高嶋ちさ子、「オンナにはみんなウラがある」の主張――「性別」で性格を決める不可思議

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2019年09月06日 00:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

高嶋ちさ子公式サイトより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「オンナはみんなウラがある」高嶋ちさ子
『ザワつく! 一茂 良純 時々ちさ子の会』(テレビ朝日系、8月30日)

 人柄もしくは性格を決定づけるのは、行動とされている。例えば、人に対して親切に接する人は「優しい」とみなされる……そう信じている人は多いだろうが、それは本当だろうか。

 今年の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)に美容家・IKKOが出演し、「人生を変えた人」を紹介していた。横浜・元町の美容院で厳しい修行を積んだIKKO。その美容院のオーナーに、美容師としての技術はもちろん、礼儀作法も徹底的に仕込まれた。主婦と生活社が運営するニュースサイト「週刊女性PRIME」によると、IKKOはタレントとして活動を始めた頃から、テレビ出演の際に、共演者全員に直筆の手紙とちょっとしたプレゼント(ただし、自分の開発した商品以外)を欠かさないそうだ。

 礼儀を重んじる良識は、横浜の修業時代に培われたのかもしれない。ネットには「IKKOさん、いい人」という意見が多く見受けられた。

 もちろん、それに異論はないが、それではもしIKKOがヘアメイクとして頭角を現していない頃に、周囲に感謝の手紙やプレゼントを渡したらどうだろう。「いい人」と言ってもらえるだろうか?

 恐らく、否だろう。そんなことよりも、本業であるヘアメイクの上達に時間をかけるべきだという意見が出てくるはずだ。人柄や性格といった「内面」は、肩書、社会的地位などの「外面」と無関係であるかのように思われるが、実は連動していると言えるのではないか。本業(仕事)で成果を出しているからこそ、「人間ができている」「いい人だ」と言われるのだと思う。

 このように、「内面は外面と連動する」が私の性格持論だが、バラエティー番組は時々、「性別」や「見た目」で性格を決めてしまう。8月30日放送の『ザワつく! 一茂 良純 時々ちさ子の会』(テレビ朝日系)では、ロンドンで連携してスリを働く外国人美女3人組の動画を紹介していた。同番組進行のサバンナ・高橋茂雄は、MCの高嶋ちさ子に「やはり、美人はウラがあるんですか?」と質問を投げかける。

 人にウラがあることと、犯罪を働くのは次元の違う話だし、美人がみんな犯罪者であるわけはないので、かなり極端な質問と言えるが、毒舌売りをしている高嶋に話をフるのは「美人」もしくは「ウラのあるオンナ」をぶった斬ってほしいというパスだろう。高嶋は「オンナはみんなウラがある」とし、その根拠として「今年になってオンナに3人だまされている」「弱いところを見せて、人に何かしてもらって、それを踏み台にしていく」と述べた。

 詳細は語らなかったが、かわいそうだと思って助けてあげたら、感謝されるどころか利用されたというところだろうか。

 近づいてきた人が仕事関係の人なのか、それともプライベートで付き合いのある人かはわからないものの、今やバラエティー番組でひっぱりだことなった高嶋。お金も地位もある。たくらみを持って近づいてくる人がいても不思議ではない。

 ここで疑問に思うのが、「オンナにはみんなウラがある」の“みんな”に高嶋自身は含まれているのかということである。

 2017年放送の『しゃべくり007』(日本テレビ系)で、高嶋が夫とのなれそめについて、こんな話をしていたことがある。

 高嶋と夫は合コンで知り合ったが、夫には交際している女性がいた。夫にその女性と結婚するつもりがあるのか尋ねると「ない」と答えたので、「結婚する気がないのに、引っ張るのはかわいそうだから、別れろ」「クリスマスまでに別れろ」とたきつけ、夫は素直にそれに従ったそうだ。そして、高嶋はめでたく彼女となった。

 この方法、十分「ウラがある」と言っていいのではないだろうか。高嶋は夫の顔が大好きで、生まれて初めて自分から積極的にアプローチしたとも話していた。「ウラがある」と言われても、大勝負に出たい気持ちは、高嶋にも理解できるのではないだろうか。また、いくら高嶋に命令されたからと言って、それまで付き合っていた彼女をあっさり捨て、美人ヴァイオリニストとして名高い高嶋に乗り換えた夫だって、ウラがないとは言い切れないだろう。

 つまり、「オンナはみんなウラがある」のでもなく、オトコもオンナもみんなウラがあるのだ。

「〇〇にはウラがある」と言う場合、「〇〇」の中に美人という単語を入れたくなる人もいるだろう。「美人には相手にされないかもしれない」とか「美人は高飛車」という恐れに由来する決めつけだと思われるが、ウラがあることと、外見に因果関係はない。美人だろうがブスだろうが、自分にとって大事なもの、人に渡したくないもの、死守したいものを前にしたとき、法律とその人の常識の範囲内で他人を出し抜くかどうかは個人の問題ではないだろうか。それに、社会人にもなって、ウラがなかったら、求められる仕事を全うできると私には思えない。

 文化人枠からテレビの世界にやって来て、売れっ子になった高嶋。本業であるヴァイオリンのコンサートも満員御礼続きだそうだ。しかし、「好事魔多し」という諺もある。ウラのない人なんていないのだから、本当にシャレにならないだまされ方をしないように、お気をつけいただきたいものである。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

このニュースに関するつぶやき

  • 男女共にウラはあるが、同性同士と異性では行動も受け取り方も違うからなぁ…。
    • イイネ!2
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