかったですね。それでも野球部を引退してから勉強すれば大学受験には間に合うので、現役の高校生はそんなに心配しなくてもいいと思います。私立の選手はもともと能力が高いうえに練習量も多いので、そんな相手に自分たちのような学校が勝つにはやっぱりどれだけ頭を使えるかだと思います。逆に言えばそれが強みであって、それは大学野球でも生きていると思います」

■甲子園で見たい、恩師の姿
――最後に高校時代の恩師、佐相監督に一言お願いします。
森山「先生の指導は分かりやすくて、本当にその通りにやったら打てるようになりました。ここまで来たらもう甲子園に行ってくださいとしか言えないですね」

中嶋「指導は本当に的確で、自分も高校時代にバッティングの自信がつきました。甲子園必ず行ってください」

金子「横浜に勝っておめでとうございますというのも変かもしれませんが、本当に凄いと思いました。本当に360度全方位から見ているんじゃないかと思うくらい、バッティングについては色んなことをアドバイスしてもらいました。甲子園出るの、楽しみにしています」(西尾典文)

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定