22/7 全員インタビュー メンバーが語る、11人で踏み出す第2章のスタートとアニメ化への喜び

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2019年08月26日 20:41  リアルサウンド

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22/7(写真=三橋優美子)

 秋元康がアニプレックス、ソニー・ミュージックレコーズとタッグを組み、総合プロデュースするデジタル声優アイドル・22/7が、8月21日に4thシングル『何もしてあげられない』をリリースする。


 これまでは8名で歌唱していたが、今作では涼花萌、高辻麗、武田愛奈の3名が加わり、メンバー11人が揃った初めての表題曲だ。2019年には月に一度の定期公演『ナナニジライブ』がスタートし、冠番組『22/7 計算中』でも11人のキャラが揃うなど、第2章の幕開けを切った22/7。来年にはメンバー念願のアニメの放送も決定し、今後の展開にも期待の目が向けられている。


 前編は帆風千春・西條和・武田愛奈・倉岡水巴・海乃るり・宮瀬玲奈の6名、後編は天城サリー・白沢かなえ・涼花萌・高辻麗・花川芽衣の5名にインタビュー。フルメンバーでの活動に対する印象をはじめ、『ナナニジライブ』や『計算中』での成長、アニメ化への期待について語ってもらった。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】


■帆風千春・西條和・白沢かなえ・涼花萌・高辻麗インタビュー


――前回のシングル『理解者』から1年の間に、色々な出来事があったと思います。みなさんはどんなことが印象に残っていますか?


白沢かなえ(以下、白沢):『22/7 計算中』(TOKYO MX/以下、『計算中』)が始まって、最初に出演が決まったメンバーが8人だけだったことは大きな出来事だったと思います。ファンのみなさんに対しても「申し訳ないな」と思っていて。11人全員のキャラクターが発表されるまでは、何をしてもすっきりしない気持ちでした。


涼花萌(以下、涼花):私もやっぱり、自分のキャラクターをいただけたことが大きかったですね。今までは観ている側だった『計算中』に、神木みかみちゃんとして出演することで、メンバーだからこそ見えるキャラクターの魅力も知ることができて、心の距離がもっと縮まりました。


――涼花さんと高辻さんは、自分のキャラクターの発表までをどう過ごしていましたか?


高辻麗(以下、高辻):最初は、ちょっとひねくれました(笑)。誰かを責めても仕方がないし、自分の中でもそういう気持ちを何とか押し殺していて。でも、今回の「何もしてあげられない」は、自分の中にある気持ちを爆発させる曲なので、そのときに感じた「本当はメンバーのために何かしてあげたかったけど、何もしてあげられなかった」という気持ちを表現しています。最初にタイトルを見たときに、これまでの私の気持ちに、通じるものを感じたんです。


涼花:私も、最初にキャラクターを演じていた8人を「いいなぁ」と思っていたし、「ここにいていいんかな?」と思った時期もありました。でも、ひとりなら「京都に帰ろう!」と思ったかもしれないですけど、同じ気持ちを共有できるれったん(高辻麗)やなっち(武田愛奈)、それに応援してくれる方々がいたので、「頑張ろう!」という気持ちでいられました。


帆風千春(以下、帆風):本当に色々なことがあって、色々な変化があったと思います。『計算中』以外にも、たとえば今年はじまった『ナナニジライブ』は定期公演で、毎月終わったと同時に次の公演に向けた準備がはじまるので、以前よりメンバーと過ごす時間も増えていて。みんなのトークもより息が合うようになりましたし、毎回成長を実感できる機会にもなっています。特に、今回のシングルはすべての曲が11人での歌唱曲なので、本当にずっと一緒にいるような感覚です。


――デビューシングル曲「僕は存在していなかった」のMVの最後で、カップリングで全員歌唱をした「11人が集まった理由」が小説として登場したりと、「11人で22/7だ」ということも表現されていたとは思うのですが、みなさん自身は悩んでいた部分もあった、と。


高辻:この間の『ナナニジフェス 2019』で、久しぶりに「11人が集まった理由」を歌いましたけど、キャラクターも全員揃って、本当の意味で11人になってから初めて歌う機会だったので、あのときは歌いながらすごく感動しました。


――全員の担当キャラクターが発表されて以降、変化を感じていることはありますか?


