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ヴァニラ「ブスが生きづらい日本」で感じてきた違和感、“全身2億円整形” を語る

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2019年08月24日 11:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

写真タレントヴァニラさん 撮影/山田智絵
タレントヴァニラさん 撮影/山田智絵

 かつてはいじめられっ子だったというその人は、六本木にある自分の名が冠せられた『Bar Vanilla』に、艶やかなベルサーチのマイクロミニのワンピース姿でやってきた。

全身合計、2億円以上のカラダ

 常人の数倍はあろうかという大きな目はカラコンでさらに強調され、ヒアルロン酸でふっくらとさせた涙袋には、くっきりとシャドーが引かれる。7年前には全身麻酔で後頭部から頭皮を切開、額に人工骨を入れる6時間の大手術を受けている。2週間を寝たきりの状態で過ごしたその手術の目的は、西洋人のような額を手に入れ、目や鼻とのバランスをとるためだ。

 もちろん、胸にも豊胸のシリコンバッグが入っている。片方625奸⇔抄擦6キロを超えるMカップのバストに「重たいですよお」と屈託なく笑うと、1000万円かかったという真っ白な歯が輝いた。

 整形タレント・ヴァニラさんが美容整形にかけた金額は、これまでになんと2億円以上! 女性なら、みな興味津々でありながら、どこか後ろめたさを感じずにはいられない美容整形を、服や靴などを自分好みに作り上げるカスタムメードからとって“カスタム”と呼び、積極的に公表しては、「美容整形への偏見はやめて!」と訴える。

 彼女にとって整形は「本当の自分に戻ること」だという。

「“こんな顔に生まれてきたかったわけじゃなかったのに!”と、ずっと思い続けてきたの。性同一性障害の人が“間違えた身体で生まれてきちゃった”と思い続けるように。

 この障害を手術で本当の性に戻るように、自分の顔に戻す手段、それこそがカスタムなの─」

  ◆   ◆   ◆  

 ヴァニラさんの“本当の顔を取り戻す半生”。その原点は小学生時代にさかのぼる。両親が家を建てたのをきっかけに転校、そこでひどいいじめが始まったのだ。

「小学校4年のときでした。友達に誘われて公園に行くと木の机があったの。そこに修正ペンで私の名前が書いてあって、全面に“死ね!”と……。ショックで唖然となりましたね」

 母親の恵美子さんも、娘へのいじめに気がついていた。

「小学校のとき、体操服を汚して帰ってきたのを見て“ひょっとしてこれは……?”と思ったことはありましたね。登下校のときに、陸橋で男の子から空き缶を投げつけられたのを見たこともあります」

 それでもヴァニラさんは、先生に相談したりしなかった。

「いじめられていると思いたくなかったからかな……。いじめられていると言ったら、よけい、いじめられそうだったから。つらかったけど、つらいと思わないようにしていた。負けたくなかったの。そんなことで凹んでいたら、悪口を書いた人たちの思いどおりになるだけ。人の思いどおりになるのって、好きじゃないから

 中学に入学すると、いじめはさらにエスカレートした。放課後の廊下に生徒たちが並んでいる。帰宅しようとヴァニラさんが前を通ると、“ブス!”“気色ワル!”など、ひどい言葉を投げつけられた。

「小学校のときは、みんなが欲しがっていたものを親が買ってくれていたから妬まれやすかったのかもしれない。でも中学では、なんでいじめられたのか……。自分でもわからないです。目をつけられやすかったのかな……?」

 母・恵美子さんは転校が原因だったのではと推測する。

「転校生で、家を建て、どちらかといえば都会から田舎のほうに引っ越してきたというのがあって、変なふうに目立ってしまったのかしら、と」

父親からの心をくじく言葉

 つらかった中学時代、現在のタレント活動にもつながるものに出会う。音楽で、吹奏楽部に入部したのだ。

 いい演奏には全員が力を合わせることが欠かせない。調和を乱すいじめなど、入り込む余地はなかった。優しくしてくれた同性の先輩への思いも、今に続く音楽への愛を強めるものになったという。

