安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い! 参院選密約の代償、それでも「ウィンウィン」の強弁を垂れ流すマスコミ

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2019年08月27日 17:30  リテラ

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リテラ

首相官邸Twitterより

 やっぱりトランプ様の言いなりか──。25日、G7サミットがおこなわれていたフランス・ビアリッツで安倍首相はトランプ大統領と会談し、日米貿易交渉で大枠合意。合意内容は公表されていないが、日本側が牛肉や豚肉の関税を環太平洋経済連携協定(TPP)の水準まで引き下げられることになりそうだという。



 この結果について、共同記者会見で安倍首相は「ウィンウィンで進んでいることをうれしく思う。両国にとって間違いなく大きなプラスになる」などと述べたが、そんな馬鹿な話があるか。というのも、日本は牛肉や豚肉などの関税をTPPの水準で引き下げる一方、アメリカ側に求めていた自動車の関税撤廃は見送られてしまったからだ。一体、これのどこが「ウィンウィン」だと言うのか。



 しかも、今回の会談では、アメリカで余っている飼料用トウモロコシを日本が数百億円規模で購入することが決定。本サイトでもいち早く伝えたように、これは米中貿易摩擦によって中国国有企業がアメリカからの農産物輸入を一時停止しているためで、トランプ大統領は中国の穴埋めをさせるべく、安倍首相にトウモロコシを押し売りしたのだ。



 現に、トランプ大統領は会談後、予定になかった記者発表を急遽、日本側に要請。そこでトランプ大統領は得意気にこう語った。



「中国がやると言ったことをやらなかったから、国中でトウモロコシが余っている。代わりに日本の安倍総理が、すべてのトウモロコシを買うことになった」



 余ったトウモロコシはすべて安倍が買い上げてくれる──。今回のG7サミットでは、イギリスのジョンソン首相やEUのトゥスク大統領がアメリカの貿易政策を批判するなどトランプ大統領の孤立が浮き彫りになったが、そんななかで安倍首相は来年の大統領選を控えたトランプ大統領のパフォーマンスのために国際的に反発が強まる米中貿易摩擦の尻拭い役を引き受けたのである。こんな恥さらしがあるだろうか。



 そして、これが外交の失敗であることは安倍首相も理解しているはずだ。事実、「ウィンウィン」と言いながら、トランプ大統領が「余ったトウモロコシを安倍がすべて買う」と宣言しているあいだ、安倍首相は落ち着きのない様子で目をキョロキョロさせるばかり。その上、自分に発言のバトンが回ってくると日米貿易交渉についての話だけをし、トランプ大統領はすかさず「トウモロコシについても発言を」と催促。安倍首相は、まずいと思ったのか、「買うのは民間、政府ではない」とやんわり訂正した。



 政府が買わずとも、買い上げ企業に補助金や税制優遇などをつけるのは目に見えているのに、この言い草。挙げ句、安倍首相のこの発言のあと、トランプ大統領には「日本では民間が政府の言うことをきくらしい。アメリカと違って」と言われる始末で、完全に“トランプの犬”であることが丸出しとなったのだ。



 来日時にはゴルフに異例の特別扱いをした相撲観戦など海外メディアにも嗤われた過剰接待を繰り広げた上、自動車関税の撤廃も押しきれず、数百億円規模の余ったトウモロコシまで押し付けられるという、日本に何の「ウィン」もないこの交渉結果……。こうした国益を引き渡すような結果になったのは、言うまでもなく、参院選後まで貿易交渉の妥結を引き延ばしてもらったためだ。



●安倍首相は参院選のために交渉妥結を引き伸ばし密約



 実際、4月におこなわれた首脳会談では、トランプ大統領は記者団がいる前で貿易交渉の合意時期について「かなり早く進められると思う。たぶん(5月末に)訪日するまでか、訪日の際に日本でサインするかもしれない」と答えたが、記者団が退室すると、安倍首相は 「7月の参院選があるから、それまでは無理だ。2020年秋の大統領選のことはきちんと考えている」と説明(読売新聞4月28日付)。そして5月末の来日時、トランプ大統領は安倍首相とのゴルフ後に〈日本の7月の選挙が終われば大きな数字が出てくる〉とTwitterに投稿、さらに首脳会談後にも「8月に良い発表ができると思う」と語った。



 つまり、参院選前に貿易交渉を妥結すれば日本国内の農業関係者から猛反発を受け、安倍自民党が地方票を大幅に失いかねないために、安倍首相は選挙が終わった「7月以降」に応じると約束したのである。しかも、来日後の6月にトランプ大統領は「日本は先日、『米国の農家から大量の農産物を買う』と言った」と宣言しており、来日時にはトウモロコシの巨額購入が約束されていた可能性さえある。ともかく、安倍首相が自分の選挙のために密約を交わした結果、国益が売り渡されてしまったのだ。



 しかし、驚くべきはメディアの報道だ。こうして国民を欺いた事実があきらかになったというのに、今回の日米首脳会談の結果について、農産物の関税が「TPP水準内で合意」したと強調するばかりだからだ。



 言っておくが、「TPP水準内で合意」というのは当たり前の話で、日本が要求していた自動車関税の撤廃が見送られたことは完全に日本の交渉の敗北を意味する。にもかかわらず、その点は深掘りせず、菅義偉官房長官の「極めて有意義」などという発言を垂れ流すだけ。菅官房長官は自動車関税についてアメリカに押し切られたのではないかという質問に「米国に押し切られたとの指摘はまったくあたらない」といつもの根拠ゼロの台詞を吐いたが、その詭弁を批判する様子も見られない。



●安倍首相の“トウモロコシ爆買い”を批判しないメディア



 しかも、問題は“余ったトウモロコシ爆買い”だ。日本政府はこのトウモロコシ爆買いについて、〈国内のトウモロコシは一部で害虫被害が確認され、飼料用の供給に懸念が出ている。このため、米国産を3カ月分、前倒しで輸入することになった〉(朝日新聞デジタル26日付)ともっともらしく説明しているが、今朝の東京新聞によると〈食害はごく一部で発生が確認されているだけ〉で、農水省も「現時点では通常の営農活動に支障はない」(植物防疫課)と回答している。だというのに、テレビの報道ではこの“余ったトウモロコシ爆買い”問題にほとんど突っ込んでいない。



 ようするに、メディアは安倍首相の「ウィンウィン」発言に押されるだけで、国益があっさり売り渡されたことへの批判もせず、一方で韓国バッシングに精を出している。この状況にもっとも満足しているのは、安倍首相だ。なにせ、メディアの連日の韓国叩きのおかげで内閣支持率はアップ。その上、外交の大失敗に批判が上がることもない。つまり、韓国叩きでもって、国益のトランプへの売り渡しという失敗を紛らわせることに成功しているのである。



 その上、注意しなければならないのは、日米貿易交渉はその協定内容がまだ公表されていない、ということだ。今後、トランプ大統領が日本に揺さぶりをかける可能性もゼロではないし、さらに〈TPPの発動基準数量を見直さないまま日米協定が発効すると、低関税で輸入される牛肉の総量が発動基準数量を超えても、オーストラリアなどにはSG(セーフガード=緊急輸入制限措置)が発動されず、国内にTPP以上の影響が出る恐れがある〉(日本農業新聞27日付)という。



 国民を平気で裏切る総理と、大本営発表を垂れ流して隣国叩きで数字を稼ぐだけのメディア──。国益がトランプに売り渡されても、この国は当然の批判もせず、黙ってそれを粛々と受け入れるつもりなのだろうか。

(編集部)


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