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「その国で最もポピュラーな決済手段を取り入れる」 Squareの決済戦略を聞く

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2019年09月04日 06:12  ITmedia Mobile

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写真NFC Type A/BとFeliCaに対応したクレジットカード読取機「Square Reader」新モデル
NFC Type A/BとFeliCaに対応したクレジットカード読取機「Square Reader」新モデル

 消費税増税に向けたキャッシュレス施策が追い込み段階に入ってきた。政府が実施するキャッシュレス・消費者還元事業は、店舗側が利用する決済事業者が事業に対応している必要がある。今からキャッシュレス決済に対応する場合、こうした決済事業者を選択する方がいいだろう。



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 店頭でのキャッシュレス決済サービスの中でも、mPOS(モバイルPOS)は決済手数料や初期費用が比較的安いというメリットがあり、中小規模の店舗が導入するのに適している。mPOS提供事業者の中でも古参ともいえるのがSquareだ。



 Squareで事業者向けサービス担当責任者を務めるアリッサ・ヘンリー氏の来日に合わせ、同社の戦略と日本市場への取り組みについて話を聞いた。



●世界に先駆けてFeliCa対応リーダーを提供



 米国で生まれたSquareは、日本やオーストラリア、カナダ、英国の5カ国でサービスを展開。現在は店頭での対面決済だけでなく、POSレジや売り上げ分析、従業員や顧客管理など決済以外のソフトウェアの拡充にも力を入れる。2018年はEコマースプラットフォームのWeeblyを買収し、今の時代に店舗経営者が必要とするツールを一通りカバーしていることが特徴だ。



【更新:2019年9月4日16時57分 Squareの特徴について、一部、表現を修正いたしました】



 Squareは、スマートフォンに直結するクレジットカードリーダーによる店頭向けのモバイル決済を実現していた。当初は磁気スワイプのみの対応だけだったが、現在はICチップを使ったEMVにも対応したリーダーを提供している。



 ヘンリー氏は、Squareのポリシーとして「その国で最もポピュラーな決済手段に適用できるような商品を構築すること」を挙げる。日本だとFeliCaへの対応がそれに当たる。時間はかかったものの、最新版のリーダーはFeliCaチップを内蔵しており、「ソフトウェアと認証を待っている状況」(ヘンリー氏)だという。



 既に国内向けに提供されているリーダーは、最新モデルであれば、今後のソフトウェアアップデートでFeliCa対応の電子マネーが使えるようになるため、世界に先駆けてFeliCa対応リーダーを提供したそうだ。Squareのリーダーは世界中で同じデバイスを使っているため、グローバルにも新型リーダーが提供されれば、自動的にFeliCa対応になるという。もちろん、決済自体はハードウェアだけでは行えないため、海外でFeliCa決済が使えるようになるというわけではないが、いち早く日本市場に投入したのは、日本市場に注力する姿勢の現れだ。



 Squareはキャッシュレス・消費者還元事業の対象にもなっている他、「日本では正式な領収書を出せることが重要」(ヘンリー氏)なのでそれに対応するなど、日本市場特有の状況へのサポートも着実に行っている。そうした結果、海外発のサービスではあるが「日本市場でも成長している」とヘンリー氏は言う。



●日本でもキャッシュレスへの理解が進む



 日本市場は消費税増税、そして東京五輪を前にして、キャッシュレス推進の「好機が来ている」とヘンリー氏。こうした状況下で「キャッシュレスの利便性に対する理解が深まっている」という。



 例えば栃木県益子町の陶器市で同社が行ったキャッシュレス化のユースケースでは、194店がSquareを利用した。カード決済額は全体で2000万円を突破し、期間中、平均15件のカード決済があり、最多の決済金額は3000円だったという。



【訂正:2019年9月4日16時57分 初出時、カード決済を「平均8件」としていましたが、正しくは「平均15件」でした。また「最高金額は3000円」としていましたが、正しくは「最多の決済金額は3000円でした。上記内容を訂正いたしました】



 出店していた窯元の中には当初は懐疑的な人もいたそうだが、想像以上に売り上げが伸びたので驚いたという人もいたそうだ。クレジットカードが使えることで販売金額が増え、売り上げ全体が上がったという窯元もあったという。



