バーチャルな姿に魂を吹き込む、新しい形のタレント「VTuber」

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2019年08月24日 21:30  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

画像はイメージです。

「VTuber(バーチャルYouTuber)」という存在をご存じだろうか。現在、テレビ番組や企業が注目する新しい形のタレント「VTuber」。本稿ではその実態や、人気の理由について深掘りしていく。

 子どもがなりたい職業ランキング1位にもなったYouTuberは、動画サイト『YouTube』でさまざまなタイプの動画を配信し人気を得ている。なかには、アイドルと並ぶほどの人気を獲得し、歌手デビューしたり企業タイアップをしたりと活躍し、今では芸能人もYouTuberに参入するなど、その可能性の幅は、とどまるところを知らない。

 そんな新しい形のタレントが浸透していくなか、徐々に人気を獲得している存在がVTuberだ。そもそも、VTuberとは何か。それは生身ではなくバーチャルなアバターで活動するタレントで、アニメキャラクター風の2Dイラストや3Dモデルを用いて自分の理想の姿を作り、それを動かしながら動画制作や配信活動を行う。ただしアニメキャラクターと異なり、「声優」や「中の人」という呼び方はせず、あくまでもアバターは「本人の新しい身体」で、話しているのは「魂」。「現実の姿」と「バーチャルの姿」を着替えた状態なのだ。

企業も注目し始めたVTuber 

 現在、8000人を超えるVTuberがいるが、その中でもっとも有名なのは「Kizuna AI(キズナアイ)」だろう。

 日本のVTuberの先駆けであり、現在200万人以上の登録者を誇る彼女は、テレビ番組や企業コラボ、訪日観光大使など、目立つところで活躍し続け注目を集めている。

 日清食品では『日清やきそばU.F.O』のCMに輝夜月(かぐや・るな)を起用。サントリー、ロート製薬もVTuberを企業活動として送り出し、テレビ東京の『ドラマ24』では3人のVTuberがキャラクターを演じる『バーチャルYouTuberドラマ』が放映された。

 VTuberの人気は2017年末から一気にブレイクしたが、話題にのぼるVTuberは圧倒的に女性アバターが多い。最初に女性的容姿のキズナアイが話題になったとき、早い段階で反応したファンの多くが男性だったからだろう。そのファン層の流れをついで、2017年から2018年初頭に続々と女性VTuberが誕生した。

 女性アバターが多く世に出た理由のひとつに、「可愛い女の子になりたい」、「その姿ならではのことを表現したい」という信念を持ったVTuberやスタッフが多かったのも大きいだろう。ユーザーローカルによる登録者数の調べを見ると、登録者数上位30位くらいまで、女性VTuberがランクインしている。

 しかしながら最近になって、「男性VTuber」が頭角を現し始め、彼らならではの表現に注目する動きが盛り上がってきている。

 2018年半ばから、VTuber全体の知名度が上がるにつれ、新たに女性のファン層が広がり、男性ファンも男性VTuberの身近さや話しやすさを感じ、積極的に応援するようになった。その中でも男性目線のトーク力が魅力の「にじさんじ」剣持刀也(けんもち・とうや)と、男性ボーカルとラップがファンの心をつかんだMonsterZ MATEの活動を紹介したい。

バーチャル世界だからこその距離感

いちから株式会社が運営する「にじさんじ」

 いちから株式会社が運営する「にじさんじ」。iPhoneXの顔認証機能で2Dアバターを動かし、動画配信を行うグループだ。「にじさんじ」では、配信メインで活動する場合は「バーチャライバー」と呼んでいる。二次元アニメキャラクター風の存在が、配信を通じて視聴者とやりとりできる、という生々しい距離の近さがバーチャライバーの人気の理由だ。

「にじさんじ」には80人近くのVTuberが在籍していて男性も多い。中でも人気のあるのは、剣持刀也という男子高校生。スラリとした背格好のまじめそうなイケメン……と見せかけてツッコミが鋭く、時折、口が悪いのが特徴。冷静なトーク力、テンポよく盛り上げるツッコミ技術、みんなの中心に立って整理する司会力、そしてVTuber界隈への深い愛情をもった発言で、次第に男女問わず熱烈な支持を受けるようになった。

 ファンの言葉に向き合い、全力でぶつかってくれる彼の姿は、バーチャル「クラスの男友達」といったところだろう。

剣持刀也

 剣持刀也とは違う形で注目をされているのがMonsterZ MATE(以下・MZM)。彼らはバルス株式会社で活動する、狼男の歌い手アンジョーと、吸血鬼ラッパーのコーサカによる2人組ユニットで、オリジナル曲のMVを頻繁にアップし、メジャーデビューもしている。高らかで力強いアンジョーの歌声と、魂を絞るようなコーサカのラップは聴きごたえがあり、MVも凝ったものばかりで、一切、手抜きが見られない。

 昨年は男性VTuber全般に光が当たりきっていない時期だったこともあり、どんなにハイクオリティーのMVを作っても、彼らはいま一歩話題にならなかったが「バーチャル紅白歌合戦」に出演し、たくさんの人の目にMVが触れてから人気VTuberの仲間入りを果たした。

MonsterZ Mate

 男性VTuberはまだ、活動し続けることが厳しい土壌の上にあるが、信念を持って活動し続ければメジャーデビューも夢ではないという好例を示したのは彼らだろう。そんな男性VTuberの情報は、「2D☆STAR Virtual」でも特集されていて、にじさんじから21人とMZMのインタビューが掲載されている。

 VTuberは、タレントである以前に「バーチャルな命」。キャラクターではなく、ひとりの存在として自己表現している姿に、男女を問わず視聴者は惹かれていくのだろう。トークや音楽などを、あえてバーチャルな世界でするのは、そのほうが自らの理想に近く、得られるものがあるからだ。

 少年、少女、おじさん、吸血鬼、犬……常識にとらわれず、想像もできないような姿形で自らを表現するVTuberから目が離せない。

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  • 二次元の見た目でありながら現実に干渉出来ることが何よりも強みだと思う アニメキャラなんてどうしたって俺らが見てるアニメ見て面白いと言ったり、ゲームやって発狂したり出来ないだろう?
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