とにかく明るい安村の「世間が不倫を許さない理由」に疑問――自ら「嫉妬買った」と語るリスク

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2019年08月23日 00:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

とにかく明るい安村公式プロフィールより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「自分も我慢してるからじゃないですか?」とにかく明るい安村
『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系、8月13日)

 8月13日放送の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)で、とにかく明るい安村を久しぶりに見たと思ったら、それもそのはず、“干されて”いたそうだ。売れない時代を支えてくれた妻と結婚し、一児をもうけ、マイホームパパで売っていた安村だが、「週刊文春」(文藝春秋)に不倫を撮られてしまう。妻には土下座して詫び、許してもらったそうだが、この影響で収録済みだった番組はお蔵入り、30本以上の仕事がキャンセルで、現在もメディアでの仕事は0らしい。

 同番組では「なぜ世間は不倫を許さないのか?」といったテーマで、安村センセイが解説を進めていく。センセイいわく、「人類みなスケベ」。性欲は三大欲求の1つだが、それを理性でかろうじて抑えている。自分が我慢している中、誰かがルールを破ると「ずるい」と感じる、ある種のジェラシーから、バッシングに転じるそうだ。

 簡単に言うと、世間が不倫を許さないのは、嫉妬ゆえと安村は思っているのだろう。しかし、本当にそうだろうか。

 芸能人の不倫と、発覚後のペナルティーを見ていると、ある法則性に気づく。性別、年齢でペナルティーが変わってくるのだ。不倫を撮られた芸能人、ジャンル、年代(当時)、ペナルティー(報道等でわかっている範囲での)を、男女別に挙げてみると、以下の通り。

<男性>
俳優
渡辺謙(50代)降板などのペナルティーはなし
袴田吉彦(40代)同上
原田龍二(40代)舞台『サザエさん』は降板するが、『5時に夢中!』(TOKYO MX)の司会は続行。 

お笑い芸人
宮迫博之(40代)降板などのペナルティーはなし
千原せいじ(40代)同上 
千鳥・大悟(30代)同上

ミュージシャン
ゲスの極み乙女・川谷絵音(20代)降板などのペナルティーはなし 

<女性>
女優
斉藤由貴(50代)大河ドラマ降板、CM契約を解除するが、まもなく復帰
藤吉久美子(50代)降板などのペナルティーはなし 

バラエティータレント
ベッキー(30代) レギュラー番組を全て降板、CMの契約解除。約4カ月間休業する
矢口真里(30代) レギュラー番組、CMの契約解除。約1年4カ月休業する

アナウンサー
フジテレビ・秋元優里(30代) アナウンス室から異動

 こうやって見てみると、男性芸能人はジャンル、年代を問わず、不倫をしてもペナルティーはない、もしくはあっても軽いと言うことができるだろう。女性芸能人の場合、50代の女優陣は比較的軽傷だが、30代の若いゾーンの女性たちへのペナルティーはかなり重いと言える。

 この慣例から考えると、オトコ芸人である安村の復帰は比較的容易なはずだ。不倫をして、嫉妬を買い、干されたと本人は思っているようだが、実際の原因は別のところにあるのではないだろうか。安村と言えば、「安心してください、穿いてますよ」でブレークしたが、このネタだけで、芸能界を生き残っていくことはできないだろう。ネタの鮮度が薄れてきたことと、不倫騒動がほぼ同じタイミングで起こり、視聴者の反感を買うリスクを取ってまで、テレビが起用したい芸人ではなかったという可能性は捨てきれない。

 しかし、安村は「なぜ夫に不倫をしてほしくないかというと、自分(妻)も我慢しているからじゃないですか?」などと、あくまでも「不倫は全員がしたいもの」「だから、自分は嫉妬されてしまった」というスタンスを崩さない。どう解釈するかは本人の自由だが、人前で「嫉妬された」と言うときは、ある“条件”をクリアしていけなければ、自分の評判を落とすことになりかねないのではないだろうか。

 その“条件”とは、本業で何らかの結果を出していること。例えば、会社を解雇されたサラリーマンが、その理由を「嫉妬された」と言っても、聞かされた方はピンとこないし、場合によっては、人のせいにするクセのある性格だとみなされることもある。しかし、その後自分で会社を興したり、違う会社に行って結果を出せば、「能力があるから、嫉妬を買った」説は信ぴょう性が高くなり、応援してくれる人も増えるだろう。世の中に嫉妬があるかないかで言えば、確実にある。しかし、「嫉妬を買った」という言葉は、責任転嫁に聞こえることもあるので、簡単に口にしていい言葉ではないと私は思っている。慰める意味で他人に言うのはアリだが、いいオトナが公衆の面前で自分に使うには、リスクがありすぎるのではないだろうか。

 安村が今の状況を打破するために必要なのは、面白いネタを作ること。お子さんもいるのだから、家族のためにも、もうひと頑張りしてほしい。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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