 とはいえ部活以外の場面では、いじめは一向にやむ気配を見せなかった。そして、このころ父親から聞かされた言葉が、ヴァニラさんの心をより深く傷つけていく。

 “子どもは嫌いだ。お前なんかいらなかった─”

 小学校のころから、実の父親からそう言われて育った。さらには中学生時代、整形タレント・ヴァニラ誕生に少なからぬ影響を与えたであろう決定的な言葉を聞く。

 学校での、“ブス”“トロい”という言葉に耐えかね、思わず家族の前でこぼしてしまったときのことだった。

 父親から返ってきたのは、

 “本当にブスなんだからしょうがない! 整形でもするしかないだろ─!”

 俗に、“子は目に入れても痛くないほど可愛い”という。可愛い娘への、“ブスじゃない!”という言葉や、励ましを期待しての愚痴だったのかもしれない。だが切ない思いは粉々に打ち砕かれた。

 心をくじく言葉はこれだけでは終わらなかった。

「家の2階で寝ていると、1階にいる両親が話している声が聞こえてきて。気になって聞き耳を立てていると、私を施設に入れるという話が。両親から愛されていないのがわかりました」

 娘はこう語るが、母・恵美子さんの言い分は異なる。

「(夫は)仕事一筋の人で短気だし、娘に対してデリカシーのないところは確かにあったと思います。

 でも娘にはいい部屋を与えたり、娘を愛して育てていました。典型的な昭和の男性で、根本には愛情があるんですが、表現が下手で、照れもあってひどいことを言ってしまうんです。“整形するしかない”という言葉も、軽口のつもりなのに、本人の心にはピシャリときちゃったんだろう、と

 日本の男性にありがちな、“家族ならわかってくれているはず”という誤解と、愛情の裏返しとしての暴言。だが、幼かった娘には、それが理解できなかった。

 

 “親から愛されていない”という精神的なストレスからか、食事がまったくとれなくなってしまったこともある。

「ご飯が全然食べられなくて、先生からは“このままでは死ぬよ”と言われたことがありました」

 あばら骨が浮くほどガリガリになり、病院に行くと、自家中毒と診断された。繊細な子どもが強いストレスにさらされると起きるメンタル系の病気である。栄養補給は点滴だけが頼りだった。

「病気と診断されたんだけど、お父さんはわかってくれなくて無理やりご飯を食べろって。小さな器のシチューを食べるのに1時間ぐらいかかったりして、毎日、“なんで食べないんだ!? 早く食べろ!”と言われるのが怖くて怖くて。つらかった……」

 だが現在、そんな父親をふり返り、こんなふうに言う。

「お父さんも過去にいろいろあったみたいなんですよ。家庭の事情が複雑で、父の父、私のおじいちゃんは3回ぐらい結婚していて、実のお母さんの顔を見たことがないみたい。“自分(父親)もいじめにあっていた”とお母さんが。自分が愛されて育っていないから、私を愛することもできなかったのかもしれないな、と」

自分の顔のすべてが嫌だった

 そんなヴァニラさんだったが、学校でのいじめも、家庭での状況も忘れられるような出会いがあった。それは、幼稚園のときにさかのぼる。

「おばあちゃんの家の居間にあった、フランス人形さんだったの」

 率直に愛情を示してくれ、自家中毒になったときには、心配して漢方薬を取り寄せて飲ませてくれた祖母。病気から立ち直れたのは、この薬によるところが大きい。

 祖母の家にあったフランス人形は、いじめや暴言が渦巻く人間界とは一線を画するかのようにガラスケースの中に納まり、可憐なベビーピンクのドレスをつけていた。別世界のもののようなその青い瞳と小さなあご、金髪の巻き毛は、いくら見ても見飽きなかった。

