「女に教育はいらん!」舅から中学受験批判!! 母激怒のウラに「高卒で就職した」悔しい過去

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2019年08月25日 19:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

Photo by Taichiro Ueki from Flickr

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 中学受験で正直、めんどうだなぁと思うことの1つに「外野の声」がある。事情を知らない第三者が突然、訳知り顔で「反対意見」を述べることがあるのだ。

 それは「こんなに勉強させられてかわいそう」という言葉に代表される。「かわいそう」と言ってくる人が、我が子の人生に責任を取ってくれるならば、それはそれで納得するが、そんなことはあるわけがない。ただ、他人様の言葉ならば、微笑みながら華麗にスルーで問題ないが、困るのは祖父母である。

 拙書である『偏差値30からの中学受験 本当に聞きたかったQ&A ぶっちゃけどうなの?』(学研)の中に、次のような受験生母からの質問を載せた。

「Q 祖父母の理解が得られません。どう話したらいいですか?」

 私が導き出した答えはこうだった。

「A 無視しましょう!」

 本書は10年前の本なのだが、私の意見は今も変わらない。なぜなら、中学受験は、親が我が子のために「これがベスト」と信じてやらせるものだからだ。これは、親が信念を持って「この道!」と大きな決断を下したということである。仮に祖父母の反対でぐらつくのであれば、その程度の話、やめればいい。

 しかし、この本では、私はこのようにも書いた。もし祖父母に金銭的なサポートを受けているのであれば、「説得せよ」とつづったのだ。これは、実は祖父母のためにではない。中学受験をさせるべきか、させざるべきか――揺れる親の頭を整理するために、祖父母にプレゼンをしてみようということなのだ。「なぜ中学受験をさせるのか?」という強い思いをプレゼンで再確認できたならば、その経験が強力な援軍となって子どもを奮い立たせることにつながると思っている。

 佳乃さん(仮名)も、舅に子どもの中学受験を止められた1人だ。佳乃さん一家は、祖父母の援助を受ける必要はなかったそうだが、それでも、あの日のことは一生忘れないと語る。

 発端は娘である穂香ちゃん(当時5年生・仮名)を、お盆休みに田舎の義実家に預けたことだった。孫の滞在延長を望んだ姑に、穂香ちゃんは「夏期講習があるから無理!」と言って、東京へ帰ろうとしたそうだ。しかしその時、なぜか、突然、舅がキレたのだという。電話で佳乃さんを一方的に怒鳴りつけたという。

「こんな小さな時分から机にかじりつかせて、虐待か! だいたい女に教育はいらん!」 

 そして舅は、穂香ちゃんを帰そうとはしない。焦った佳乃さんは、夫に「舅を説得がてら、穂香を迎えに行くように」と言ったそうだが、夫は舅の性格をめんどうがって埒が明かなかったという。

 5年生ともなれば、難しい単元も出てくる時期。後期夏期講習を受講できないかもしれないという事実に、佳乃さんは焦り出す。もっとも、佳乃さんの怒りは「女に教育はいらない」という舅の時代錯誤的言動にあったらしい。その理由は、佳乃さんの過去にあった。

 佳乃さんは小学生時代、中学受験をしようと勉強に励んでいたが、両親が離婚。その余波で受験どころではなくなり、さらには諸事情で大学進学を諦め、高卒で就職したという経緯があったのだ。

「私は勉強したかったんです。今でも第1志望だったK学園の制服を見ると、胸がチクチクします。人間は勉強できるチャンスがあるならば、それを生かした方が将来の選択肢が増えます。だから、娘にだけは、私と同じ思いはさせたくなかった……。幸い、穂香は勉強ができる子で、塾も大好き。将来の夢は医者ってことで、理系に強いO学園を目指していたので、余計に義父の言葉は許せませんでした」

 佳乃さんは「こうなったら、自分が有無も言わせず舅から穂香ちゃんを取り戻す!」という決意で、穂香ちゃんに「今から、ママが迎えに行く!」と電話したという。すると、穂香ちゃんから意外な言葉が返ってきたそうだ。「ジージがわかってくれたから、今から帰るね」と。

 聞けば、穂香ちゃんは自分でこう伝えたという。

「ジージは心臓が悪いじゃない? だから、穂香がお医者さんになって、ジージの病気を治してあげるね。そのためには、今はO学園に行くのが、最短距離なの!」

 そして、塾が楽しいこと、先生から習ったこと、世の中の仕組みがこうなるともっといいと思っていることなどを、話して聞かせたのだという。その利発さに感動した舅は、今度は急にこう言い出したんだそうだ。

「穂香ちゃんの教育費は、自分が援助する!」

 災い転じて何とやらの結果となった佳乃さんは、当時のことを思い出しながら、「穂香は無事にこの春、O学園の生徒になりました。今はまだ、舅からは金銭的援助は受けていませんが、この先、医大に入るときにはお願いしたいですね(笑)」と笑っていた。

 もし、第三者が我が子の中学受験、さらにはその先の道までを指図してきたと仮定してほしい。もし、そのことで親の心が揺れるならば、最後は我が子に聞けばいい。答えは我が子が持っている。人生は幼くとも、自分で決めて進むものだからだ。親はそのサポートを“揺れず”にやればいいと思っている。
(鳥居りんこ)

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  • 端から見てると「親の身勝手なエゴを押し付けてる」様にしか見えないもの……………
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