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夏休み、憲法について考えてみよう 斎藤美奈子が選ぶおすすめの3冊

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2019年08月18日 11:30  AERA dot.

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 参院選での与党勝利を受け、安倍晋三首相は改憲論議の進展に意欲を示し、野党は反発を強めています。「週刊図書館」の夏休み読書特集では、この機会に憲法について考えてみようと、絵本から専門書まで、様々な分野から、おすすめの3冊を選んでもらいました。

*  *  *
■斎藤美奈子(文芸評論家)
(1)『オールカラー マンガで楽しくわかる日本国憲法』川岸令和監修 ナツメ社 1200円
(2)『日本人のための平和論』ヨハン・ガルトゥング著 御立英史訳 ダイヤモンド社 1600円
(3)『青い山脈』石坂洋次郎 小学館P+D BOOKS 600円

 安倍政権が改憲するぞするぞと脅したおかげで唯一よかったのは、憲法を学ぶための本が急増したことだろう。子ども向けの憲法本もすっごく増えた。自民党がウェブ上で改憲プロパガンダのマンガを公開する今日、良心的な児童書や参考書の増加は心強い。

 その中でも特に感心したのが『オールカラー マンガで楽しくわかる日本国憲法』だ。この本の特徴は条文の理念や歴史的経緯まで解説に入れていることで、たとえば9条の解説は<先のアジア・太平洋戦争では、日本は世界の多くの国々を侵略しました>からはじまる。多くの若者が命を落とした学徒動員、民間人を巻き込んだ沖縄戦、広島と長崎に落とされた原爆。これらの反省から<これから先、二度と戦争をしないという、国と日本国民の強い決意として、第9条が定められたのです>。

 血の通った解説に加えマンガでは箒を手にした子どもがいう。<このホウキはどんな武器より強い><戦いを放棄しているからな>。護憲派も改憲派も憲法の全文を読んでいる人は意外に少ないという現実。お子様とごいっしょにどうぞ。

 現在の改憲論は、東アジア情勢の変化が背景にあるという。だが安倍政権の安全保障政策は正しいのか。『日本人のための平和論』は「積極的平和」の提唱者でもあるノルウェーの社会学者の提言の書だ。

 数々の国際紛争を調停してきた経験から<日本は米軍基地などなくても安全を確保できる>とガルトゥング博士はいう。米軍に撤退してもらい、専守防衛(国境防衛と領土内防衛)の武力を見直し、領土問題は当事国の共同管理で乗り越えれば、日米安保はおのずと形骸化すると。注目すべきはこれが理想論ではなく現実的な提案である点だろう。対米従属こそが日本の平和を疎外するという説は、日米安保にがんじがらめになった思考停止の状態から私たちを解放する。9条は積極活用できるのだ。

 日本国憲法は実際、多くの人の人権を守り精神を解放してきた。『青い山脈』は東北の女学校を舞台に新米女性教師の奮闘を描いた学園物だが、一種の民主化闘争小説ともいえる。

 ニセのラブレターと男女交際の是非をめぐって生徒からも教師からも孤立した主人公の島崎雪子。ついに保護者会で投票が行われるが、雪子に味方したのは保守的なはずの親たちだった。年長の教師を堂々と批判した雪子の姿が、特に母親たちの心を打ったのだ。この小説が朝日新聞に連載されたのは1947年、新憲法の施行直後だった。本はベストセラーになった。憲法がまぶしかった時代の小説はいま読んでも痛快である。

さいとう・みなこ=1956年生まれ。著書に『日本の同時代小説』『文庫解説ワンダーランド』『学校が教えないほんとうの政治の話』『吾輩はライ麦畑の青い鳥』『本の本』『文章読本さん江』など。

※週刊朝日  2019年8月16-23日号

【おすすめ記事】夏休み、憲法について考えてみよう 落合恵子、片岡義男が選ぶおすすめの3冊


このニュースに関するつぶやき

  • @尖閣諸島の領有権を巡って日中が対立している状況に対し、中国と日本がそれぞれ40%ずつの権益を分けあい、残りの20%を北東アジア共同体のために使うという平和的解決案を示している』死ね!
    • イイネ!7
    • コメント 3件
  • 国民主権を謳う日本国憲法の改正には「国民投票」が必要なのに、その日本国憲法が成立した時「国民投票」のプロセスを踏んでいなかったっつ〜ヘンテコリンな事実もキッチリ教えなきゃ〜ね🤪
    • イイネ!59
    • コメント 9件

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