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中高年夫婦の「セックスレス」増加 “性欲ギャップ”解決するには?

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2019年08月26日 17:00  AERA dot.

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写真※写真はイメージです (Getty Images)
※写真はイメージです (Getty Images)
 ここ70年間で、日本人の平均寿命は男女ともに25年以上延びた。長寿化の中で近年浮かび上がってきたのが、高齢者の「性」の問題だ。夫婦間のセックスレスで人知れず悩む高齢者が増えている。ライター・澤田憲氏が現状の課題と解決策を取材した。

【12年間で中高年夫婦のセックスレスはどのくらい増えた?】

*  *  *
「妻とセックスしなくなったのは4〜5年前。ちょうど仕事を辞めた後ですね」

 奈良県在住の70代男性が、セックスレスになった当時のことを教えてくれた。

 男性は9歳年下の妻と二人暮らし。60歳まで役所で勤め上げた後、民間企業に5年間勤め、65歳で定年退職した。現在は、大阪にある大学の客員研究員として、月に数回、大学に通い論文の執筆に励む日々を過ごしている。

「仕事を辞めてからしばらく留学していたので、その間もセックスはしていませんでした。ただ日本に帰ってきてから、病気で体調を崩したのが決定的でしたね」

 一昨年、男性は間質性肺炎に罹患。症状が重く、2カ月ほど寝たきりの生活だったという。その後軽快し、通院治療しながら日常生活を送れるようにはなったが、妻との関係は元気なころと同じようにはいかなかった。

「病気で体重が10キロほど減りました。そんな状態だから妻とセックスする気も起きず……。気づいたら妻をそういう対象として見られなくなっていました」

 男性の妻は、してもしなくてもどちらでもいいと思っていたようだが、男性は「本当にこのまま関係がなくなっていいのだろうか」と人知れず悩んだという。

 昨今、この男性のように、夫婦間のセックスレスに悩む中高年は多い。

 医師や臨床心理士らで組織される日本性科学会が、2000年および12年に実施した「中高年のセクシュアリティ調査」によると、40〜70代の全ての世代で、男女ともにセックスレスの割合が増加しているという。特に顕著なのが40、50代で、12年間で男性は2.5〜2.7倍、女性は1.8倍に増えた。

 なぜ、これほどセックスレス化が進んでいるのか。

 日本性科学会セクシュアリティ研究会代表で、共著『中高年のための性生活の知恵』(アチーブメント出版)を今年5月に上梓した荒木乳根子さんは、中高年がセックスレスになる要因に「男女の身体的性差がある」と指摘する。

「男女ともに50歳前後から性欲は減少していきます。ただし、男性の場合はゆるやかに下がるのに対し、女性は閉経を機に女性ホルモンの分泌量が大幅に減り、性欲もがくんと落ちる。加えて50代後半になると、性交痛などの性障害も強まるため、夫とのセックスを避けがちになるのでは」

 このような夫婦間の“性欲ギャップ”は、アンケート調査の結果でも明らかだ。日本性科学会が12年に実施した調査では、60代、70代の男性のうち約4割が「相手(妻)の欲求が自分より乏しすぎる」と回答。一方で、60代女性の26%、70代女性の11%が「相手(夫)の欲求が自分より強すぎる」と回答している。

「加齢によるホルモン減少で性交痛が生じるのは自然なこと。ですが、女性の中には病気ではないかと心配して病院に来られる方もいます。一方で男性も、急に妻がつれなくなったと不満を持つ方も多い。男女ともに、正しい性知識を学ぶ必要性を感じます」

 確かに、こうした男女の性差や身体的変化は、セックスレスを招く要因となる。しかし、ここ十数年でセックスレス夫婦の割合が増加している理由にはならない。レス化が進む背景には、加齢による体の変化に加えて「夫婦の関係性の変化もある」と荒木さんは言う。

「十数年前と比べて、現在は共働きの夫婦が格段に増えました。働く女性が増えたということは、それだけ疲れて家に帰ってくる女性が増えたということ。また、社会進出にともない女性の権利意識も向上し、夫からセックスを誘われても自分が望まない場合は、はっきりと『NO』と言う女性も増えていると感じます」

