育成年代の野球で大切なことを日体大の監督に聞いてみた

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2019年08月16日 17:12  ベースボールキング

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高校野球、中学野球に多くの指導者を輩出していることでも知られる日本体育大。野球部を指導する古城隆利監督は、悪しき体育会の伝統を排除し、上級生が率先してチームや寮の雑用を行い、後輩の面倒をみるという「体育会イノベーション」を実践していることでも知られている。そんな古城監督に、育成年代の子ども達と野球についてお話を伺った。



■小学校のうちは特に楽しさを教えてもらいたい
――現在、小学生や中学生の育成年代の野球人口が減少しているという話がよく聞かれますが、野球をやる子ども達を増やすためにはもっとこうした方がいいんじゃないかと感じられるようなことはありますか?
古城「自分も息子が二人いて、長男は野球をやりましたが次男はやりませんでした。明確に理由を言ったわけではないですが、私も大学の野球部につきっきりで家庭のことはあまりできませんし、そんな中で母親がお茶当番や色々な雑用があるのを大変だと感じて、やらなかったというのはあると思います。それを考えても野球をやることでかかる親への負担が大きいというのはありますよね。
あと監督やコーチが怒ってばかりで怖いから嫌になるという子も多い。そういった部分が改善されるだけでもだいぶ変わってくるんじゃないですかね」

――育成年代である学童野球の指導者の方たちに伝えたいことは何かありますか?
古城「小学校のうちは特に楽しさを教えてもらいたいですね。よく言われることですが、子どものうちに勝ちを求めてしまうとどうしても試合に出られない子もたくさん出てくると思います」



■体ができていない間はなるべく負担がかからないように
――勝つことや厳しさを教えることも必要な時期があると思いますが、それはどれくらいの時期から必要だと思われますか?
古城「高校野球を視野に入れ始めた中学の最後くらいからでいいと思います。野球の楽しさを覚えてもらいたいというのと同時に体ができていないうちに厳しくやることの負担も気をつけないといけない。
今年のプロ野球の開幕投手は阪神のメッセンジャー投手を除く日本人選手11人がみんな中学時代は軟式出身だったというのも一つの象徴的な出来事だと思います。子供を早く硬式に慣れさせたいという親の思いもあると思いますけど、体ができていない間はなるべく負担がかからないようにすべきですよね。そういう意味では中学時代は学校の部活で軟式野球をやるくらいがちょうどいいのかなと思ったりもします」

―― 一方で中学の野球部員の減少が一番顕著だと言われています。
古城「学校が難しければ、他でもっと入りやすい環境のチームを作れるといいですよね。習い事にはお金をかけるわけですから、時間的な負担はかけずにお金をかけて何とかしたいという親も多いはずです。サッカーはクラブチームが多いですけど、親の負担はあまり聞かないじゃないですか。そういう文化的なところから変えたいですよね」

■ある程度のルールの中で楽しくやるのが一番!


――文化的な話で言うと、坊主にするのが嫌で野球をやりたくないという子もいると聞きますね。
古城「うちにいた大貫(晋一・現DeNA)も短髪にするのを嫌がりましたからね(笑)。そういう子も確かにいると思います。ちなみに日体大の野球部は逆に坊主は禁止にしています。これから社会人になる大学生として相応しい髪型は坊主ではないだろうと思うんですよね。今はファッションで坊主にする人もいますけど。ただ就職活動する時に坊主よりも普通の髪型のほうが一般的には相応しいですよね。そういう意味で無精ひげもうちはダメです」

――ちゃんとした理由がなくて、しきたりだから続けているみたいなことが野球界には多いような気がします。
古城「そうですね。ある程度の規律は必要だと思いますが、理由がないのに続けているのは意味がないですよね。だからうちはこの暑い時期の練習はハーフパンツでやっています。海外はみんなそうですから。子どものうちは特にある程度のルールを決めたらとにかく楽しくやること。それが一番じゃないでしょうか」
(取材:西尾典文/写真:編集部)

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  • 勝ちを求めていく内にゲームがつまらなくなることほどかわいそうなことはない。その子の未来にも、野球というゲームにも。
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