「どうしてあんなにきれいなの!? 私もあんなふうになれたらいいのに……!」

 だが、そんな夢見るようなひとときから現実に戻ると、苛酷な世界が待っている。

 可愛い子、活発な子はどこへ行っても人気者で憧れの目で見られ、さえない子や内気な子は蔑まれ、いじめの対象にされる。いじめられたくなかったら、誰かを人身御供にすることで自分自身を守るしかない。

 容姿が教室でのカーストを左右する非情な現実と、子ども特有のむき出しのサバイバルが、そこにはあった。

 “よくそんな顔で生きていられるよね─”

 おそらく自分をいじめから守るためだろう、クラスメートの女の子からこんな言葉を投げかけられたこともある。だがヴァニラさんは、彼女の言葉を否定しない。むしろ同意してみせるのだ。

「だって“確かにそうだな”って思うから。自分の顔が嫌いすぎて鏡も見たくなかった。七五三のとき、写真撮影に行くじゃないですか。一切笑えなかったんです、自分の顔が嫌すぎて。私の顔のすべて嫌だった。これは自分じゃないと思っていたから」

 そして、いじめと整形の関連性を、猛烈な勢いで否定する。

「だって、ブスだったからブスって言われるの、当たり前じゃないですか! 自分は自分の顔がブスだったと思うから、反論しようとは思わない。だから、いじめは私の整形とは、まったく関係ないですね!」

 客観的に自分を見つめる冷静さと、額の形を整えるために全身麻酔で6時間の一大手術を受ける無謀さ。自家中毒になる繊細さと、暴言の主すらも許せる心の強さ。

 そんな相反するものを抱えたこの女性が初めて“カスタム”の世界に突入するのは、高校時代のことだった。

いじめがなくなってもしんどかった

「目立つというか、イケイケグループの1人になったんです。カラコン入れて髪を染めて、スカートはメチャクチャチョンチョン。誰よりも短くして登校していました(笑)」

 クラスの男子たちは、ヴァニラさんたち目立つ女子の一団を、“パタパタ族”と呼んだという。校則が厳しく、髪を染めるのもメイクも禁止。それなのにお弁当を食べ終えれば即、パタパタとメイク直しを始めたからだ。

 ようやっと訪れた楽しい高校生活、親しい仲間─。

 ダンス部で出会い、ヴァニラさんが帰省の際には近況報告をし合うという友人の長原亜希子さんが、このころの彼女をこんなふうに言う。

「その当時から個性的で“お人形になりたい”と言っていましたね。不思議ちゃんというか、ぶっ飛んでるキャラでした(笑)」

 ところがヴァニラさんは、

「自分的にはすごくしんどかったんです。いじめはなかったけれど“いつも自分を作っている”って感じで、無理して周りに合わせていて。それまでいじめられていたのに急に派手になって、ギャップがすごかったからかな。でも、またいじめられるのが嫌で、仲間についていかなくちゃって、無理をして合わせていた」

 パタパタ族がもっとも力を入れていたのがアイメイク。アイシャドーで目を極力大きく見せ、つけまつげで上下を黒々と彩る。そんな理想の目のためには、くっきり二重が欠かせない。ヴァニラさんは二重のりを使っていたが、アトピーが出てしまった。

「皮膚科に通うと、“二重のり自体もかぶれるから、まぶたがただれてよけい二重じゃなくなるよ”と言われて」

 それをきっかけに、目を二重にする“カスタム”を決意した。仲間とバンドを組んでいて、将来はプロとして音楽をやりたい、華やかな芸能界で活躍したいという思いも後押ししたという。

「高校を卒業したら整形しよう、そう決めました。整形費用は、ケンタッキーやテレアポの仕事で働いて7万円を貯めて。手術をしたのは大阪の共立美容外科だったかな。ちょっとだけ緊張したけど、自分よりちっちゃい子とかも来ていたから」