帆風:キャラクター同士が絡む『計算中』では、新しいタイプの3人が加わったことによって、それまでいた8人の新しい表情も引き出されている気がします。たとえば、私が演じる佐藤麗華ちゃんは優等生で真面目な性格ですけど、それとは正反対の、ギャルっぽい柊つぼみちゃんと絡んだときに、麗華ちゃんが困惑していて(笑)。11人だからこそ見られる色んな表情が増えたし、今もどんどん発見があって、すごく楽しいですね。


西條和(以下、西條):私も滝川みうちゃんとして、(神木)みかみちゃんや(東条)悠希ちゃん、(柊)つぼみちゃんと触れ合えるとすごく嬉しいんです。「本当に11人揃えたんだな」と実感します。


白沢:3人のキャラクターが決まってすぐの頃に、普段の会話をキャラクターでやったりもしていました(笑)。みんなでそういうことができるのも、すごく楽しい瞬間ですね。


帆風:そういえば、今、れったんのLINEのアイコンが(東条)悠希ちゃんで、私のLINEのアイコンが佐藤麗華ちゃんになっているんですけど、「その悠希ちゃん可愛い!」「すこ」って送ったら、れったんが「麗華さまに言われてるみたい!」って言ってきて。


高辻:なりきりチャットみたいになっているんです(笑)。


涼花:(笑)。私は、『計算中』で、(藤間)桜ちゃんと(河野)都ちゃんと、私が演じるみかみちゃんで、キャンプに行くことができたのも楽しかったです。「これもみかみちゃんがいてくれなかったらできへんかったことなんかな……」と思って、すごく嬉しかったですね。


それぞれが感じる、各メンバーの成長


22/7 『ナナニジフェス 2019』@duo MUSIC EXCHANGE ダイジェスト映像 (2019.7.22)
――みなさんそれぞれ、今のメンバーにはどんな魅力を感じていますか? たとえば、ここに集まっている5人で言うと、帆風さんはリーダーとしてグループをまとめていますよね。


高辻:ちはるん(帆風千春)は、「いい子でいなきゃ!」という優等生的な部分が打破されてきていると思います(笑)。最初の頃は「いい子でいようとしちゃう」ってずっと言っていたのに、最近は「そんなこともやるんだ」という瞬間があって(笑)。最年長なのでお姉さんとして見られることも多いと思うんですけど、今は結構ふざけたりもしてくれます。


白沢:リーダーって、グループの雰囲気を左右すると思うんですよ。それこそ、怖いリーダーだったらみんなピリッとしちゃうし、優しすぎてもまとまらないし。でも、ちはるんは優しいリーダーでありつつ、みんなが別の方向を向かないように、ちゃんと意見をまとめてくれるので、22/7の仲良しな雰囲気は、全部ちはるんが作ってくれたのかな、と思います。


帆風:全部ではないよ!!(笑)。


白沢:一方で、れったんは、『ナナニジライブ』のソロパートで披露した朗読の演出も全部自分で頑張っていましたし、演技も誰が見ても分かる成長を遂げていて、本当にすごいと思います。みんなそうではあるんですけど、キャラクター愛も強くて、東条悠希ちゃん役に決まった次の日には、ずっと悠希ちゃんが肩に乗せているハリネズミのことを調べていたり、イメージカラーのパープルを着ていたりして。そこに人柄が出ていて可愛いかったです。


涼花:あと、もともと髪が長かった頃は、甘えん坊の末っ子的な雰囲気があったと思うんですけど、髪を切ってからは自分の道を切り開いて、「これです!!」と突き進んでいくような雰囲気を感じます。自分のいいところを見つけて、すごい勢いで伸ばしていて、でも同時に末っ子的な可愛さも残っていて――。


高辻:特に帆風千春ちゃんは、「すごくタイプなんだよね」って、ことあるごとに言ってくれるんですよ(笑)。


帆風:何しても可愛いから、つい見ちゃうんです。鏡越しに目が合って、「ニヤ」って……。本気のトーンで「可愛いね」って言っているのでたぶん気持ち悪いと思うんですけど、いつも受け止めてもらっています(笑)。


――(笑)。白沢さんはどうでしょう? しっかり者というイメージがありますよね。


帆風:かなえる(白沢かなえ)は本当にしっかりしていて、MCでもすごく支えてくれています。もちろん、みんなもそうなんですけど、「かなえるがいれば大丈夫」という安心感があるというか。それに加えて、最初は真面目な部分ばかりが出ていたのに対して、最近はセクシー街道まっしぐらですよね(笑)。最初は迷っていた時期もあったみたいですけど。


白沢:最近は、逆にそれしか分からなくなっちゃった(笑)。


高辻:かなえるって、ドライなところはドライで、私はそこがすごく好きです。だから番組でツッコミをしてくれても、すごく面白くて。でも、根底には優しさや思いやりがあるので、後で「さっきの大丈夫だった? ごめんね」って言ってくれたりもするんです。


――白沢さんの場合、演じている丸山あかねちゃんもしっかりしているキャラクターなので、最初はその大変さも感じていたんじゃないですか?