 荒木さんが指摘するとおり、00年当時は「専業主婦世帯」が916万世帯に対し「共働き世帯」は942万世帯と、ほぼ半々の割合だったものが、18年には専業主婦世帯が600万、共働き世帯が1219万と、2倍以上の差が開いている(労働政策研究・研修機構資料から)。

 昔であれば、妻側がある程度夫の都合に合わせることもできたかもしれないが、フルタイムで働くようになればそんな余裕はない。仕事から疲れて帰ってきて、食事や家事を済ませば、あっという間に寝る時間だ。

 さらに加齢により性欲が落ちていけば、女性はなおさら夫とのセックスを苦痛に感じるようになるだろう。

 一方で、女性が経済力を身につけ、家庭内での立場が相対的に強まったことで、夫側にも変化が起きている。

「セックスレスに悩む男性の話を聞くと、妻が応じてくれないという方がいる一方で、妻を性的対象として見られなくなったという方も相当数います。どうやら、妻側が生活をリードしてあれこれ指示を出すようになると、妻に性欲が湧かなくなることがあるようです」

 こうしてみると、高齢期には自然と性欲が枯れてプラトニックな関係に戻るというのは、見せかけだけの話であることがわかる。夫も妻も、多くの人が、心の奥底では性に対する不満や悩みを抱えているのだ。

 では、どうやってそれらを解消すればいいのか。

 荒木さんは、「セックスを成功させることより、加齢による体の変化に合わせて“セックス観”を変えていくほうが大事」と語る。

「特に男性は、『勃起や射精ができないと恥』と考える人が非常に多い。そうしたプレッシャーから、妻とのセックスを重荷に感じてレスが進んでしまうこともある。『セックス=挿入』という考え方に縛られすぎているんです。でも本当は、裸で抱き合ったり、愛撫したりするだけでもいい。肌を重ねることで、互いに『愛されている』という実感を得ることがいちばん大切だと思います」

 さらにセックスの満足度を高めるには、互いにしてほしいこと、してほしくないことをきちんと相手に伝える努力も必要になる。

「ただ、夫婦といえども性的な要望をいきなり伝えるのは難しい。だから日頃の会話から、自分の内面を素直にさらけ出す習慣を身につけたいですね」

 荒木さんが勧めるのが「アイメッセージ」という会話の方法だ。例えば、「ごみを片付けて」と相手(ユー)に指示するのではなく、「ごみを片付けてくれると(私は)嬉しい」と私(アイ)の感情をベースにして話す。こうすれば相手も嫌な気持ちになりにくいし、自分もストレスをためずに済む。

「今日は体の調子がいいとか、食事がおいしかったとか、小さなことでいいから相手の心をノックしてあげることが、豊かな性生活の土台を築くのだと思います」

 ここで男性にとって勇気づけられる話をひとつ。

 冒頭のセックスレスに悩む70代の男性は、最近レスの解消に成功したという。

「今は年に4〜5回、妻とセックスするようになりました。最初は誘うのが恥ずかしかったけど、『一緒にランチに行こう』とか『お風呂に入らないか』とか、そういう軽いところからスキンシップを始めた。今では朝から晩まで会話が絶えなくなりましたよ」

 さらに男性は「自分で目標を立てたことが夫婦仲を深めた」とも感じている。

「博士号を取るために65歳から大学院に通い始めたんです。すると妻も応援してくれて、卒業式も一緒に出てくれました。イベントがあると、ふたりの気持ちも自然と盛り上がりましたね」

 退職後は家に閉じこもりがちになり、妻への依存心を強める男性も少なくない。一方で、そうした夫の態度を煩わしく感じる妻もいる。会話だけでなく、日頃の行動も自分(アイ)をベースに考え、独立心をもって過ごすことが、性的魅力を維持するコツかもしれない。

※週刊朝日  2019年8月30日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • 男は歳を取ると妻とSEX出来なくなる。しかし妻以外の女とならできるから不思議。
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  • 私が45歳の頃に53歳でSNSで男漁りしていた女性がいましたけどね。夫ともやってるのに他でもやってるし。
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