Facebook、またしてもプライバシー保護に問題 音声チャットを人間に聴かせていたと認める

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2019年08月21日 16:01  リアルサウンド

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リアルサウンド

 Facebookは、Messengerでユーザー同士が交わす音声の文字起こしを、委託先企業に外注する形で行っていたことを初めて認めた。


(参考:Facebookが個人情報管理問題で窮地に? 新たな事実が続々噴出


・親密な会話の聴き取りに従業員が疑問
 プライベートなコミュニケーションを行なう場所である「Messenger」の会話が、他人に筒抜けになっていたことは大きな懸念事項だ。


 影響を受けたのは、Facebook Messengerのチャットで文字起こしすることを選択していたユーザーだという。文字が自動で起こされているかに思われていたが、生身の人間が、会話を聴き、書き起こす作業をしていたのだという。理由は、ツールの正確性を評価するためだとしている。


 具体的にどのくらいの規模で書き起こしが行われていたかは分かっていないが、あらゆる会話が対象になり、男女の非常に親密な会話もあったという。目的を知らされずに作業を行っていた委託先従業員は、倫理的に疑問を抱いたことを明らかにしている。


 『Forbes』は「13億人のFacebook Messengerユーザーがアカウントを削除すべき理由」と見出しを打ち、音声聴き取りについて「ユーザーは、聴き取りが人間によって行われることを知らなかった可能性がある。Facebookのポリシーは、データ収集する事には触れているが、明示的ではなかった」と指摘している(参考:https://www.forbes.com/sites/kateoflahertyuk/2019/08/14/did-facebook-just-give-13-billion-users-a-reason-to-delete-their-account/#56c699411662)。


 Facebookは、すでにこの音声書き起こし作業を停止したとしており、Facebook広報担当者は「AppleやGoogleと同様に、人間による音声のレビューを一時停止しました」とコメントを出している。


・音声の広告利用は否定
 この問題については、CEOのマーク・ザッカーバーグが以前にそれを問われた際、否定していたことも尾を引きそうだ。


 『Digital Trends』は「センセーショナルなメッセージが見つかった場合、それらのメッセージ送信を停止します。ソーシャルネットワークで一般的に行うのと同じツールを使用してスキャンし、悪用を防いでいます」という昨年Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が発したコメントを掲載した(参考:https://www.digitaltrends.com/news/facebook-admits-it-was-also-listening-to-your-private-conversations/)。


 上述の記事にて、セキュリティ研究の専門家ショーン・ライト氏は「Facebookはユーザーのプライバシーをほとんど考慮しないことを何度も示している」と述べている。


 『The Guardian』は「自動化されたシステムの人間による監視は、テクノロジー業界では一般的だが、ボイススピーカーとチャットプログラムはプライバシーに関して非常に懸念があるため、企業はユーザーの期待を実際の慣行に合わせるのに苦労している」と指摘した(参考:https://www.theguardian.com/technology/2019/aug/13/facebook-messenger-user-recordings-contractors-listening)


・欧州でも調査開始 WhatsApp統合への影響は?
 Facebookは先日、個人情報保護の不備により、米国の連邦取引委員会(FTC)から50億米ドルの制裁金を科されたばかりだ。


 EU内でFacebookのデータ保護に関する監督を行うアイルランドのデータ保護コミッショナー報道官は「問題になっている処理に関するFacebookからの詳細情報と、そのようなデータ処理が一般データ保護規則(GDPR)の義務に準拠しているとFacebookがどうして考えているかについて現在、調査中です」とBBCに伝えている(参考:https://www.bbc.com/news/technology-49343262)


 人間がユーザーのプライベートな会話を聞いていることが明らかになった企業は他にもある。4月にはAmazonのAlexaがプライベートな会話を録音していることが表面化し、7月にはAppleの請負業者がSiriの会話を聴いていたことが明らかになったし、同じく7月にはGoogle Assistantでも同様のことが行われていたことが分かった。8月には、Skype通話もMicrosoftの委託先により聴かれていることが明るみに出ている。


 米国では7月下旬、セス・モールトン議員が、デジタルアシスタントが不当に私的な会話を録音した場合、連邦取引委員会(FTC)が最大で4万米ドルの罰金を科すという「自動聴き取り搾取アクト」と呼ばれる法案を提出した。


 2018年時点で、Facebook Messengerユーザーは13億人だが、今後WhatsAppとの統合が検討されている。今回の問題はその方針に影響を与える可能性も否定できない。


(Nagata Tombo)


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  • 危ないよね。危ないものと利用者の私は理解しています。考えたら、すぐに分かるし。……
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