白沢:あかねちゃんはただ学力が高いだけではなく、本当にしっかりしている子で。学力の差は埋められないですけど、もともとの考え方は結構似ているんです。あかねちゃんに助けられて活動できているとも感じています。


――西條さんはどうでしょう?


帆風:なごみんは、いい意味でいつも変わらないでいてくれています。その中で、「自分でできることは何かないかな?」ということも、ずっと考えてくれていて。ダンスでも正確な動きで引っ張ってくれるし、「理解者」のときには、ダンスのフォーメーションを紙に書いて、メンバーみんなに配ってくれたこともありました。


――センターポジションには慣れてきましたか?


西條:真ん中に立つことは、やっぱりまだまだ慣れていないです。たとえば、ひとりひとりのダンスをフルでみようと思って、同じ映像を11回見直してみたら、メンバーそれぞれに「ここ、好きだなぁ」というものがたくさんあって、「何で私がセンターなのかな」と苦しさを感じたりもしました。でも、みんながそうやって魅力的に踊ってくれるからこそ、私も私なりに、自分の場所で踊ろうって思っています。


白沢:なごみんはよく、自分のことを「何もできない」「感情表現が苦手」と言っていますけど、全然そんなことはなくて。ライブ写真を見ると、すごくいい表情をしているんです。そういうところも、2年間やってきた努力のたまものだと思いますし、センターとしてプレッシャーも感じるはずなのに、それを絶対に弱音として口には出さない雰囲気もあって。自分なりに色々と考えて頑張ってくれていて、「いつもありがとう!」という気持ちです。


高辻:この間、感動したんですけど、なごちゃんって食べられるものが少ないので、「ご飯、どうしてるんだろう?」と思っていたら、パスタをつくれるようになったみたいなんですよ。


涼花:嘘!?


帆風:すごい!!  そして、萌ちゃんは、自分を出すことを恐れない、素敵な性格で。毎月の『ナナニジライブ』でも、「萌は今日も可愛いです!」って言っていて、それが事実なのもすごいし、癒しをもらえる存在ですね。ずっとこのままでいてほしい!


高辻:萌ちゃんは、最初の頃の演技レッスンでも、「思い切って自分を出そうと思って、できなくて泣いちゃう」という姿をずっと近くで見てきたので、今、こうやって自分を出していたり、演技でもはっちゃけたりしているのを見ていると、幸せな気持ちになります。


――そのきっかけになるような出来事はあったと思いますか?


涼花:『シャンプーの匂いがした』の発売のときに、SHOWROOMで「PRしてみよう」という企画があって。そのときに、妖精の話をしたのは大きかったかもしれないです。私はずっと「お花の妖精になりたい」と思っていたんですけど、家族には「それは恥ずかしいことやから、外では言うな」と言われて育ってきて(笑)。でも、「この仕事なら、出してもいいのかな……」と思って言ってみたら、みなさん優しくて、メンバーも「妖精さんだったんだ!」と受け入れてくれて(笑)。ありのままの私を受け入れてくれるみんながいるから、はっちゃけられるようになったんだと思います。


■「何もしてあげられない」は、すごくナナニジらしい曲


――みなさんそれぞれに関係性を深めているということですね。だからこそ、シングルの表題曲を11人全員で歌えると知ったときは、嬉しかったんじゃないでしょうか。


帆風:「11人で表題曲を歌いたい」ということはずっと話していた目標だったので、それを叶えられて、すごく嬉しかったです。それに、私たちだけではなくて、ファンのみなさんも待ってくれていたと思いますし、みなさんが「11人で歌う姿をもっと見たい」と言ってくれたからこそ実現したと思うと、嬉しいと同時に、感謝の気持ちが溢れてきました。


――では、最初に楽曲を聴いたときの感想は?


