渡辺麻友、『なつぞら』は新たな代表作に “無邪気でマイペース”になつを支える

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2019年08月16日 06:11  リアルサウンド

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『なつぞら』(写真提供=NHK)

 『なつぞら』(NHK総合)は、女性の働き方に対する結婚、妊娠への考え方が描かれた朝ドラでもある。


参考:麒麟・川島明が“理想の上司”に 『なつぞら』東洋動画を支える低音癒やしボイス


 まるで“最終回”と話題になった第19週「なつよ、開拓者の郷」を受けて、第20週「なつよ、笑って母になれ」は新章の始まり。なつ(広瀬すず)と坂場(中川大志)の新婚生活、そして妊婦となった茜(渡辺麻友)が原画作業に取り組む様子、働きながら出産することの大変さ、男性との考え方の乖離は、今後の『なつぞら』のストーリー展開を予感させる大事な要素になっている。


 茜が本格的に登場し始めたのは、第11週「なつよ、アニメーターは君だ」から。東洋動画ではなつの先輩に当たるが、同じアニメーター試験を受けていた頃から茜はなつに一目置いていた。東洋動画の中庭は、お昼休みに本音を漏らす場所としてすっかりお馴染みになっているが、「結婚すれば女性は家庭に入る」といった当時の社長・大杉(角野卓造)の挨拶に、なつと茜、さらに麻子(貫地谷しほり)を巻き込み議論を交わしていた。


 麻子は、会社から辞めないでくれと引き止められるようなアニメーターになればいいという、言わば結婚より仕事といった側。麻子の意見に賛同するなつに、茜はあっけらかんとした様子で「あんなふうになりたいの?」と麻子に対して、懐疑的な態度を示していた。それは、言わば麻子やなつとは逆の、結婚したら仕事を辞めるのが当然という考え方。もともと、茜は漫画映画をよく知らないまま東洋動画を受けたという経緯もあっての姿だ。しかし、麻子は結婚を機に東洋動画を退社、茜は会社の視線と葛藤しながらもアニメーターを続けている。互いに、なつのアニメーションにかける情熱に感化され会社や仕事への考え方が変わっていった結果だが、見事に立場が逆転しているのも面白い。


 なつにとって、茜は東洋動画での同志と呼べる存在。もちろん、坂場もなつの同志に当たるわけだが、演出を担当した『神をつかんだ少年クリフ』が不入りに終わり、坂場が業界を退いた後、なつの側にいるのは茜になる。仕事への向き合い方は変わっているものの、おっとりとしたマイペースの性格はそのまま。『なつぞら』には、なつと坂場を始め、今週結婚を決めた咲太郎(岡田将生)と光子(比嘉愛未)など、多くのカップルが生まれているが、茜と下山(川島朗)が結ばれるという展開を予想できた視聴者はなかなかいなかったのではないだろうか。


 東洋動画におけるアイドル的存在でもある茜には、神地(染谷将太)と堀内(田村健太郎)の2人からのアプローチが飛んでいた。特に神地には、ツンデレな態度を取る茜がフィーチャーされており、この2人が結ばれるのでは? と、思わせておきながらの下山というのも、少し変わった茜らしい選択。電撃結婚の報告を受けた神地が、茜のメガネと髪留めを外してダンスを踊ったのは、彼女の素の表情を見抜いていたからとも思える。


 茜を演じる渡辺麻友は、先日自身の公式ファンクラブ「ダブミー」を9月末を持って休止することを発表した。ファンが求める「まゆゆ」と今の「渡辺麻友」との間に大きな隔たりがあるのではないかと悩む日々が続き、今後は女優業に専念すると見られている。AKB48として王道のアイドル像を確立した渡辺だが、素は無邪気でマイペース。グループ卒業後は、主演を務めたミュージカル『アメリ』のほか、『シティ・オブ・エンジェルズ』と舞台を中心に活躍している。


 AKB48時代から完璧主義と言われていた渡辺にとって、茜はぴったりの役柄。キャラクター性もそうだが、「私にとって、アニメーター役を演じることは、子供の頃に憧れた夢が叶ったかのようです」(『連続テレビ小説 なつぞら Part2』(NHKドラマ・ガイド)より)と語る渡辺に、『なつぞら』への出演が大きなターニングポイントになっていると思えてならない。今後は、広瀬すずと共に母としての姿を演じていくこととなる渡辺。茜は「渡辺麻友」にとっての新たな代表作として多くの視聴者に刻まれていくだろう。


■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter


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  • 前の主役のドラマでは、イマイチだったけど、脇役の方が良い感じに思える。このまま脇役を突き詰めたら良いんじゃないかと思った。
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