諸説入り乱れる「ストレス」と「体臭」の関係。今回はここに仏教用語の「四苦八苦」を加え、“三題噺”風に解説してみましょう。
■共通点は「理想と現実のギャップ」
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四苦八苦は欲望や願望、愛が満たされないことへの苦しみです。四苦は「生・老・病・死」、八苦はこれに「愛するものと別れる苦しみ」「怨み憎む苦しみ」「求めるものが得られない苦しみ」「自分の肉体や精神が思うようにならない苦しみ」を加えたもの。四苦八苦からの解脱(げだつ)は悟りの境地につながりますが、簡単ではありません。とりわけ凡人にとっては……。
解脱が難しいという点にとどまらず、かなりの部分で四苦八苦とストレスは似通っています。なぜなら、ストレスとは広い意味で「望ましい肉体的、精神的状態と現実とのギャップ」だからです。
職場でのストレスは、望ましいと考える環境、上司や同僚との関係性、待遇などが現実から乖離したときに生じます。つまり、四苦八苦と同じく、人間に欲望、願望、愛がある限り、私たちはストレスと向き合わなければならないのです
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■ストレス過多な人は足がクサい?
学術的に「化学的、物理的、肉体的、精神的なものを原因とするストレッサー(ストレス要因)が引き起こす生体反応一般」と定義されるストレスは、体臭の発生とも密接に関わっています。
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ストレッサーで歪んだ心身は、もとに戻るとき、いろいろな負荷にさらされます。自律神経の一つ「交感神経」の興奮はその代表格。血管が収縮して瞳孔が狭くなる(一種の緊張状態)と同時に、汗腺や皮脂腺から汗、分泌物が大量に出ます。これが体臭につながるのです。体臭リスクはストレスが加わると一気に高まります。とりわけ、緊張すると足に汗をかきやすいため、足のニオイには要注意。
■健康な人ほどストレス耐性が高いワケ
春から夏にかけては恋の季節であり、“体臭の季節”でもあります。ただでさえいろいろなストレスにさらされている中、恋人から「クサい!!」と言われたら、ストレス増と体臭増の“負のスパイラル”に陥ります。
これを防ぐにはまず、体臭予防の“基本のキ”をしっかり押さえましょう。繊維質や野菜が多めのバランスのとれた食事、腹八分目、暴飲暴食をしない、規則正しい生活(寝る前に食べたり、飲んだりしない)、衣類は毎日取り換える、毎日風呂かシャワーに入る、毎日同じ靴を履かない(最低3〜4日のローテーション)。
ストレッサーをすべて排除できればベストですが、現実にはほぼ不可能です。一方、同じストレスを感じても、ダメージを受ける人と受けにくい人がいます。これはそれぞれの「ストレス抵抗性」の差で、病原菌と免疫耐性の関係に似ています。
ストレス耐性を強くする方法は二つ。一つは、血液や腸内環境をなるべくきれいに保つこと。健康な状態とは、すなわち抵抗性の高い状態です。もう一つは、精神面のケア。同じ出来事でも過敏に反応してイラ立つ人、鷹揚に対応する人がいます。「世の中と他人は変わらないが、自分は変えられる」という言葉通り、「人にやさしく自分に厳しく」の心がけも対策法の一つです。さぁあなたも、「ストレスだらけで体臭にも悩まされるみじめな生活」に別れを告げましょう。