《川崎殺傷事件》修学旅行は中止「追悼ミサで」鎮魂、カリタス小の心の傷

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2019年08月19日 05:00  週刊女性PRIME

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事件発生当初は歩道を埋め尽くすほどの花や飲み物が供えられていた

「表面的にはかなり平静になってきたように見えますが、心理的なストレスや傷は残っていると思います。夏休み中も2学期以降もケアは続けていく予定で、心理カウンセラーの増員も決めております」

 私立カリタス小学校(川崎市多摩区)の担当者は、在校生に対するケアの取り組み具合を、そのように明かす。

容疑者の自宅は

 今年5月28日朝、神奈川県川崎市多摩区登戸新町の路上で、スクールバスを待つ小学生ら20人が刃物で切りつけられ死傷した事件。同市在住の岩崎隆一容疑者(当時51)は犯行後に自殺したため、正確な犯行動機は闇に消えた。

 事件現場から直線距離で約4キロに位置する一軒家で、事件前の岩崎容疑者は、80代の伯父夫婦と暮らしていた。そこに今、人の気配はない。

 近くの古参女性住民は、

「(どうしているのか)わからないですね。むしろこっちが聞きたいくらいですよ。奥さん、どこに行ったのかしら」

 と夫婦の行方を心配する。

 事件後、学校は自家用車での送迎を認め、学校の駐車場や小学校の校庭を駐車スペースに開放していたが、

「体育の授業ができないなど不具合があったので、1学期の終わりくらいに学校内の駐車スペースについては提供をやめることにしました」(前出の担当者)

 スクールバスはいまだ稼働せず、学校は市バスをチャーターし、児童を送迎している。

「事件現場になったバス停を使うことはありません。新しい登下校の手段を今、考えている段階です」(同)

中止になった修学旅行

 事件を受け、6月に予定されていた6年生の修学旅行は中止になった。

 岩手県花巻市には、カリタス小学校の児童が修学旅行の途中で必ず昼食をとるレストラン『金婚亭』がある。

かれこれ20年以上、毎年来てくれています。旅行会社から中止に近い延期という連絡がきました。学校と直接やりとりができないルールがあるので、旅行会社を通じて、学校に直接お見舞いに伺いたい旨をお伝えしました」

 そう心配そうな表情で語る同店担当者。続けて、

「まだ数か月しかたっていませんから、私自身も冥福をお祈りしている状態です。平穏を取り戻した際には、ぜひ岩手県にお越しいただけるとうれしいです」と言葉を送った。

 修学旅行のルートには岩手県が生んだ詩人で童話作家の宮沢賢治が自炊生活した建物を県立花巻農業高校の敷地内に移設復元した『羅須地人協会』の見学も含まれていた。

 同高校の担当者は、

「毎年いらっしゃっています。うちの生徒も教員も心配をしていまして、事件後、ひと月ぐらいたったころでしょうか、落ち着きましたらまたいらしてください、という内容のお電話は差し上げました」

 修学旅行の実施を見送った数週間後の6月28(金)29(土)の両日、同校には祈りのミサと子どもたちの歌声が響き、静かに犠牲者を鎮魂した。

「28日は小学校の児童と保護者、幼稚園の保護者が対象でした。翌日は卒業生や学校の関係者などが祈りを捧げました。それぞれ1000人以上の参列者でした。

 亡くなった栗林華子さん(小学6年)を追悼する意味で、みんなで歌を歌いました。

 ミサは神父がとり仕切り、式が終わった後に、学校が用意したカーネーションを、会場前方の献花台に1輪ずつ手向けて、みんなで手を合わせました」(前出・担当者)

 事件から2か月余り。

「徐々に普段どおりに戻そうという意識はあると思います」(前出・担当者)という児童・生徒・教職員・保護者は今一丸となり、あの悪夢の事件を乗り越えようとしている。

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