グランツーリスモ・ワールドツアー2連勝を飾ったイゴール・フラガ。しかしその走りは議論を呼ぶ【大串信の私的レポート】

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2019年09月03日 12:11  AUTOSPORT web

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ワールドツアー優勝を果たしたイゴール・フラガ
FIAグランツーリスモ選手権ワールドツアー第3戦が8月24日から25日、アメリカのニューヨークで開催され、ネイションズカップでワールドチャンピオンであるイゴール・フラガ(ブラジル)が、前回のワールドツアー第2戦ニュルブルクリンクに続き優勝を遂げた。しかし今回の勝利は議論を呼ぶことになった。

 ベストドライバーを決定するネイションズカップのグランドファイナルには予選を勝ち抜いた12名の選手が進出した。

 フラガをはじめ、前回も最後までフラガとバトルを繰り広げたコディ・ニコラ・ラトコフスキー(オーストラリア)、成長著しいコッキー・ロペス(スペイン)、やはりシリーズの第一人者であり予選でポールポジションを獲得したミカエル・ヒザル(ドイツ)、そして注目の新鋭、日本の宮園拓真らがスターティンググリッド上位に並んだ。舞台はスパ・フランコルシャン・サーキットである。

 20周のレースが始まると、ソフトタイヤを選んで2番手からスタートしたフラガが一気にトップに立ち、ヒザル、ラトコフスキーを引き離し始めた。一方5番手からスタートした宮園は1周でハードタイヤからミディアムタイヤへ交換、変則的な3ストップ作戦で終盤の追い上げに賭けた。

 ソフト、ミディアム、ハードと3スペックのタイヤと燃費を考えた各選手の戦略が交錯するなか、宮園の作戦は的中しレース終盤上位陣に迫って優勝争いに加わろうとした。

 ところが最後のピットストップを終えて、新しいソフトタイヤを装着し5番手からいよいよトップ争いに加わろうとしたとき、前方を走っていたラトコフスキーが単独スピン、それに巻き込まれる形でコースオフ、宮園の望みは絶たれてしまった。

 レース終盤、ピットストップを遅らせたロペスがトップを走っていたが、実質上の優勝争いはフラガと追い上げるヒザルの一騎打ちとなった。

 16周目から17周目、フラガは燃料残量が少ないヒザルの状況を考え、ケメルストレートとオールージュ立ち上がりで故意にペースを落としヒザルを前に出しドラッグを増やして燃料を使わせると、コーナーで再び前に出るという老獪とも言える戦略を2度にわたって繰り出した。

■フラガの走りに納得のいかないヒザル。表彰台でも憮然とした表情

 この結果、ヒザルは燃料不足に陥ってフラガに突き放され、フラガは第2戦ニュルブルクリンクに続き、ワールドツアーのネイションズカップで2連覇を飾ることになった。

 2位には憮然とした表情のヒザル、3位には進境著しいロペスが入賞した。コースオフ後に再度追い上げを見せた宮園は惜しくもロペスに届かず4位に終わったが、ドライバー・オブ・ザ・デーを受賞した。

 2連覇したフラガの勢いは止まらない。しかし今回彼が行った“故意にスロットルを抜く”という行為は物議を醸した。

 レースコントロールはスポーツマンシップに反する危険行為と判断、フラガに5秒のペナルティを科している(フラガとヒザルの差が5秒以上のためレース結果は変わらず)が、一方ではリアルレースに比較し燃料消費やドラッグのパラメータが重く設定されているグランツーリスモならではのテクニックではないかとする声もあった。この件については今後も議論が続くことになりそうだ。

 フラガ自身、こうした議論を呼んでしまったことについては困惑しつつニューヨークを離れたが、その翌週、イモラ・サーキットで開催されたリアルレースのF3リージョナルヨーロッパ選手権で前大会レッドブルリンクに続く優勝を遂げ、そのキャリアをリアル、バーチャル両方の世界で積み重ねつつある。

 2019年のFIAグランツーリスモ選手権オンラインシリーズは大詰めを迎えている。次のワールドツアーは9月13〜14日にオーストリア・ザルツブルグのレッドブル・ハンガー7で開催される。

このニュースに関するつぶやき

  • イゴール・フラガ氏に勝つ方法。それは、1026bhpの180SXで対抗する。ただ、ハンドリングがねぇ…。
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