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交通手段はバスだけ それでも晴海フラッグが「買い」な理由

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2019年08月22日 17:00  AERA dot.

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写真晴海フラッグのモデルルーム (c)朝日新聞社
晴海フラッグのモデルルーム (c)朝日新聞社
 1億円を超える人気住戸の最高倍率が71倍と、大人気の東京五輪・パラリンピック選手村マンション「晴海フラッグ」。『選手村マンション「晴海フラッグ」は買いか?』(朝日新聞出版)の著者でもある住宅アドバイザーの三井健太氏は、交通手段がバスだけというこのマンションの購入は一種の賭けだが、当たる確率の高い賭けかもしれないと言う。「晴海フラッグ」の可能性、そしてリセールバリューを解析する。

※「『晴海フラッグ』は買いなのか? 建物と立地をガチンコ評価!」よりつづく

*  *  *
●商業施設について

 三井不動産が手掛ける新商業施設を、ここでは仮に「晴海ららぽーと」と呼ぶことにしますが、これができれば生活の不便はないはずです。しかし、晴海フラッグの外からたくさんの買い物客が来なければ採算が取れないので、三井不動産は「晴海ららぽーと」集客作戦を多種多様な方法で展開するはずです。商業施設の開発と運営に経験と実績豊富な三井不動産は信頼できると考えます。

 外からたくさんの買い物客が来ることで、街全体の魅力が住民以外に伝わり、将来の中古市場にもプラスとなることでしょう。しかし、街が発展して行くためには、後から新規出店の買い物施設と飲食店、ホテルなどが続々と増えなければなりません。どんな街も店も立ち止まっていれば、やがて飽きられて来訪者はじり貧になります。あの東京ディズニーリゾートでも、アトラクション施設のリニューアルと増設を絶え間なく続けています。それと同じです。「晴海ららぽーと」の中だけの入れ替えだけでなく、増床も必要になるはずです。

 しかし、晴海ららぽーとの大きさは増やしようがないはずなので、隣接地域に店舗等が新増設されなければこの街の魅力はいずれ衰退の方向へ向かうに違いありません。長期的な視点で、晴海フラッグの外から多数の来訪者がなければ、資産価値の上昇も期待はできません。そうなるかどうか、今はまだ五里霧中です。

●足の便は大丈夫かもしれない

 BRT(バス高速輸送システム)運行について、東京都の発表は1時間20便ですが、大風呂敷を広げるようなことは、役人の習性として言うわけがありません。1時間に20便で足りないことは当然認識しているわけで、増やす努力は続けて行くに違いありません。そう遠くない将来、増便の発表があると思います。

 BRTが交通手段として重要なのは誰もが認識しているはずなので、増便を期待できるのです。BRTはマンション販売のカギを握るものでもあるので、事業主体も黙ってはいないと思います。様々な運動を展開して4年後には、足の便を確保するのではないかと楽観的に考えています。

●オリンピックを契機に新交通BRTに慣れ親しむ人が一気に増えるかも?

 来年から運行されるBRTが順調に走り、かつ運行本数も徐々に増えれば、晴海フラッグ内にできる「晴海ららぽーと」を訪れる人も増え、街の魅力が広く伝わることでしょう。新築で買わなかった人も、中古が出回る4〜5年先にはそれを買う人も徐々に増えて来るかもしれません。

 そもそも晴海フラッグは「選手村マンション」として既に名高いわけですから、実際に現地を訪れる人が見事な街づくりと景観に感動してくれれば、有力な購入予備軍となります。その流れを呼ぶのが、「晴海ららぽーと」とBRTの運行ということになるでしょう。

●タクシー代1000円で銀座まで

 足の便の不足を補う有力な手段はタクシーです。晴海フラッグでは、タクシーがタウン内を流していて、手を上げれば飛んでくる光景が目に浮かびます。

 タクシーの運転手には、客を効率よく拾える場所をかぎつけ集まって来る習性があります。電話やスマホの呼び出しアプリなどを使わなくてもマンションから外へ出た瞬間に、まるでお迎えに来たかのようなタイミングで止まる、そんなことが現実になる

 家族全員で乗れば1000円のタクシー代も、例えば4人分と考えれば高くはありません。無論、ママ友同士で銀座に買い物などというときも、3人連れ立って行くなら地下鉄やバスと大きな料金差はありません。

 また、深夜帰宅の会社員にとって、知らない者同士がスムーズに相乗りできるなら、毎晩乗っても経済的負担は大きくなりません。 拙著にも書きましたが、相乗りタクシーが制度として誕生するのも近そうなので、BRTとの2大交通手段はタクシーということになるのではないかと思います。

●絶対距離2キロの魅力

 それもこれも、晴海フラッグが都心から近い位置にあるからこその話です。晴海フラッグは郊外のバス便マンションとは明らかに違うのです。

 なにせBRTなら新橋まで信号待ちや交通渋滞もなく10分で到達できるというのは魅力です。銀座もすぐ目の前です。新橋の先は虎ノ門、霞が関、その隣は丸の内、大手町のビジネス街が広がります。そこは、多忙な国家公務員と大企業のエリートたちが膨大に勤務している国の中枢エリアです。かれらは職住近接を望んでいます。しかし、希望地域での購入は、価格の高さに半ば諦めています。それが手ごろな価格で買えるとなれば飛びつく人は少なくないと思います。

 もっとも、中古市場で高く転売されるようになると元も子もありませんが、その懸念は小さいと考えます。

 なぜなら、価値観は人それぞれで、晴海フラッグをネガティブに捉える人も少なくないからで、例えば、「でも所詮バス便でしょ?」「埋立地はどうもね」「自転車で通うのはいやだ」「会社は新宿だから、晴海ではちょっと」「海が見える家は評価できるけど眺望の悪い家では価値がない」などという否定派はいることでしょう。

