安室奈美恵、ちゃんみな、崎山つばさ……DA PUMPメンバーが手掛けた振付の特徴

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2019年09月06日 10:51  リアルサウンド

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 ここの夏、映画『劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer』の主題歌に起用された「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル〜」のコミカルさが話題を呼び、台湾の『超犀利趴10 (スーパースリッパ)』をはじめ各地フェスをも賑わせたDA PUMP。彼らはダンス&ボーカルグループとして各メンバーが高いスキルを持つことでも知られているが、その凄さの1つが社会現象ともなった「U.S.A.」の“いいねダンス”など、印象に残る振付をグループ内でクリエイトできることでもある。本稿では、振付師としても長いキャリアを持つKENZOを中心に、彼らの振付師としての魅力について考察したい。


(参考:DA PUMP、堂本剛=ENDRECHERIらの音楽支えるキーボーディスト Gakushiの存在感) 


■DA PUMP「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル〜 Short version」
 アイドルグループ・さくらシンデレラの新曲「ハロウィンモンスター」(9月25日リリース)を手掛けるTOMO、10〜11月にNHK『みんなのうた』でオンエアされるDA PUMPの新曲「バケバケNight!」を手掛けるKIMI、10月5日スタートのアニメ『魔入りました!入間くん』(NHK Eテレ)のオープニングテーマに決定しているやはりDA PUMPの新曲「Magical Babyrinth」を手がけるDAICHIなど、DA PUMPメンバーはそれぞれ振付師としての顔も持っている。


 中でも振付ユニット・ON TOP LINEの一員としても活躍するKENZOは、安室奈美恵、TRF、韓国のMYNAME、同じ事務所の後輩で育成にも携わってきたフェアリーズなど、多彩なアーティストの楽曲振付を手掛けており、その数は100曲以上に上る。最近では「U.S.A」「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル〜」を共作したTOMOとのコンビで人気2.5次元俳優・崎山つばさの「ダンシング☆サムライ」「太陽系デスコ-崎山つばさver.-」といった作品も手掛け、MV公開後は誰でも真似できるキャッチーな振付がSNSで話題をさらった。


■崎山つばさ「太陽系デスコ-崎山つばさver.-」
 またDA PUMPは現在のダンスシーン人気を牽引する存在ということもあり、KENZO&TOMOのコンビで、来場者のアバターがステージで踊る超新感覚エンターテイメント『NO BORDER』(@COOL JAPAN OSAKA SSホール)のパフォーマンス振付を、KENZOが“会って話せるイケメンARダンスボーカルグループ”ARPの新曲「Burn it up」の振付を手掛けるなど、最新テクノロジーとコラボしつつ新たな作品を生み出しているのも特徴的だ。


■ARP「Burn it up」
 KENZOのこれまでの作品を見ていくと、ストリート色を強調した安室奈美恵「Damage」(2012年)や、まるでダンスショーのようなスケール感のTRF「PUSH YOUR BACK」(2013年)、キュートな中にもシンクロ感が光るフェアリーズ「Super Hero」(2014年)、セクシーなレゲエフレイバーのちゃんみな「CHOCOLATE」(2017年)、スタイリッシュな雰囲気のARP「Burn it up」など、振付に本人のルーツであるロックダンスなどオールドスクール系の動きが多めに盛り込まれているわけではなく、その引き出しが多種多様であることがわかる。どちらかといえば振付の中で、アーティストの魅力や持てるスキルを丁寧に引き出している印象だ。


■安室奈美恵、ちゃんみな
 振付仕事に関するインタビューの中でKENZOは「僕はバレエからストリートまでダンスはオールジャンル素晴らしいものだと思っています。だから、ダンサーとしての自分のスタイルとはまったく違う振り付けも創作できるんです。今のユーザーは振り付けに両極端なものを求めていますよね。歌って踊れるアーティストなら突き抜けた超絶テクを驚きと絶賛を交えながら見たい。キャッチーな振り付けなら自分でも踊ってみたい、という。その両方に応えられるのが、振付師としての自分の強みだと思っています」(参照:ORICON NEWS)と語っている。以前に事務所の仲間でもあるw-inds.の千葉涼平が「日本でKENZOみたいに器用なダンサーはそれほど多くないと思います」(参照:千葉涼平(w-inds.)×KENZO(DA PUMP)特別対談「ダンスの魅力に触れやすい時代に」)と評していたが、振付におけるセンスはダンサー、インストラクターとして国内外で重ねてきたキャリアがなせるバランス感覚の賜物といえる。


 現在は、国内だけでも数多くのダンス&ボーカルグループが活躍しており、メンバー自らが楽曲の振付を行うケースは決して珍しくない。そのメリットとしてはグループの各メンバーのスキルや得意分野に合わせたパート分けや、歌やラップの有無などライブパフォーマンス時を想定して見せ方をアレンジすることができるということだ。KENZOをはじめとするDA PUMPのメンバーの場合は国内外でキャリアを積んだダンサーであり、インストラクターとしても実績があることに加え、自ら現役アーティストとして活動しているからこそ、振付師としても外部のアーティストに求められているものを的確に表現できる=振付における主観性と客観性を両立している、という点が最大の強みといえるだろう。


 前述のように、この9〜10月だけでもメンバーが振付にかかわった作品が複数リリース&公開されるほか、10月19日からは全国ツアー『LIVE DA PUMP TOUR 2019』もスタートさせるDA PUMP。その振付の妙にも注目しつつ、彼らが繰り出すエンターテインメントを楽しみたい。(古知屋ジュン)


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