「記録」と「記憶」を残したヤクルト・村上宗隆、19歳の夏

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2019年09月03日 11:10  ベースボールキング

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◆ 中西太に並ぶ「86」打点

 19歳が激動の夏を駆け抜けた――。熊本の九州学院高からプロ入りし、高卒2年目で大ブレイクを果たしたヤクルトの村上宗隆だ。

 燕の期待の星は昨季、9月16日の広島戦(神宮)でプロ初打席・初本塁打の衝撃デビューを飾った。その前日の取材で村上は「チームに貢献するには、やはり打点を挙げることだと思う」と語り、今季はここまで86打点を挙げ、高卒2年目以内では1953年に中西太(西鉄)が記録した最多記録に並んでいる。

 さらに、この86打点目は、清原和博(西武)が持っていた10代最多本塁打記録(1986年)に並ぶ31号ソロ。先輩たちの偉大な記録を次々と塗り替えていった。果たして、村上はどこまで打点を稼ぐことができるのか。

▼ 高卒2年目以内の打点上位
※2リーグ制以降
86打点:中西 太(西鉄)1953年/2年目
86打点:村上宗隆(ヤクルト)2019年/2年目
83打点:清原和博(西武)1987年/2年目
78打点:清原和博(西武)1986年/1年目
71打点:王 貞治(巨人)1960年/2年目

 プロ通算244本塁打を放った中西氏は、1953年に本塁打(36本)と打点(86打点)の2冠王に輝いた強打者。さらにこの年は打率.314、盗塁36個を記録してプロ野球初のトリプルスリーも達成している。


◆ 高卒2年目以内の最多本塁打も射程内

 輝かしい記録を打ち立ててきた中西氏は「今の若い選手は体も大きく進化している。記録は抜かれて当たり前。ぜひ抜いてもらいたい」と村上にエールを送る。

 19歳の村上は現在、リーグ2位の打点数(86打点)を誇るが、もし打点王のタイトルを獲得すれば、2リーグ制以降では20歳で打点王を獲得した中西氏を超え「史上最年少の打点王」の座を手にすることになる。

 さらに、高卒2年目以内の最多本塁打記録(36本)の更新も射程内だ。本塁打上位は以下の通り。

▼ 高卒2年目以内の本塁打上位
※2リーグ制以降
36本:中西 太(西鉄)1953年/2年目
31本:清原和博(西武)1986年/1年目
31本:村上宗隆(ヤクルト)2019年/2年目
29本:清原和博(西武)1987年/2年目
27本:豊田泰光(西鉄)1953年/1年目
20本:松井秀喜(巨人)1994年/2年目

 打点と同じく中西氏が歴代トップ。残り18試合で村上が何本のアーチを描けるかにも注目だ。


◆ チームの勝利とファンの記憶に残る一発

 ヤクルトの小川淳司監督は、開幕当初から村上に対し「球団としても非常に期待度の高い選手」と、その実力を高く評価してスタメンで起用し続けた。現在の打順は6番だが、一時はチームの4番も務めたほどだ。

 さらに「彼のホームランは本当に効果的なホームランが多い」と指揮官が認めるように、8月は価値ある一発でチームの勝利に貢献している。

 8月12日のDeNA戦(神宮)では9回にDeNAの山崎から25号逆転サヨナラ2ランを放ち、これがプロ野球史上最年少のサヨナラ弾(19歳6カ月)という偉業を達成。また、同17日の中日戦(神宮)ではプロ初となる1試合2ホーマー(27号・28号)の活躍も見せた。

 8月は11本塁打を放ち、アーチを量産し続けた村上。9月3日からは神宮での6連戦に臨む。本拠地での熱い声援を受け、新記録樹立の可能性は高まるばかりだ。

 「怪童」と呼ばれた中西氏の記録を抜き、“令和の怪童”が文字通り、新時代の主役に立つときがやってきた。


取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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