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現役モデルも被害に 「人物撮影」で損害賠償請求も!?

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2019年08月17日 07:00  AERA dot.

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写真撮影会での鎌田紘子さん(撮影/作田裕史)
撮影会での鎌田紘子さん(撮影/作田裕史)
 女性モデルと写真家。そこには暗黙のルールが存在する。信頼関係があるからこそ、モデルは写真家に心を委ねることができ、魅力的な人物写真を撮ることができる。

 だが昨今、両者のルールは変わりつつある。その大きな要因の一つが「SNS」。時代の変化に鈍感だと、モデルとトラブルに発展することもあるので注意が必要だ。

*  *  *
「仕事の依頼も撮影の告知もツイッターやフェイスブックなどを使うことがほとんど。SNSがないと仕事にならないのですが、逆に相手の顔が見えないから“危険な人”でないか、撮影前はきちんとリサーチしています」

 こう語るのは、現役のモデルとしても活動する鎌田紘子さん。グラドルとしての活動歴も長く、メジャー写真誌から個別の撮影会まで、多くの「現場」を経験してきた。

 鎌田さんには、毎日のようにツイッターやフェイスブックに「写真を撮らせてください」という依頼が舞い込む。「3万円払うのでホテルでヌードを撮らせて」など最初から下心むき出しのメールもある。そのため、見ず知らずの人からの依頼を受けることはまずないが、ごくまれに写真が上手で実績があるだろうと判断できる人の撮影依頼は受けることもあるという。だが、警戒は怠らない。

「友人には、素性のわからない『自称カメラマン』から触られそうになったとか、密室に連れ込まれそうになったという子が多くいます。そういう人は要注意人物として女の子や事務所にマークされています。だから横のネットワークを使って、LINEなどで確認すれば危ない人はすぐにわかる。SNSで素性が確認できた人にだけ撮影のOKを出しています」(鎌田さん)

 そして、いざ撮影に臨む前には、場所や衣装、ギャラなどは必ず証拠が残る形でやりとりをする。撮影現場で「こんなはずじゃなかった」という事態を回避するためだ。

 文化、芸術活動を支援する法律家を中心とするNPO「Arts and Law」に所属する馬場貞幸弁護士によると、アマチュアの撮影でも、モデルとの「明文化された事前合意」は不可欠になっているという。肖像権など「撮られる側」の意識が年々高まっているからだ。その一方で、「撮る側」の意識は、一部それに追いついていない。

「撮影者は撮った写真の著作権を持っているので、何でも自由に使っていいと思いがちです。でも、写真を撮った瞬間にモデルには肖像権が発生します。これは憲法上の人権の一つと考えるべきで、撮影者が買い取って自由に使えるというわけではない。あくまで、モデルから肖像権の利用許諾を受けたという前提があるから、撮影者は作品を利用できる。モデルから肖像権の利用許諾を取ったかどうかの証明は、撮影者に立証責任があります」(馬場弁護士)

 方法としては、本誌6月号で昨年紹介したような署名、押印をする確認書を取り交わすのが理想。だが、前述のように撮影前はSNSのやりとりだけでモデルと会う機会がないケースも考えられる。その場合、LINEやツイッターのDMでもいいので、写真家が事前に要件をまとめた文章を送り、モデルからそれを承諾したという返信をもらっておくことが肝要だという。

「撮影場所と時間、ギャランティー、そして写真の使用範囲が明記されていれば、最低限は大丈夫だと思います。特に、撮った写真の使用範囲が最も重要になってくるので、撮影者としては、なるべく幅広い使い方ができるような書き方にしておいたほうがいいでしょう」(馬場弁護士)

 撮影後に自分の写真がどう使われるのかというのは、モデル側の最大の関心事だ。撮った写真を個人で保存、現像するだけなのか、コンテストなどで発表するのか、HPやSNSなどで作品として載せるのかなどは、慎重すぎるほど事前に確認しておいて損はない。鎌田さんはこう話す。

「撮影した写真を一枚一枚チェックできるわけではないので、常に不安はあります。私は、SNSへアップする時はその都度連絡をもらい、すべて写真をチェックしています。撮影会でも事前に告知します。そうしないと、自分が意図しない写真が無限に拡散される恐れがあるからです」

 実際に“被害”にあったモデルもいる。レースクイーンや撮影会のモデルをしている紗季さん(=仮名=28)は、自分の写真が「出会い系サイト」に掲載されているのを見て、仰天したという。衣装はモーターショーでの撮影会で着ていたものと同じだった。

「業者に連絡をとって削除依頼したら、すぐに消してもらえました。撮影した人が意図的に流出させたわけではないと信じたいですが、やはり不信感は生まれてしまいます」

 撮影画像が出会い系サイトなどに悪用されてしまうのは、一義的には業者のモラルの問題だ。だが、事前のルールづくりによって、悪用を抑制できる可能性もある。馬場弁護士は言う。

「SNSといっても、インスタグラムの画像は特別なアプリでも使用しない限りはダウンロードできない。逆にフェイスブックの画像データは閲覧権限さえあれば誰でもダウンロード可能です。ダウンロード可能な状態でネットにアップされれば、無限に複製されてもおかしくない。事前に『インスタはOKだが、フェイスブックはNG』など細かく指定すれば、若干の抑止効果は見込めると思います」

 紗季さんは、一対一での撮影に応じる、いわゆる「個撮」の仕事も受けている。その際、過剰に透けた衣装や面積が極端に小さい水着を着てほしいと言われたり、「もっとお尻を突き出すような格好をして」などきわどいポーズを要求されたりしたこともあるという。また、ローアングルからの撮影が禁止されているのにあえて狙ったり、わざとわきにまわって水着の隙間が見えるような角度で撮影しようとしてくる人もいる。

「私はできないことはやんわりと断るようにしているので、それ以上の被害はありません。でも、相手(撮影者)を不機嫌にさせたくないと思ってしまい、ただ我慢している子もいます」(紗季さん)

 こうした行為について、馬場弁護士は「肖像権の問題以前に、民法上の不法行為になり得る」と解説する。

「故意、または過失でも他人に迷惑をかけて、それが重大であると判断される場合は、損害賠償請求の対象や名誉毀損になり得ます。例えば、水着の隙間などの写真はモデルにとって『撮られたくない写真』であることは明白。それを故意に撮影したり、どこかに公開したりすれば、モデルが迷惑だと感じている行為をあえて行っていると判断できるので、不法行為に該当する場合があると考えられます」

 せっかく撮った人物写真がトラブルの“火種”とならないためにも、最低限のルールだけはしっかりと理解しておきたい。

取材・文 =作田裕史(アサヒカメラ編集部)

※アサヒカメラ2019年8月号より抜粋

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このニュースに関するつぶやき

  • コミケのコスプレイヤーなんかどう扱われるんだろうな。 相当な露出でギリギリの撮影させてるけど。 レイヤー側の承認欲求は満たされるだろうけどさ。
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