●リゾート地がビジネスエリアに接している

「想像するに、ここはリゾート地のようなところだね」と語った人がいました。緑が多く、季節によっては青々とした木々が目に優しく、芝生広場のある街は、老若男女が楽しく暮らせる街になるのかもしれない。そんな期待が膨らみます。

 ここがビジネスエリアのすぐ隣にある「オアシス」とするなら、仕事しながら余暇がいつでも楽しめる、非日常と日常が隣合わせになっている街ということになるのです。

 有明地区も、似たような性格を持つ街であると聞きますが、晴海フラッグほど霞が関にも丸の内にも近くない点で大きく異なります。

●不動産会社は不確かなことは言わない

 管理費が高いとか、固定資産税が異様に高いという情報も入って来ました。管理費は先述の通りですが、固定資産税の高さは、現時点では売り手が断定できないことがあるのでやむを得ない点です。不動産会社は、決定していること以外、もしくは官公庁が公表したこと以外は決して憶測や期待を込めて発言したりするものではありません。

 税制についても、原則と実態には常に乖離があります。軽減措置のことですが、景気刺激策として時限的に適用している税率などがあるからです。固定資産税は地方税なので、国政とは直接関係がありませんが、軽減措置はあります。

 また、固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額を課税標準として計算されますが、評価額は3年に一回見直すことになっているので、4年後のことは全く分からないと言って過言ではありません。

 また、東京都ホームページを覗くと、(1)固定資産税の課税標準額の算出方法(固定資産税)について、令和元年度の分についてのみ記載されていますが、来年度以降については記載がありません。つまり、固定資産税は毎年1月1日現在の固定資産税台帳に掲載される金額をベースにするので、その年度に入らないと分からないのです。

 以上、本物件を取り巻く条件には不確定要素がたくさんあるようです。この物件を買うのは冒険かもしれません。しかし、冒険する価値があるとも思います。昨今、新築マンションの開発は困難な状況が続いており、都心部のマンション開発余地は湾岸エリアにしか残っていません。

 その一方で都心マンションに対する需要は増える傾向にあります。共働き世帯が増え、職住近接マンションの需要はますます増えると予測できるからです。しかしながら、都心近接のマンションは高過ぎて手が出ない人も少なくはないので、子育て環境に優れたマンションで、かつ手ごろな価格で購入できるマンションとしての「晴海フラッグ」は評価が高まるということになるでしょう。

 ということは、価格が上がり過ぎなければ注目され続けることになります。逆に言えば、値上がりすれば関心は薄れてしまいます。鉄道の駅に近いマンションと同じになってしまえば、環境で多少劣っても便利さを優先する人が多いからです。

 交通便の悪さを補うのは、「高環境」+「値ごろ感(価格の手ごろさ)」ということになるのです。大きな儲けは期待できないが、値崩れしにくいマンションでもある。このように考えます。

【リセールバリュー】 マンション購入にあたっては、将来リセールするときの価値を購入時に想定する、若しくは考慮しておくということが大事です。永住するつもりという人も、いつなんどき、売却の必要が生じるか分からないからです。そのとき、できるだけスムーズに、かつ高く売りたいと考えるのが普通の感覚であり、少しでも価値の保存ができる物件を望まない人はいません。

 売却の際、大きな弱点になるのが駅からの距離です。将来価値(リセールバリュー:RV)を決定する要素は、(1)立地条件(利便性と環境。マクロ的な人気度)、(2)スケール(存在感)、(3)外観・玄関・空間デザイン、(4)建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、(5)ブランド、(6)管理体制です。この中で一番比重が高いのは(1)の立地条件なのです。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の弱点を補うことはできません。

 本物件をこの条件に照らすと、建物分野の(2)〜(6)は文句なしです。しかし、立地条件の(1)には上述のような問題(懸念)があります。

 また、稀少価値の高い土地かどうかの観点で検討することも大事ですが、本物件は希少価値の極めて高いマンションと言えましょう。

 最も大事な要素は「価格」です。価値に見合わない高値で購入(高値掴み)すれば、将来価格は期待外れになるからです。

 最近5年間は建築費上昇・地価上昇の影響を受けてマンション価格は急騰し、多少の差はあっても全ての物件が高値になってしまい、誰もが高値掴みを強いられてしまう時期に当たっています。ところが、本物件は例外と言えます。

 用地費が極端に安かったことで、選手用宿舎から分譲マンションへの改装費も加わって建築費が高くなってしまう分まで賄う形となった模様、すなわち中央区としてはあり得ない安値の販売になったからです。

 駅から遠いマンション、バス便のマンションであるとしても、勝どき駅・月島駅の徒歩圏マンションが新築マンション相場で坪単価@400万円にもなろうかという今日、本物件はおよそ7掛けの@280万円余なのですから、これは単にバス便マンションの弱点を考えれば、当然の価格とも言えます。

 とはいえ、オープンスペースの広さ、ランドスケープの美しさなどの付加価値を加味すれば割安なマンションとも言えます。

 都心部で、これに匹敵するマンション群はなく、比較的近いのは佃島のリバーシティですが、駅から徒歩8分以内の距離、東京駅まで2キロの近さなどから比較にならず、結局晴海フラッグは、作り手から見て唯一無二のチャレンジ商品ということになるのです。

 なお、このマンションの将来価値について明確な見解を出していないのは棟や方位などの住戸によって差があるためです。ここでは各住戸については触れません。

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