 手術が終わるのももどかしく鏡を見ると、傷痕はまだ生々しかったものの、そこにはくっきりとした二重の線を持った自分がいた。二重のりとは明らかに違う、自然できれいな曲線。予想以上の仕上がりに、思わず涙がこぼれたという。

「ずーっと鏡を見ていました。そんなこと、それまで1度もなかったから」

“カスタム”をすれば堂々と歩ける

 嫌でたまらなかった顔は、いくらでも変えることができる。

 あるべき自分に戻れることに、気がついた。クリニックからの帰り道は、羽が生えたかと思うほど足取りが軽かったという。前出の長原さんは、友人の変化をこう話す。

「初めて整形したあとだったかなあ、久々に会ったら目が大きくなっていた(笑)。でも昔から知っているからか、見た目は変わってもあまり“変わった”っていう気はしないんですよ。思いやりがあって優しいという中身はそのままでしたから」

 それまでは、顔を隠すかのようにうつむいて歩くのが常だったというヴァニラさん。だが、カスタムの後は顔を上げ、堂々と歩いていることに気がついた。

 カスタムによる変化はまさに衝撃的だった。目をより大きくくっきりと見せる目頭と目尻の切開を決意するのに、時間はそれほど必要なかったという。となれば、鼻もどうにかしたくなる。憧れのフランス人形を目指すべく、プロテーゼ(人工軟骨)で劇的に鼻筋を通すオペを受けた。

 こうなると、バイトではお金がもたない。バンドの練習場が大阪だったこともあり、高校卒業と同時に実家のある田舎町を出て大阪へ。クラブでの夜の仕事に飛び込んだ。

「やっと(家を)出られるわい! という感じ(笑)。もとには戻りたくないと思いました。でも寂しがり屋なんで、初日だけは寂しかったですね」

 クラブでの仕事を選んだのは、きれいな女性が多く、勉強になると思ったから。自分がきれいになればなるほど収入に結びつく点も魅力だったと語る。

 とはいえ家庭では抑圧的に育てられ、学校ではいじめを受け続けてきた身には、接客業に必須のトークは苦行そのもの。お客様の前に出ても緊張で固まってしまい、こわばった微笑みを浮かべるのが精いっぱい。どうにか接客ができるまでに1年かかった。

 たまらなくしんどかったが、やめようと思ったことはないという。

「クラブとか水商売は厳しいし、1週間で辞めちゃう子とか多いじゃないですか。でも、ここで頑張ることで強くなれると思ったんです。というか、逆だと思うんですよ。ここで頑張らなかったら、自分が求めるものにたどり着かない。逆にすぐに辞める人の気持ちのほうが私にはわからない」

 そうまでして目指すのは、フランス人形のような究極の美と、子どものころから抱いていた、アーティストになるという夢の実現。

6年前のブレイク

 音楽がやりたいと芸能プロダクションに所属していたが、どうも芽が出ない。そんなとき、とある芸能プロダクションが新たなタレントを求め、新人発掘を行うという。それが現在、所属する『ツイン・プラネット』だった。

「自分が整形していることを売りにすれば、有名になれるとわかってた。だから社長にもそう言って。私、クラブ時代から整形していることを公表していたし、整形が悪いことだとは少しも思わなかったから」

 いちばんやりたいことは、昔も今も変わらず、音楽。アーティストになるための手段こそが美容整形。カスタムは公私の両面で、ヴァニラさんのもっとも頼れる武器ということになる。

『ツイン・プラネット』のチーフマネージャー、中井晴夫さんがこう証言する。

「ヴァニラと会って、“フランス人形になりたい”と言っているのを聞いて、これは面白い生き方だと思いました。芸能界って、整形って隠すのは当たり前じゃないですか。それを堂々と公言していて、しっかりとしたポリシーというか、自分の哲学を持っている。賛否両論はあるだろうけど、共感を得られる子だと思いました」

