YouTubeが香港デモの印象操作した210チャンネルを閉鎖、背後に中国政府の存在?

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2019年09月04日 07:21  リアルサウンド

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リアルサウンド

 Googleは8月22日、容疑者引き渡しを可能とする逃亡犯条例改正をめぐり香港で進行中の抗議行動について、印象操作の目的でビデオが投稿されたYouTubeの210チャンネルを閉鎖したと発表した(参考:https://www.blog.google/outreach-initiatives/public-policy/maintaining-integrity-our-platforms/)。


(参考:中国政府がファーウェイ援護に本腰 Microsoft、Dell、Samsungを呼び出し警告


 これらのチャンネルは、報道機関や独立した組織のアカウントを装っていたが、実際には中国政府とのつながりがあったとされる。これは、TwitterとFacebookが香港の民主主義運動のデモ隊を弱体化させることを目的とするコンテンツを投稿していた、無数のアカウントの閉鎖を発表した3日後のことだ。


・TwitterとFacebookも同様に多数アカウント閉鎖
 中国中央政府は、多くのSNSプラットフォームの使用を禁止しているが、自分たちは秘密裏に、巧みに活用していたようだ。


 先述の記事で、Googleセキュリティチームのシェーン・ハントリー氏は「VPNやその他の方法を使用して、投稿元を偽装し、調整された印象操作に関与しているアカウントを発見しました」と記している。


 中国の外交部報道局の耿爽(こう・そう)副局長は、YouTubeチャンネルについて尋ねられると、詳細を「認識していない」とし「香港の同胞を含む14億人の中国人の最大の主張は、暴力を止め、混乱を終わらせ、秩序を回復すること。14億人の意志を統率したり操作したりすることは不可能であり、それを阻止することもできません」と続けた。


 Twitterは8月19日「香港での抗議運動の正当性と政治的地位を疑問視するといった、政治的不和を意図的に拡散させる目的の中国発の900以上のアカウントを特定し削除した」と発表した。Twitterは、調査結果をFacebookと共有しているという。


 『CNN』は「香港ではデモ隊が、どんどん大規模になり、大きな政治的危機に直面している」と報じている。(参考:https://edition.cnn.com/2019/08/22/tech/youtube-china-hong-kong/index.html)


 『Independent』は、Twitterのアカウント閉鎖の発表に対して「重大な国家支援によるプラットフォーム上の情報操作」と報じた(参考:https://www.independent.co.uk/life-style/gadgets-and-tech/news/hong-kong-protests-youtube-channels-google-videos-china-disinformation-beijing-a9075626.html)


 中国共産党の機関紙『China Daily』がTwitterに投稿したツイートには、デモ隊について「狂気の沙汰」と説明。その結果、Twitterは国営メディアや関連組織からの広告を禁止すると発表した。


・緊迫した状況に国際社会が中国けん制
 警察当局は、抗議参加者を約10万人としているが、デモ隊側は、約50万人と主張している。このところ、大規模なデモ隊は、過去の抗議活動中の警察の残虐行為の疑いを調査し、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の辞任を要求するようになっている。


 英国統治を経て1997年に返還となり「一国二制度」の原則が適用され、50年間の高度な自治が認められているはずの香港だが、香港政府は、親中国派になるような制度になっており、必ずしも民意は反映されない。そして近年の中国中央政権の強大化に伴い、じわりじわりと中国化へ向けた圧力を強めている。


 中国中央政府が、香港への管理を強化しようとする流れの中で、抗議者たちは、より広範な民主主義を要求し、香港国際空港を占拠するなど、勢いが増している。中国は、戦車や海上からの砲撃等で群衆を鎮圧する軍事演習の映像を公開し、香港市民を威嚇。また、香港との境界のすぐ反対側の広東省深センに大規模な武装警察部隊を配備し、その人員は19万人とも言われ、緊張が高まっている。


 中国共産党が自国民に武力行使し、民主化運動を封じ込めた1989年の天安門事件が脳裏をよぎるこの状況を、国際社会は注視。米国は暴力行使を自制するように中国をけん制しているが、果たしてこれらSNSプラットフォームなども舞台となった騒動は、どのような形で沈静化するのだろうか。


(Nagata Tombo)


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  • 津田大介さん、これこそ「表現の不自由」ですよ。出番ですよ!
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