高辻:今回の「何もしてあげられない」は、すごくナナニジらしい曲だな、と思いました。


帆風:この曲もそうですし、これまでの曲を聴いていても思うことなんですけど、人への元気の与え方って、色んな種類があると思うんです。たとえば、すごく元気な人を見ていて元気が出る、というのもそのひとつだと思うんですけど、私たちの曲には誰もが持っている葛藤や苦しみが描かれていて、でも、「それは自分だけじゃないよ」という意味で、寄り添うタイプの曲が多いと思っていて。「こういう気持ちがあってもいいんだな」という肯定感を、聴いてくれるみなさんにも持っていただいて、元気になってもらえたらな、と思っています。


白沢:歌詞の意味については、振付師さんと一緒にみんなで円になって、「意味を考えよう」という会を1時間以上して、それぞれの感想を出していきました。そのときに、「正解はないから」と振付師さんが言ってくださって、「ひとりひとりの解釈の違いを尊重する」ことに気づけたので、私も自分が思う「何もしてあげられない」の表現を、試行錯誤しながら見つけるきっかけになりました。


帆風:私は今回、天城サリーちゃんと一緒に、どこかラップのような、語りのようなシーンを担当することが多かったので、メロディに助けられることがない分、セリフに気持ちを乗せることを意識しました。そこは演技レッスンで培ってきたものを、いかに出せるかを考えていきました。この曲が自分にとってどういう曲なのかを考えながら、表現していった形です。


高辻:私の場合、途中、私と萌ちゃんとあいなっちの3人で歌う部分があるので――。


――ライブでのフォーメーションも印象的なものになっていましたね。


高辻:そうなんです。3人が雑踏の中にいて、歩いてくる8人に飲み込まれてひとつになるという振り付けがあって。その部分はずっと同じ思いを抱えてきた3人で、同じ気持ちで歌えているのかなと思うので、「すごくありがたいな」と思っています。


西條:私の場合は、〈傲慢に生きて来て〉というセリフを言っていて、「それってまさに自分のことだなぁ」と思っているんです。私は自分の感情でしか動けないというか、そうでしか生きられないタイプなので、そのセリフは家族とメンバーに向けて言っています……(笑)。


涼花:私にとってこの曲は、歌詞を理解するのが難しくて。でも、『ナナニジフェス 2019』での初披露のときに、目の前にいるお客さんが、すごく温かい目をしてくれていたんですよ。まるで自分のことのように、すごく喜んでくださっていて。なので、歌詞の意味を考えるだけではなくて、応援してくれる人たちへの「ありがとう」も込めて歌っています。


――今回はMVにも11人のキャラクター全員が登場していて、これまでの3Dモデルとは違う作画タッチの映像になっていますね。冒頭のメンバーが並んでいるところが実は10人で、その映像が映ったスマホを持つ手も加えて11人になるという演出も意味深です。


帆風:みんな立ち方や向いている方向がそれぞれ違ったりしていて、みうちゃんが最後の最後に動くところも意味深ですよね。


西條:みうちゃんは私の担当キャラクターなのでよく知っているはずなのに、最後の部分だけ私の知っているみうちゃんとは違っていて、ドキッとしました。みうちゃんは最後まで顔が見えなくて、過去のジャケット写真でも、いつもみうちゃんだけ目線が違ったりしているので、そういう部分も、「いつか理由が分かるのかな?」と気になりながら観ています。


――「何もしてあげられない」は、いよいよキャラクター11人が集結したシングル表題曲になりました。これからの活動については、どんなことを楽しみにしていますか?


帆風:この間の『ナナニジフェス 2019』で2020年1月からのTVアニメの放送開始が発表されて、具体的な目標が見えてきましたし、今年は色々なフェスに出させていただいたり、9月20日にアニバーサリーライブがあったり色々なことが控えています。そういう場所で、みなさんが私たちのことを「いいな」と思ってくださって、「色んな人に広めたい」と思ってくれるかどうかは私たち次第なので、その大きな目標に向かって頑張っていきたいです。


高辻:私は歌がすごく好きなので、TVアニメでそれぞれのキャラクターに焦点が当たっていくとしたら、それぞれのキャラソンも歌ってみたいです。22/7はキャラクターもすごく魅力的だと思うので、キャラクター・コンテンツとしてもたくさんの人に愛してもらえるようになっていけたらいいな、と思います。