 そんな整形タレント・ヴァニラのブレイクは、6年前の4月のことだった。

 TBS系列のバラエティー『私の何がイケないの?』に出演、大反響を巻き起こしたのだ。当時の反響をヴァニラさんが思い出して言う。

「すごかったです。整形なんてよくないものとされているから、すごいバッシングがくるだろうと思っていたのに。でも、印象に残らないより、バズっても印象に残ったほうが絶対いいと、思い切っていろいろ言ったら意外と肯定派が多くって、びっくり(笑)」

 好意的な声が届く一方で批判もあった、と中井さんは明かす。

「爆発的な反響がありましたが、男性は圧倒的に批判する人のほうが多かったですね。でも、本人に落ち込む様子はまったくありませんでした。世間的には、整形って“可愛いと言われたい”とか“モテたい”とか、周りの評価を上げたくて受けるじゃないですか。でもヴァニラの場合はそういうのとは根本が違う。

 誰にどう思われたいとか認められたいとかは、ひとつもないんです。フランス人形のようになりたいという目標があって、それを目指してやっているだけ。本人にとっては世間の声とか評価とかは、まったく気にならないんです

ヴァニラ女子の急増、月々の美容費

 2018年8月には、そんな“わが道を貫く”ヴァニラさんに憧れて、同様の整形願望を持つ通称“ヴァニラ女子”の特集まで組まれるほどに。取材をさせてもらった『BAR Vanilla』には、ヴァニラ女子たちの教祖ともいえるヴァニラさんを慕っての来店が引きも切らないという。

 代表の熊谷誠士郎さんが、

「来客には“会いたかった”と言って来てくれるファンが多いですね。中には感激して泣いた子もいました。整形を公表している生きざまが素敵だという人も多いです」

 こうした声にヴァニラさんは、

「認めてくれる人がいるんだと思うと、整形についていろいろと考えるようになりました。それまではあんまり深く考えたことはなかったんですけど、そういう人たちの光になれればいいな、と。偏見をなくしていこうと、メッチャ思いましたね」

 他に類を見ないタレント、悩める女子たちに心から寄り添える整形タレント、ヴァニラ誕生の瞬間だった。

 衝撃のブレイクから6年。

 これまでの整形費用は総額2億円を超えた。目だけを挙げても、ヒアルロン酸注入などのメンテナンスを含めれば30回以上。正確な回数は、本人にさえわからない。

 美容にかける費用も月に200万〜300万円を超える。レーザーや水光注射(美肌注射)、1本1万円の脂肪融解注射などの費用でこの金額。カスタムが加わればさらに数十万から数百万円が追加される。

「カスタムした場所に関しては、むしろやっていないことを言ったほうが正確かも。骨切り系はやっていません。やってみたいけど、本当に信頼できる先生じゃないと怖くて考え中。でも、やるんなら、頬骨とVライン(あごの骨)を削るか。ルフォー(鼻下の骨を削って長さを縮める)とかもやりたいなあ」

彼女は依存症ではない

 2年ほど前から輪郭や目のまわりのケアを担当する主治医のひとりであり、相談相手になってもらっているという湘南美容クリニック秋葉原院の院長、名倉俊輔医師はこう話す。

「彼女はとっても知識が豊富。やりがいがありますが、質問も鋭いから、ベテランのドクターでないと負けてしまう。怖い患者さんですね」

 フランス人形を理想とするスタンスは今も変わらず、現在の理想は人気の人形『スーパードルフィー』。考え中のVラインもルフォーも、丸顔のこの人形を新たな理想に定めてのことだ。

 行った数々のカスタムは随時SNSで報告。

 Instagramでは4万7000人超、YouTubeは7万9000人超、Twitterは1万8000人弱のフォロワーがあり、SNS上でも有数の人気を誇っている。だが、そんなヴァニラさんを整形依存症と呼ぶ人は少なくない。

「変な衝動に駆られて必要もない手術をする。それが整形依存症だと思うんです。友達にも、“手術をしていないと落ち着かない”という子がいて、あごにプロテーゼを入れたと思ったら今度は取ってみたりとか。そういう意味のない手術をしているのが依存症。私はちゃんとした目標があって、それに近づきたいだけなの」

