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過去11試合で7点差以上が5回… 甲子園決勝が大差になりがちな理由とは?

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2019年08月20日 11:30  AERA dot.

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写真「全国高等学校野球選手権大会100回史」(朝日新聞出版)より作成
「全国高等学校野球選手権大会100回史」(朝日新聞出版)より作成
 夏の甲子園大会が佳境を迎えている。高校球児たちが連日熱戦を繰り広げ、テレビにくぎ付けとなっているファンも多いだろう。球児たちにとっては「負けたら終わり」の戦い。1点を争うシーソーゲームや最終回の逆転劇など、語り継がれる名勝負が生まれるのもうなずける。その一方で、近年、決勝戦は大差での決着が多いことにお気づきだろうか。

【決勝で涙をのんだ吉田輝星の写真はこちら】

 「大差がついた決勝戦」として記憶に新しいのは、2018年の金足農(秋田)と大阪桐蔭(北大阪)の試合。金足農が秋田県勢として103年ぶりとなる決勝進出を果たした「金農旋風」に日本中が沸き、注目された試合だ。だが試合は13対2と大阪桐蔭の圧勝だった。それまで地方予選から甲子園準決勝まですべての試合を一人で投げぬいてきた金足農のエース・吉田輝星(現北海道日本ハムファイターズ)だったが、5回12失点と力尽きた。

 過去の決勝戦を振り返ると、2008年の第90回大会から18年の第100回大会の決勝戦11試合のうち、地方大会でコールドの目安ともなる7点差以上の差がついた試合は半分近い5回だった。ちなみに、両チームの合計得点が10点以上となった試合は7回。決勝は点差が開きやすいだけでなく、投手が大量失点しやすい傾向にもあるのだ。

 その理由について、『甲子園という病』(新潮新書)などの著書があるスポーツジャーナリストの氏原英明氏は、「やはり『投手の疲弊』が最大の理由でしょう。高校野球では、投手、とくにエースが非常に過酷な環境に置かれています」と話す。そして投手の疲弊を招く原因に、打力向上、サイン盗み、過密日程の三つを挙げる。

「情報化社会の進展により正しいトレーニング方法が普及し、高校生の打力は著しく向上しています。それなのに金属バットを使いつづけている。強打者が増えたことで、投手は慎重にコースを突くようになるので、ボール球から入ったり、四球が増えたりと、球数が増えてしまう。とくに夏は春より打力が上がっていて、『打者有利』に拍車がかかります」

 実際に過去30年の選手権大会のデータをみると、1試合当たりの本塁打数は1989〜98年が0.52本、99〜2008年が0.70本、そして直近10年(09〜18年)は0.83本だった。(「全国高等学校野球選手権大会100回史」(朝日新聞出版)より)07年から低反発球が導入されたにもかかわらず、年々本塁打が増加しているのだ。

 「豪打の盛付(もりふ)」として全国に知られる盛岡大付の前監督、沢田真一氏も、「高校生の打力はどんどん向上している」と話す。

「近年は『打てなければ勝てない』という考え方が広まり、強豪校は打撃練習に重点を置くようになりました。そこに科学的な知見が加わり、ベンチプレスなど豊富な練習メニューで高校生の打力がどんどん向上している。甲子園では1番から9番まで本塁打を打てる選手をそろえられるチームも珍しくありません」

 ”打高投低”が加速する現代の高校野球では、プロ注目の投手がひとりいたとしても、決勝戦までに力尽きてしまう可能性が高いのだ。

「2つ目は”サイン盗み”です。今大会はどうか分かりませんが、サイン伝達をしている疑いがあるチームは実は多い。全チームがやっているわけではありませんが、投げる球種がバレていれば、当然打たれやすくなるので球数も増えます」

 走者やベースコーチなどがサインを見て打者に伝える行為は、大会規則で禁止されている。だが、”サイン盗み”の事実は確認されなかったものの、今年の選抜では、2回戦の習志野(千葉)対星稜(石川)で、習志野の二塁走者が捕手のサインを盗み見て打者に伝達したとして、星稜の監督が相手監督に抗議するという騒動があった。

 ある強豪校の指導者は「サイン盗みはどこもやっていると思います。ある学校は事前に試合を偵察し、カメラでサイン出しの様子を撮影しているようです。最近はそのやり口がより巧妙になっているように思います」と証言する。

 力自慢の打者たちに、投げる球種を読まれる。そんな八方ふさがりの状況で、さらに投手を追い詰めるのが予選大会から続く過密日程だ。

「例えば昨年の甲子園では一回戦から出場した金足農(秋田)は初戦から決勝まで14日間で6試合をこなさなくてはいけなかった。連投を強いられるなか、年々厳しくなっている猛暑で投手は体力を削られます。それが如実に出たのが決勝戦の対大阪桐蔭(北大阪)との試合でした」(氏原氏)

 ここまで述べたことを考えると、甲子園の決勝戦で点差がつきやすい背景には、その実力以上に投手にとって不利な環境が影響していると言えそうだ。

 今年は、岩手大会の決勝で最速163キロ右腕の大船渡・佐々木朗希投手が故障を回避するため、登板しないまま敗退して議論を呼んだ。

「大船渡の国保陽平監督はすばらしい決断をしたと思います。高野連もこれを機に大会の運営について議論を進めるはず。大船渡の判断を正しいものにするためにも、改革を期待したいです」

 高校野球は今、少しずつ変わろうとしているのかもしれない。

(AERA dot.編集部/井上啓太)

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