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40ギガのピカチュウ画像をやりとり、社内データはテラバイト級――ポケモン社が「Box」「Googleドライブ」を使い分ける理由

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2019年08月19日 05:12  ITmedia NEWS

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写真株式会社ポケモンの公式Webサイト
株式会社ポケモンの公式Webサイト

 「ポケットモンスター」シリーズの版権管理を手掛ける「株式会社ポケモン」(以下「ポケモン社」)。ピカチュウなどおなじみのキャラクターが米Nianticの「Pokemon GO」など他社のゲームに登場するのは、ポケモン社がIPを提供しているためだ。同社は他にも多様なパートナー企業と組み、ポケモンを起用した商品・サービスの展開を支援している。だが、保有するポケモンの画像・動画のデータ量が膨大であるため、共有や管理に苦労する場合が多いという。



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●40GBのピカチュウ画像をやりとり



 ポケモン社テクニカルディレクターの関剛さんは、Box Japanがこのほど開いた年次カンファレンス「Box World Tour Tokyo 2019」に登壇し、「キャラクターごとに、いろんな動きや表情の画像・動画があるため、データ量は非常に多いです。先日も、米国のパートナー企業に40GBほどのピカチュウの画像を送る案件がありました」と日々の仕事内容を話す。全キャラクターの素材を含めた、社内で管理しているデータの総量は「数十TB級です」という。



 そんなポケモン社は現在、膨大なファイルの共有・管理を効率化するため、オンプレミス環境の利用を減らしてクラウドサービスを多く活用する方針を採っている。これまでに導入したサービスは、チャットツール「Slack」、グループウェア「G Suite」、ストレージサービス「Box」など多岐にわたる。データ管理の効率化に向け、オンプレミス環境に構築していたWindowsベースの社内ファイルサーバをBoxに移行する作業も進めている。



●従来はZipファイルなど活用



 関さんは「従来は、Zipファイルを添付したメールをまず送り、その後でパスワード付きのメールを送る手法をよく使っていました。ですが、これではパスワードやメールを紛失した場合にフォルダを開けません。また、オンプレミスのファイルサーバは、不具合が起きた場合にベンダーに連絡する手間がかかっていました。クラウドサービスに切り替えることで、こうした不具合の解消を図っています」と状況を説明する。



 ただし、注目を集めるクラウドサービスといえども万能ではない。導入によって全ての業務がうまくいくようになったわけではなく、クラウドストレージの使い方を中心に、新たな悩みや課題が浮上してきたのだ。



●Googleドライブは合わなかった



 関さんは「ストレージは最初、G Suiteに含まれる『Googleドライブ』だけを使っていました。ですが、ファイルを作成・アップロードした人が『ファイルのオーナー』になり、共有できる範囲を決める仕組みが当社には合いませんでした。人の入れ替わりや異動が激しいので、誰かが辞めるたびにオーナー権限を委譲する作業に手間がかかったのです」と明かす。



 「Googleドライブの『マイドライブ』のファイルを『チームドライブ』にコピーして部署内に共有する仕組みも、多くのファイルを管理する当社にはマッチしませんでした。複数のファイルを一度にコピーすると、まれにエラーが起きるのですが、その際にアラートが出ないので、しばらくしてから『あのファイルがない!』と慌てることもありました」という。



●「電子すかし」で流出防止



 一方のBoxは、フォルダごとに「この人はアップロードと編集が可能」「この人は編集・削除ができない」「この人は閲覧のみ可能」などと管理者が細かく権限を設定できる。こうした点に使い勝手の良さを感じ、関さんはGoogleドライブと併用する形で導入を決めた。



 また、ファイルに「電子すかし」を入れる機能があることも、関さんがBoxを気に入った理由の1つだという。ユーザーが画像や文書をプレビュー表示した際に、閲覧している人のメールアドレス、IPアドレス、アクセス時刻といった文字列をオーバーレイ表示する仕組みで、第三者による不正流用を防ぐ効果がある。



 「私たちが扱っているのは、1枚でも流出させてはいけないポケモン画像ばかり。勝手に使われると大変な損害になってしまいます。そこで、他社に画像を共有する際は、特定のフォルダに入れると、自動的に透かしが入るように設定し、情報漏えいを未然に防いでいます」



●なぜGoogleドライブの利用をやめない?



 では、Boxとの相性の良さをここまで強調するポケモン社は、なぜGoogleドライブの利用をやめないのだろうか。



 関さんによると、その理由は(1)Googleドライブの方が「Photoshop」など米Adobe Systems製ツールで制作した画像がきれいに表示されること、(2)Boxは、1度にアップロードできるファイルサイズの上限が15GBであること(Googleドライブは1日750GBまで)(3)Googleドライブを使っている取引先が多いこと――など。



 関さんは「Googleドライブを悪く言いたいわけではありません」「Boxにも頑張ってほしいと思う点はありますよ」と笑う。



 「動画などの大きなファイルをやりとりする際は、Googleドライブが適している場合もあります。普段はGoogleドライブを使っている取引先にBoxでファイルを送り、無理やりBoxを使わせてしまうと、他社のシャドーITを増やすなど悪影響を与えてしまいます。今は業務内容に応じて、2つのツールを適材適所で使い分けています」(関さん)



 両者を併用することに対して、経営陣からは「なぜ似たようなサービスを2つ使っているんだ。コストが二重にかかる」との指摘も受けたというが、関さんらは機能面の違いを説明し、当面は使い続けることで納得してもらったという。



 ただ、サードパーティーのAI技術を活用して、Boxにアップロードしたファイルの分析や分類ができるサービス「Box Custom Skills」に期待していることなどから、ゆくゆくはBoxへの一本化を検討しているという。



 関さんは「画像をアップロードするだけで、ポケモンの名前を自動認識して『これはピカチュウ』『これはイーブイ』とタグを自動付与する仕組みができれば面白いです。まだ使いこなせていない部分も多いので、Box向けのAPIなどもできる限り活用し、コンテンツの管理をスムーズにしていきたいです」と今後の展望を語った。


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