小宮有紗、澁谷梓希、徳井青空……相次ぐ“声優DJ”登場の背景 アニクラシーンの現状に迫る

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2019年09月07日 08:01  リアルサウンド

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 アニソンクラブイベント(以下:アニクラ)といえば、2010年以降に大きく普及したパーティジャンルのひとつ。もともとは、アニメ/ゲーム作品を愛好するDJたちが集う場であったのだが、ここ最近では、実際にそれらの作品に出演するような、“声優DJ”の登場が目立つようになってきた。


(参考:『デレステ』『ごちうさ』『ナナシス』……クラブで大音量で聴きたくなるアニメ/声優ソング) 


 その一例が、8月23日にDJデビューを発表した小宮有紗だ。小宮は、『ラブライブ!サンシャイン!!』の黒澤ダイヤ役などを務める女性声優。今回のDJデビューに伴い、10月2日にノンストップミックスCDを発売し、同月5日には、Zepp DiverCity(TOKYO)で開催されるアニソンクラブイベント『Anime Rave Festival』にて初ステージを飾る。小宮をはじめ、なぜ近年の声優たちは歌やダンスのみならず、DJにまで活動の幅を広げるに至ったのだろうか。本稿では、同じく『Anime Rave Festival』出演者の徳井青空や澁谷梓希らを紹介しながら、その理由を考えてみたい。


  徳井青空は、自身が天真爛漫な中学生・マヤ役を担当するアニメ『ご注文はうさぎですか?』(通称:ごちうさ)に専任する形で、“DJ兎猛者”という名義で活動。2018年1月開催の『ご注文はDJ Nightですか??』にてDJデビューした際には、同アニメの楽曲を手掛けるPandaBoYや、クラブ業界きっての『ごちうさ』ファンである矢向直大など、錚々たるDJ/VJ陣にも負けないパワフルなプレイを披露した。


 そんな徳井のDJで特に人気なのが、彼女演じるマヤも加わる中学生トリオ“チマメ隊”の楽曲だ。楽曲自体が良作なのはもちろん、その作品のキャスト本人がDJブースに立つという力強い文脈に、ファンも大きな喜びを抱くのだろう。今回の『Anime Rave Festival』にはMCとして参加するそうだが、これまでの出演作品も豊富なだけに、自身主催イベント『みらくる青空ナイト』などでのDJプレイも見てみたくなる。


 また澁谷梓希は、“DJずっ from i☆Ris”の名義で全国のクラブイベントに相次いで出演。澁谷のプレイスタイルは、彼女の愛好する多種多様なアニソンに、EDMのサブジャンルであるダブステップやハードコアを織り交ぜるもの。ここには、澁谷を目的に来場したファンにも、新たな音楽と出会う楽しさを知ってほしいという想いがあるのかもしれない。もちろん、自身の所属する声優とアイドル活動を両立するユニット・i☆Ris楽曲はフロアアンセムであり、彼女が振り付けなどを披露してくれるのも嬉しいものだ。余談だが、チップチューンを得意とするトラックメイカー・TORIENAと親しい間柄にあるなど、その交友関係にも本職DJに近しい印象を覚える。


 声優DJが続々と登場する理由ーーそれは、1時間弱のショーケースの中で、自身の出演アニメから個人的な愛好作品まで、様々な年代やジャンルを“横断”してパフォーマンスを展開できる楽しさがあるからだろう。また、キャスト本人でありDJとして、自身の出演作の楽曲を流すと同時に、生歌やダンスの振りを披露するといった数多くの手札から、その場に最適な選択肢を選べるという強みがあることも、声優DJが誕生した背景にあるのだと思われる。声優のDJ活動は歌やダンスと並び、幅広いスケールを備えた新たな表現の形なのだ。


 さらに近似ジャンルとして、声優による音楽制作(DTM)分野も開拓されている。「MIDI検定1級」を所持する小岩井ことりや、ダンスミュージック志向のハード/ソフトウェア「Maschine」を所持する山下まみ、Jack Westwood名義で音楽活動をする武内駿輔など、その顔ぶれは様々。なかでも武内は、インターネットレーベル<TREKKIE TRAX>のMasayoshi Iimoriらを交え、楽曲制作を楽しむ様子がSNSにアップされていたりと、“声優DTM”界隈の動きも楽しみにさせられる。


 最後に、アニクラシーン全体にも視野を広げてみたい。今年8月、DJバー・秋葉原MOGRAが10周年を迎え、「株式会社モグラ」として法人化することを発表。海外に向けてアニソン文化を布教する秋葉原MOGRAの独立は、多くのリスナーにとって一大トピックといえる。また、声優DJの話題に遡れば、同店にてレギュラーイベント『ANISON MATRIX!! -アニソンマトリクス』を主催するchefobaが、中村繪里子にDJレクチャーをしていたことも(参考:NAKAMURA IN THE HOUSE!!)。秋葉原MOGRAなくして、現在のような光景は拝めなかっただろう(参考:『ごちうさ』DJイベントにみる、“アニクラ”文化の歴史と発展)。


 小宮有紗をはじめとする声優DJの登場や、秋葉原MOGRAの法人化といったように、数多くの吉報が飛び交う現在のアニソンクラブシーン。今後もさらなる速度で、文化的成熟の時期へと突き進むことだろう。(一条皓太)


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  • この人は文化放送の超A&G+を知らないらしい。
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