――22/7は、11人であると同時に22人でもある、ということですよね。


白沢:22/7はデジタル声優アイドルグループとして、アニメのキャラクターたちを演じるために結成されたグループでもあるので、『計算中』やVTuberとしての活動を通して、キャラクターたちが輝ける舞台が増えてきていることを、すごく嬉しく思っています。その新しいものとして、TVアニメは絶好の舞台だと思いますし、私たちがキャラクターの魅力を作り上げて、伝えていけるような1年にしたいです。


西條:私もキャラクターたちの魅力を伝えていけたらいいな、と思っています。ただ、私はみうちゃんと似ているところが多いので、『計算中』のような番組を通して、自分と一緒になりすぎてしまっている部分も感じていて。TVアニメに向けて「演じる」ことをちゃんと見せていきたいです。


涼花:私は、みかみちゃんに出会えて、すごく助けられている部分があるんです。なので、私が演じることでみかみちゃんを嫌いになってほしくないし、「可愛いな」と思ってもらえるように頑張りたいです。キャラクターたちだけのライブでも、全国の色んな場所に行けたらいいな、と思っています。(取材・文=杉山仁)


■武田愛奈・倉岡水巴・海乃るり・宮瀬玲奈・天城サリー・花川芽衣インタビュー


ーーまずはほぼ1年ぶりのリリースとなった今回のシングルまでの道のりで、それぞれが一番大きいと思った出来事について聞かせてもらってもいいですか?


天城サリー(以下:天城):初めて外部のオーディションに合格させて頂いて『パンドラとアクビ』という作品のアクビちゃんを演じさせて頂いたんですけど、現場で一緒にお仕事させて頂いた先輩方から本当に刺激を受けました。22/7もTVアニメ化が来年に決定されている中、実際にメインキャストとして新たな作品に出させていただいたことで、より一層頑張らなくてはいけないという気持ちになりましたし、個人でもレッスンを受けたり、自分から動くということをした1年でした。


花川芽衣(以下、花川):今年から定期公演(『ナナニジライブ』)や『ナナニジROOM』(22/7のSHOWROOM番組)が始まり目の前のやるべきことはあったのですが、自分はこれからどうしていきたいのかを考える時間が前より多くなった気がします。


武田愛奈(以下、武田):私の中では、『22/7 計算中』(TOKYO MX/以下、『計算中』)がすごく大きくて。柊つぼみというキャラをもらってから、自分自身すごく変われたんです。今まではあまり自分から入っていけなかったんですけど、イマドキJKのつぼみちゃんを介してだと、すぐに馴染んでいけたり、今まで言えなかったことも言えるようになったりして、「出会ってくれてありがとう」と思いました


ーーグイグイ行く性分は、武田さん本来のものではなかったんですか。


武田:もしかしたら自分のなかにはあったのかもしれなくて、それをつぼみちゃんが引き出してくれたんだと思います。


倉岡水巴(以下、倉岡):私も『計算中』でキャラを通して喋ることによって、大きく変わった部分はありますね。「どうしよう、どのタイミングで言おう」と思うようなことも、「“浪速のおしゃべりガール”都ちゃんなら言うやろ!」って一歩踏み出してみると、メンバーや三四郎さんが笑いに変えてくれて「何を言ってもなんとかなるんや」と手応えを感じたんです。『計算中』が始まってから、みんながライブのMCパートでみんなどんどん喋るようになって、流れも作ることができるようになって、初期では出せなかった楽屋のワチャワチャな感じも舞台上で出せるようになりました。


ーーキャラクターによって引き出された個性がある、というのは面白いですね。海乃さんはどうでしょう?


海乃るり(以下、海乃):私がこの1年で大きかったのは『22/7 定期公演“ナナニジライブ“』ですね。トークに少し苦手意識があったんですけど、毎回終わってから映像をみて、良いところと悪いところを書き出して、しっかり自分自身と向き合うようになったんです。印象的なのは『#1』のソロコーナーですね。愛奈ちゃんが「このままじゃダメだから、私がやる、自分を変えたい!」って立候補したのが心に響いて。いまだにそれを思い出しながら自分を奮い立たせることがあります。


宮瀬玲奈(以下、宮瀬):私は、“メンバーの個性がこの一年ですごく爆発していること”ですね。だからこそ、私自身は自分を見つめ直すことも増えましたし、それによって「私自身もちゃんと個性を出さないと、居れなくなってしまうかもしれない」って悩むこともありました。でも、リーダーやメンバーに勇気を出して相談してからは「れいにゃん、これ言いなよ」って振ってくれたりして、そこから少しずつ掴めてきたような気はします。


ーー個人的には、やはり神木みかみ(CV:涼花萌 )、東条悠希(CV:高辻麗)、柊つぼみのキャラクター追加が大きかったんですよ。当事者の武田さんに聞きたいんですが、動き出したのを見たときはどんな感情でした?