 グローバルで共通したニーズもあるが、どの国でも業態によってニーズが異なる。レストラン、美容室、小売といった具合に、それぞれ求められる機能は異なり、各業態で共通した要望がある。そこは、mPOSの特性を生かし、業種業態に応じて設定できるようにソフトウェアで対応できるようにしているそうだ。個別対応もサポートしているという。



 その結果、「ソフトウェアはユーザーから高い評価を得ている」とヘンリー氏。シンプルな使い勝手で直感的に使えることを重視。他のPOSレジから移行してもトレーニング時間は短くて済み、新人も短時間で使い方をマスターできるという。これはコスト削減にもつながる点だ。



●分析機能が高い評価を得る



 店舗の経営層からは、分析機能に対して高い評価を得ているという。日々の売り上げデータを即時確認できるのがmPOSのメリットだが、「分析機能を使うことで、販売データの細かいところまで分かり、洞察が得られる」とヘンリー氏は強調する。



 この洞察からは、例えば働く人の人数の適正化や営業時間の検討、売れ筋といったデータが一目で分かり、しかもリアルタイムに確認できる。グローバルでもmPOSは拡大しており、簡単、安い、早いといった点が人気の理由だという。「キャッシュレジスターで1日を締めるより多くのことが分かる」とヘンリー氏はメリットを話す。



 とはいえ、日本ではまだキャッシュレス化が遅れている。ヘンリー氏は、グローバルでキャッシュレス化が進んでいる、と指摘。その流れは日本でも同様で、いずれ対応を迫られるようになるというのが同氏の認識だ。



 キャッシュレス化が進むとATMの利用者が減り、設置台数が減り、いざ現金が必要なときにATMが周囲にない、という状況になりかねない。現金しか扱っていない店舗で周囲にATMがないと、現金を持ち歩かない人の足が遠のく可能性が高まる。こうした状況は「一度弾みがついて転がり始めると、加速がつく」(ヘンリー氏)。



 ヘンリー氏も指摘する通り、そうした事態に対応するための時期として、現在は絶好の機会。キャッシュレス対応に対する政府からの補助金があるため、店舗の負担を抑えてキャッシュレス対応が可能になる。キャッシュレス還元事業と合わせて、まずは導入に向けた検討が推奨される。



 Squareもキャッシュレス還元事業の対象になっているため、クレジットカード、電子マネーをメインに対応したい店舗は検討の対象となるだろう。



●QRコード決済は現時点では「主流ではない」との考え



 一方、日本ではQRコード決済が大きな話題となっているが、Squareは現時点で非対応だ。これに対してヘンリー氏は、「Squareの基本的なスタンスは、主流の決済フォーマットに対応すること」と話す。QRコード決済は事業者も加盟店も利用者も増えてきているが、そのメインは中国のインバウンドで主流ではない、というのがヘンリー氏の認識だ。



 それに比べて電子マネーはニーズが高く、Squareとしてはこうした点に注力するべく取り組んでいるという。QRコード決済への需要が今後十分高まった場合は対応していく考えだ。もっとも、QRコード決済は公式アプリでの読み取りは手数料無料で、mPOS経由での支払いを受け付けると、別途手数料が発生するサービスもある。こうした場合、クレジットカードや電子マネーはSquareで、QRコード決済はそれぞれのアプリで支払いを受け付ける、といった使い分けも考えられる。



 現時点で、クレジットカード、電子マネー利用者に対してQRコード利用者の方が少ないため、こうした対応でも大きな問題にはならない。逆に言えば、問題になるほどQRコード決済が主流になったら、Squareとしても対応を余儀なくされる、ということだ。



 グローバルでサービスを提供することによって多くの事業者のニーズを吸い上げ、サービスに反映することができるSquareだが、日本を含めた各国固有の事情も考慮してサービスを構築している。ヘンリー氏も「決済は各国で事情が異なる」と指摘しており、日本だけでなく豪州やカナダなどでも独自対応を実施しているそうだ。



 グローバルでありながらローカルに特化する。そうしたSquareの姿勢は、決済サービスにおいて重要なポイントといえる。


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