『なつぞら』広瀬すずが女性アニメーターの“開拓者”に 東洋動画に起きた変革

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2019年08月18日 06:11  リアルサウンド

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『なつぞら』写真提供=NHK

 『なつぞら』(NHK総合)第20週「なつよ、笑って母になれ」で、なつ(広瀬すず)は妊娠を迎える。


参考:『なつぞら』第121話では、なつ(広瀬すず)が母となる不安を富士子(松嶋菜々子)に漏らす


 咲太郎(岡田将生)と光子(比嘉愛未)の結婚、亜矢美(山口智子)の新たな旅立ちが描かれながら、第20週の軸にあるのは『なつぞら』でずっとテーマにされてきた女性の結婚と出産に対する働き方の問題。茜(渡辺麻友)は、下山(川島明)との赤ちゃんを授かり、東洋動画から産休明けは契約社員扱いという、実質のクビ宣告をされていた。なつと同じ原画を手がけることになり仕事に対するやりがいを見出していた茜だったが、結局は東洋動画を辞めることに。「しかたないのよ。世の中がまだそうだから」という茜の一言は、まだ職場への女性の進出が明るくない時代であると同時に、アニメーターの未来は暗いことをリアルに指し示している。


 妊娠という夫婦にとって一番の喜びに対して、これからの生活や産後も仕事を続けていけるのかという不安を抱え、素直に喜ぶことのできないなつ。そんななつの背中を押したのは、坂場(中川大志)だった。


「契約になったとしても仕事を続けたいなら好きなだけ続ければいい」


「会社がその後の君の仕事を認めれば、次からはほかの女性も働きやすくなるだろう」


 そう言って坂場は、なつが後の女性アニメーターの道をも照らす開拓者になればいいと共に支えていくことを誓うのだ。


 なつの思いは、神地(染谷将太)、下山、堀内(田村健太郎)、仲(井浦新)、井戸原(小手伸也)とこれまで関わってきた東洋動画のスタッフを巻き込み、社長・山川(古屋隆太)に伝えられる。それは茜のアニメーターとしての道が閉ざされた犠牲があったからの行動。まるで組合のデモとしての形式は、第19週「なつよ、開拓者の郷へ」で描かれた十勝支庁長への酪農を守る抗議を思い起こされる。


 社長への訴えの中で明らかになるのは、なつの、楽がしたいわけでも、お金が欲しいわけでもなく、仕事でもっともっと成長していきたい、いい作品が作りたいというアニメーターとしての尽きない意欲。なつの思いを聞いた山川は、次の作品でなつに作画監督を任せるつもりだったと明かす。作画監督は、『神をつかんだ少年クリフ』で下山が担当した役割であり、なつが務めるとなれば女性で初めての抜擢だ。産休後も社員として仕事を続けられること、さらに作画監督を任命されたなつであったが、「予測もできない未来が君を待っている。恐れず、来週に続けよ」というナレーションの通りに、この先の展開は前途多難な人生が予感される。


 第21週「なつよ、新しい命を迎えよ」では、なつの出産に富士子(松嶋菜々子)や泰樹(草刈正雄)、剛男(藤木直人)が東京へ。さらに、日本に帰ってきた麻子(貫地谷しほり)が再びの登場。「イッキュウさん、またアニメーションを作る気はない?」と誘う麻子の姿が。夫婦の間に大きく立ち塞がる子育て問題と、坂場に訪れるアニメーションへの復帰。なつたち、アニメーターに大きな変革の波がやってくる。(渡辺彰浩)


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