武田:「この子のために頑張ろう」と思いました。1人のときはすごく心細かったんですけど、つぼみちゃんがいてくれることはすごく支えになっています。自分のためにはあまり頑張れないタイプなんですけど、つぼみちゃんのために頑張ろうという気持ちにもなりますし、いままでマイナスなことしか考えられなかったのに、考え方も全部前向きになって。良い方向にばかり向かっている気がします。


倉岡:もともと愛奈っち自体が優しくて明るくて元気な子なんですけど、『計算中』でつぼみちゃんとして発言するようになってから、より磨きがかかって、今まで以上に周りを明るくしてくれるようになったんです。私たちの心を照らしてくれる、22/7の太陽みたいな存在なんですよ。


武田:私も初期の頃は、つぼみちゃんでいなきゃいけないのに武田が出ちゃって(笑)。スタジオ収録の時は「いつ入っていけばいいんだろう」と最初はモジモジしてたんです。やっぱり、動けるようになったのが大きいかもしれません。


ーーたしかに、パネルの時と動き始めてからでは、パフォーマンスが大きく変わったように感じました。


武田:すごく漲るようになったんですよね……(笑)。思ってないことも反射的に喋るようになって、あとから「こんなこと喋ったの?」って思うことも増えましたし。もしかしたらあまり考えて話さないほうがいいかもしれないです。


花川:(11人が揃って)彩りが豊かになったなと思いました。視覚的なこともそうですが、個性豊かなキャラクターが3人増えて22/7のなかの世界がより広がったような感じを受けました。


天城:追加キャラクターの声優の3人は本当にメンバーの中でも可愛らしい声をしている子達で、その3人が加わることで甘いテイストの声が歌の中でも良く聞こえるようになりました。新しい音色が入ったことで、よりいろんな方々に楽しんでいただけるような感じになったなと思います。


■『計算中』で一番思い出に残っている回


ーーお話を伺っていると『計算中』の話も多いので聞きたいんですが、みなさんの中で印象に残っている回と、その理由は?


天城:私演じる藤間桜ちゃんはスカイダイビングに行ったんですけど、もう『22/7 計算中』で印象に残っている出来事というよりかは人生で印象に残る日になりそうです。ジェットコースター系の高さは平気なんですけど、さすがにスカイダイビングは怖かったんです。でも、4thシングルのヒット祈願ということで飛べました! しかもスカイダイビング行った直後にロケバスで学校に送ってもらって、そのまま授業を受けるといったとても濃い1日になりました。


宮瀬:「第1回チーム対抗クイズバトル」(第37回)ですね。最初はスタジオにいても一言も発せずに終わることもあったんですけど、この回は台本もない早押しクイズだったので、何を話せばいいとか考える暇もなくて。のびのび考えずに話したら、オンエアでも結構使われて、ファンの方からも「頑張ってたね、喋れるようになったね!」って言ってもらえました。それ以降、発言がちゃんと使われるようになってきたくらい変わりました。『計算中』は自分のキャラを自分が作る番組でもあるから、自分がしないとキャラがしないことになっちゃうし、自分が動かないと始まらないので、今後ももっともっと成長していきたいです。


ーークイズバトルは、独特なワードセンスを持っているのがよく伝わってくる良い回でした(笑)。


海乃:私はお化け屋敷ですね。トータルで3回(絶叫リポート回「戦慄迷宮」2回、催眠術回「お台場怪奇学校」1回)入ったんですけど、すごくお化け屋敷が苦手で。リアルにこの先どうしようか悩んでいたんですけど、それがまさか戸田(海乃がCVを務める戸田ジュン)ちゃんの個性になると思わなかったんです。「嫌なものは嫌なままでいいんだ」と、この職業ならではの特殊さを感じた回でした。


花川:私が演じる斎藤ニコルの生誕祭企画回です。人生のなかであんなに壮絶な場所を自分の足で歩いたことがなかったのですごく印象に残っています。後から知った話なのですが、あそこの樹海はすごいところらしく、少し鳥肌が立ちました……(笑)。


