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「天気の子は賛否両論あるかもしれない」 新海誠が貫いた世界観とは?

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2019年08月24日 16:00  AERA dot.

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写真「天気の子」/新海誠監督の最新作。家出少年の帆高(左)と不思議な力を持つ少女、陽菜との交流を描く。「君の名は。」に続き、RADWIMPSが音楽を手掛ける (c)2019「天気の子」製作委員会 
「天気の子」/新海誠監督の最新作。家出少年の帆高(左)と不思議な力を持つ少女、陽菜との交流を描く。「君の名は。」に続き、RADWIMPSが音楽を手掛ける (c)2019「天気の子」製作委員会 
 新海誠の「天気の子」の勢いが止まらない。街並みの圧倒的な表現力と、新海自身の内的世界の具現化がファンを魅了する。新海に続くように、日本アニメ界をリードする注目株のアニメーターが次々と頭角を現している。

【写真】2千人超から選ばれた!「天気の子」ヒロイン役、森七菜さん

*  *  *
 新海誠(46)が監督した「天気の子」が好調だ。公開1カ月足らずで動員584万人、興収78億円を超え、歴代興収72位を記録している(8月13日、興行通信社調べ)。

 舞台は東京。雨が降り続き、天気の調和が狂っていく陰鬱な世界で、家出少年・帆高(ほだか)は不思議な力を持つ少女・陽菜(ひな)に出会い、大きな選択をすることになる。それについて新海は「賛否両論があるかもしれない」と公開直前のインタビューで語っていた。

 が、蓋を開けてみるとツイッターにも「感動した!」「新海らしい」「やりきった」という高評価が多く寄せられている。

『新海誠の世界を旅する』(平凡社新書)などの著書があるアニメーション研究家の津堅(つがた)信之さん(51)はこう語る。

「僕は『君の名は。』より断然、好きですね。もともと新海監督は自分の好きな世界、自分の内面を描くことに興味がある方で、個人的な世界観に忠実に作品を作ってきた。これだけメジャーになっても、その姿勢を貫いたのは素晴らしい」

 2016年公開の「君の名は。」はエンタメ界の一大事件だった。興行収入は「千と千尋の神隠し」(01年)の308億円に次ぐ歴代4位、邦画に限れば2位だ(興行通信社調べ、19年8月4日現在)。興行収入100億円超えを果たした日本のアニメ監督は、宮崎駿(はやお)(78)と新海誠の2人だけだ。この2人は数字だけでなく「アニメを見る」という行為そのものを変化させたと津堅さんは語る。

「アニメファンではない人に、アニメを見に映画館に向かわせる。それができたのは、これまでは宮崎駿ぐらいだった。新海誠は『君の名は。』でその領域に到達し、『天気の子』でも同様の現象を作り出している」

 新海の特異さは、まずそのキャリアにある。もともとゲームメーカーに勤務していたが、02年、自主制作の短編アニメ「ほしのこえ」を都内のミニシアターで発表した。それまで誰も見たこともないような美しい絵、しかもごく普通の街並みが実写以上の表現力で精緻(せいち)に描かれ、アニメファンを仰天させた。主人公に心境をモノローグ(独白)で語らせるという手法も斬新だった。公開直後からネットで評判になり、2カ月後にはDVDも発売された。

 以降、じわじわとファンを増やし、ほぼ2〜3年に1度のペースでコンスタントに4作品を発表。23館で上映された「言の葉の庭」(13年)を経て「君の名は。」でいきなり全国300館上映という舞台を与えられ、大ヒットを収めた。

「彼の作品は基本的に本人の体験なんです。田舎から出てきて東京をさまよう、思春期の少年のもやもや。『君の名は。』も基本はその流れで作られていますが、まったく別種のヒットの仕方をした」(津堅さん)

 ヒットの要因はさまざまに分析される。絵の美しさ、ストーリー展開の見事さ、背景にある震災のイメージと「絆」の共通体験……まさに時代がピッタリ合った、としかいいようがない。

「新海監督は熱烈なアニメファンというより、生まれたときからアニメが周囲に自然にある環境に育ち、自分の内にあるものを具現化するためにアニメーションを使った。そこがおもしろいところです。彼以前にアニメーションでそれをやり、ここまでメジャーな監督に成長した例はありません」(同)

 確かに著名なアニメ監督はみなアニメーション制作スタジオに就職し、ある時点で長編監督になる道筋を辿っている。高畑勲(いさお)(享年82)、宮崎駿はともに東映動画(現・東映アニメーション)などを経てスタジオジブリを設立。「未来のミライ」(18年)で、スタジオジブリ作品以外で初めてアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた細田守(51)も東映動画出身だ。

 異例のロングランヒットを記録中の「この世界の片隅に」(16年)の片渕須直(すなお)(59)、「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」などの作画を経て、現在「きみと、波にのれたら」(19年)が公開中の湯浅政明(54)もスタジオで研鑽を積んでいる。

 若手では「映画 聲(こえ)の形」(16年)のヒットで注目された山田尚子(34)は、先の痛ましい放火事件で多くの犠牲者が出て、いまも全世界から追悼と支援が寄せられている京都アニメーションに所属している。

 スタジオという集団のなかでは個人の内的世界や趣味、カタルシスをある程度一般化する必要があるが、新海はデビュー時から一貫してその必要なく作品を作り続けてこられた稀有な例なのだ。

 新海以降、自主制作からメジャーになる監督も登場し始めている。昨年公開された「ペンギン・ハイウェイ」の石田祐康(ひろやす)(31)もその一人。長編デビュー作ながら公開規模が193館と大きく、声優に蒼井優ら、主題歌に宇多田ヒカルの楽曲を起用したことなどでも話題になった。

「空の青さを知る人よ」(10月11日公開)が控える長井龍雪(たつゆき)(43)も、スタジオ出身ではない。「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(13年)、「心が叫びたがってるんだ。」(15年)で知られる注目株だ。

 デジタル環境が整い、個人でアニメーションを作ることが容易になったこと、さらにそれを発表するネットなどの媒体が整ったことも大きい。

 その顕著な例が新海が用いている「ビデオ(V)コンテ」という手法だ。通常は監督が脚本をもとに絵コンテを描き、それが作品の全体図になるが、Vコンテは絵コンテで描かれた絵を撮影し、セリフや音を合わせる。作品のイメージを共有するために作る「動く絵コンテ」だ。新海はより完成形に近いものを第三者やスタッフに見せ、周囲の意見を参考に脚本をアップデートするが、展開や結末を変えることはないという。

 自分を貫きながら、時代の声や空気を敏感に拾って作品を生み出す。その芯の通った姿勢がSNS時代の人々の心を捉えるのかもしれない。

 前出の津堅さんは、これからのアニメ界を牽引する存在として、石田祐康と「サカサマのパテマ」(13年)の吉浦康裕(やすひろ)(39)に注目している。

「ともに30代。自主制作で注目され、その後長編アニメを手がけ、デジタル技術を独自のタッチで駆使するなど共通点が多い。次作が楽しみな存在です」

(文中一部敬称略)(フリーランス記者・中村千晶)

※AERA 2019年8月26日号

このニュースに関するつぶやき

  • 人の好みは千差万別���顼�áʴ���…でいいんじゃないの?�������������ӻ�������
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  • 今のご時世、見てもないのに否定する奴が増えてるからな。予告編だけ見て語ってる奴はただのバカだから相手しなくていいと思う。ちゃんと見た人の意見だけちゃんと聞けばいい。
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