 名倉医師もこう断言する。

「依存性というよりも、彼女は可愛くなりたいという思いがすごく強い。だから、“それをやってもそんなに可愛くないと思うよ”と言うと“あ、そうか”と。依存症といわれる人の中には“(手術を)やっていないと落ち着かない”とか“(手術後の)あざがないと嫌だ”って人もいるんですが、彼女はそうではない。僕の中では、彼女が依存症であるという感覚はないですね」

 それでも、周囲の人々にとり、これ以上のカスタムは気を揉ませるもの以外の何物でもない。母親の恵美子さんが、

「心配です。健康を損なってまできれいになってもしかたない。“もうやめたほうがいいんじゃないの!?”と言っても、聞かないですから……」

 チーフマネージャーの中井さんも、

「心配はあります。関係者全員が心配しているんじゃないですか? クリニックの先生が止めることもありますし、僕としてもすすめませんし」

 だが両名とも、ヴァニラさんには無謀な手術は決してしない賢明さがあると口をそろえる。同時にカスタムに関しては、他人の意見は決して聞かないだろうとも。

 名倉医師は、厳しい本音を伝えることもある。

「依存症だとは思いませんが、普通の人から見たら理解できないというか、やりすぎという面があるとは思っています。手術には、どんなものにもリスクがあります。医師としては、益よりリスクが上回ってしまったらストップをかけなければ。

 今のヴァニラさんなら鼻ですね。鼻は手術を重ねると皮膚が薄くなっていく。今でもだいぶ薄くなっていますから、鼻をこれ以上手術するのはリスキー。これ以上剥がしてつけるのを続けるとよくないことが起こる。やめたほうがいいとは伝えています」

日本はブスが生きにくい国

 自分の生き方を決めるのは、自らの判断と美意識のみ。だがそれも、周囲の気づかいのうえで成り立っている。ヴァニラさんはこう看破する。

「日本って、ブスが生きにくい国だと思います。みんな“顔じゃない”ってきれい事を言うけれど、きれいな人とブスとでは、生涯年収が数千万円違うと、数字ではっきりと出ているんです。

 男の人もきれいな人をチヤホヤするし、大企業の受付だって、見た目で決められてるじゃないですか! 言っていることとやっていることが違うくせに、美容整形には偏見を持ってるの!私にはそんなきれい事ばかりを言う日本の文化がわからない。だから頭おかしいと思われても、今の生き方を続けていきたい」

 容貌が、教室でのカーストから始まって、就職でも続き、年齢が成熟とは見なされにくい日本。うわべでは容姿原理主義・若さ至上主義を否定しながらも、本音の部分ではそれが大手をふってまかり通る。

 全身をカスタムで作り上げた美容整形タレント・ヴァニラは、そんな“きれい事日本”への一女性による全身での反論であり、人々に、自分をどう見るかという鋭い刃を突きつける。私たちの心をざわつかせる存在でもあるのだ─。

取材・文/千羽ひとみ(せんば・ひとみ)ドキュメントから料理、経済まで幅広い分野を手がける。これまでに7歳から105歳までさまざまな年齢と分野の人を取材。「ライターと呼ばれるものの、本当はリスナー。話を聞くのが仕事」

このニュースに関するつぶやき

  • 「日本って、ブスが生きにくい」って、岡田斗司夫がやせた頃に「デブは迫害される」といったのとダブる。そして伊集院光から「デブじゃなくてお前の問題」と喝破されてたな。
    • イイネ!1
    • コメント 1件
  • ちゃんと記事を読めば、この人がなぜこんな価値観に育ったのかを汲み取れるのに、コメント欄と来たら‥。この人がこうなったのはお前らみたいな奴らの心無い言葉のせいだよ
    • イイネ!523
    • コメント 16件

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