倉岡:私はキャンプ回ですね。ペナルティのヒデさんがご一緒してくれたんですけど、普段の都はツッコミなので、ボケてる人に対して「何やってるん?」とかいうわけです。ただ、ヒデさんの頭の回転が速すぎて。みかみちゃんと桜(天城サリーがCVを務める藤間桜)ちゃんが何か言うたびにヒデさんが先に面白いツッコミをするうえに、2人の個性を活かした言葉がポンポン出てきて「どこからそんな言葉出てくるんやろう……」ってただ呆然と立ち尽くしました。


宮瀬:そこと勝負しなくても……(笑)。


倉岡:(笑)。でも、もっと自分の語彙力を増やさないと、バラエティで喋ることはできないなと思って。もともとバラエティ番組は好きなんですけど、それから関西ローカルのバラエティ番組をより意識して見て「こういうときにこういうガヤを入れればいいんや」ってメモするようになりました。


ーー芸人魂がすごい……参考にしている関西のローカル番組とは?


倉岡:『今ちゃんの「実は…」』(朝日放送テレビ)です。若手の方がロケに行って、それに対して小藪(千豊)さんらがツッコんでいくんですけど、特に面白くはないくだりでも、ツッコミだけで面白くなったりする場面も多くて。その“一歩先”みたいなツッコミに憧れるんです。


ーー『計算中』は、都(倉岡がCVを務める河野都)の「バラエティに対する葛藤」も見どころの一つですよね。


宮瀬:「常識クイーン決定戦!」でも、正解したのに「なんで当たってしまったんや」って泣くんですよ。そのプロ根性がすごいなって。


海乃:ほんとにストイック。


武田:私はちょっと逆で、語彙力がなくても、間とかテンションでいくらでも表現できるってある日気づいたんですよね。そのぶん楽しもうって気持ちになってからすごく楽になったというか。苦しいことも楽しいって思えばなんか楽しい、みたいな。


倉岡:天才や……。


■アニメが最終目標ではなく、これから先へ広げていきたい


ーー『ナナニジフェス 2019』で披露した新曲が今回の表題曲となるわけですが、受け取った時はどのような感想を抱きましたか?


海乃:すごく寄り添ってくれる曲だなって思いました。誰しも思っている感情、いま、悩んでいる人たちに「そういう時ってこうしたらいいんじゃない?」と勇気付けてくれる曲だと思います。


天城:「何もしてあげられない」を初めて聞いた時は〈何もしてあげられなくて〉とか〈愛なんて面倒だった〉などの歌詞がすごくパワーワードで辛い曲なのかなって思ってたんです。でも、振り付けもとても力強くて、落ちサビでも〈置いていけない〉という前向きな歌詞も入っているので、時が経つにつれて、辛い曲というよりかは、その集団の中で感じる孤独の辛さや、大切な人に対しても何もしてあげられない辛さを振り払い、気持ちを強く持って誰かのために動こうとしている強い曲なんだなって思います。


倉岡:タイトルを先に知ったので、私も暗めの曲なのかなって思ったんですけど、主人公が大切にしている人に対していろんな感情があって、ここまで悩めるのは繊細で強い子なんだろうなと感じました。歌詞で最後に〈誰かの悲しみを置いていけない〉って場所が「自分のなかでも結論出てるんやん!」って思えて好きなんです。この曲はここで終わりなんですけど、優しくて思いやりのある主人公は、きっと助けてあげられたんじゃないかと思わせられる締めですね。


花川:最初にこの曲を聴いた時、「この感情今までの人生のどこかで感じたことあるな」と思いました。なので個人的にはどこか懐かしい印象を受けました。表題曲の振り入れはカップリング曲と比べて練習する時間が多く、これまでは8人でその時間を過ごしていたのですが、今回は11人全員がいることで練習時の雰囲気が明るく優しくなったように思いました。


宮瀬:私は初めて聴いたとき、もどかしさや葛藤が歌詞に現れている気がして苦しい気持ちになりました。表現しがいのある曲というか、感情も入りやすくて気持ちも乗ってくるので、それを踏まえて初披露できればと思って『ナナニジフェス 2019』まで練習しました。


武田:ナナニジの曲って、共感できるものが多いんですよ。人に対して「何もしてあげられない」気持ちは誰しもあって、そうやって悩んでる時は明るい曲を聴いて元気を出すのも良いけど、同じ気持ちを歌ってくれた曲のほうが安心するじゃないですか。だから、聴いてくださる皆さんにも「ひとりじゃないんだ」って思ってもらえたら嬉しいです。私自身もキャラがもらえないときに「自分がいる意味ってなんなんだ」と悩まされたりもしたので、その時の自分にも聴いてほしい曲です。


ーーカップリングは4曲収録されています。


武田:「Rain of lies」は、序盤こそ暗い曲なのに、サビに行くと疾走感のある爽やかな曲になっていて。歌詞だけじゃなくて曲調でストーリーを表している感じが聴いていて面白いんです。最後の〈雨も気にならなくなってきた〉からのラストサビに入る瞬間の開ける感じとか、曲調を意識して聴いてほしいですね。


天城:(「Rain of lies」は)本当に振り入れがあってから印象がガラッと変わってより一層大好きになった曲です。一見悲しい曲に聞こえるんですが、サビは満面の笑みで踊りながらメンバー同士楽しみながらアイコンタクトを取って楽しく踊ったり、最後には降っていた雨がやんだのを表すかのような振りも取り入れているので、好きな人に裏切られながらも前向きに生きて最後には立ち直れるというハッピーエンドがある感じが好きです。


宮瀬:「とんぼの気持ち」って題名を聴いたときは「『とんぼの気持ち』ってどういうことなんだろう」って思ったんですけど、実際に聴いてみたらすごく良い歌で。一番衝撃的なのは、ラストサビの〈僕は一匹のとんぼより もっと ちっぽけな存在なんだ/本当に軽い命〉で。ズドーンって落ちて終わるんです。でも、こういう自分に目標や自信がない人って、世界をみても少なくないと思うんですよね。だから、そういう人が落ち込んでるときに聴いて心を動かされたらいいなって思います。


倉岡:「ロマンスの積み木」は曲調が昭和歌謡っぽくて、男女の熱いロマンスを歌っているんですけど、熱いようで繊細な探り合いがあるみたいな感じで。振りも昭和のアイドル感あるものが多くて楽しいんです。経験したことがないものになりきる感じがして、すごく不思議な気分でした。なんというか、FunnyじゃなくてInterestingみたいな。


花川:私は「君はMoon」がお気に入りです。大好きな高辻麗ちゃんと一緒に歌う時間、一緒にに踊れる時間がいっぱいあるからです。これから何回この曲を披露できるか分かりませんが、できればたくさん披露していきたいです。


海乃:ナナニジのなかでも幸せな方向性の曲ですね。〈君はMoon 僕はEarth〉って現実からかけ離れているかと思えば、〈僕はサラリーマンだ〉って親近感の湧くフレーズがあったりするんです。「夢は宇宙飛行士だったのに、結果的にはサラリーマンになったけど、こんなに幸せなんだ」と感じさせられたり、こんなに人を愛していることをスケールの大きな比喩で表すってすごく素敵だなと思いました。


ーー2020年1月にアニメが放送されることも決定しました。改めて22/7として今後どのようになっていきたいですか?


花川:ずっと前から決まっていたアニメ化がついに2020年1月から始まるということで、みんなでアニメに向かって全力で頑張りたいのはもちろんなのですが、TVアニメが最終目標ではなく、これから先へと広がっていけるように頑張っていきたいと思います


海乃:アニメ化されることが嬉しいんですけど、アニメになったことによってできることとして、『アニサマ』(『Animelo Summer Live』)には出たいですね。自分たちの目標の一つでもあるので。


武田:22/7になる前、アイドルを始める前の風景みたいなものが知りたいなと思ったので、その辺りが描かれると嬉しいです。


ーー確かに、ポスタービジュアルではそれに近い言葉がありますからね。


宮瀬:「アイドルになんかなりたくなかった」という言葉はいろんなことを考えさせられますよね。アニメでより深掘りされるのを楽しみにしつつ、アフレコを頑張りたいです。


倉岡:アニメの放送も決定して、注目してくださっている人が増えてるのは嬉しいですね。近いところだと、9月20日にアニバーサリーライブがあるので、まずはアニメ化のニュースで興味を持ってくれた方が、しっかりファンになってくれるように精一杯パフォーマンスします!


天城:1月のTVアニメは22/7にとって大きなターニングポイントになるものだと思っています。声優アイドルグループとして認められるにはきちんとアニメでの演技を声優として頑張りながら、アイドルとしてパフォーマンスを極めることが大切だと思うので、どちらも中途半端にならないように、各方面から22/7が応援されるようなグループになれればいいなと強く思います。(取材・文=中村拓海)


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