『ノーサイド・ゲーム』新たな敵の出現で最終回に突入 選手たちを支える“食”にも注目!

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2019年09月09日 06:01  リアルサウンド

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『ノーサイド・ゲーム』(c)TBS

 9月8日に放送された『ノーサイド・ゲーム』第9話では、カザマ商事買収をめぐり君嶋(大泉洋)と常務・滝川(上川隆也)が直接対決した。


参考:阿部純子が頼りにする、『ノーサイド・ゲーム』主演・大泉洋の背中 「勇気をいただいています」


 カザマ商事の販売するバンカーオイルがタンカー座礁の原因となった事実を隠ぺいするため、社長の風間(中村芝翫)は、青野(濱津隆之)を使って帝国工科大学教授の森下(辻萬長)に調査データを偽装させていたのだ。真相が明かされたことで買収は保留となり、滝川は退任した。


 因縁の相手である滝川に一矢報いた君嶋だったが、新たなる“天敵”がアストロズの前に立ちはだかる。常務に就任した脇坂(石川禅)が、チーム予算の半減をもくろんでいたのだ。経営の視点から理詰めで不備を突く滝川に対して、「ラグビーはバカげた遊び」と断じる脇坂は、最初から結論ありきで有無を言わせない。また、再会した滝川の話から、脇坂だけが知っている事実が明らかになる。「君の試合はまだ終わっていない。負けるな」と、昨日までの敵にエールを送る滝川の言葉は感動的だった。


 信頼していた元上司である脇坂の豹変ぶりに戸惑う君嶋を救ったのは、アストロズだった。シーズンが開幕しても浮かない表情の君嶋を案じて「ラグビー部に何かあるなら、それはオレらの問題です」と話しかける浜畑(廣瀬俊朗)や、「どんな環境でも全力でやるのがオレたちのラグビー」と言い切る岸和田(高橋光臣)たち。また、大けがを負った過去を乗り越えるために懸命に練習に励む七尾(眞栄田郷敦)。そんな選手たちの姿に鼓舞されて、君嶋は脇坂に立ち向かうことを決心する。


 かつてサラリーマンとして、失地回復のためにアストロズと歩むことを選んだ君嶋だったが、アストロズを守ることを何よりも第一に考えるようになってきた。君嶋の心境の変化は、アストロズのGMという立場上当然のようでもあるが、上司の命令に従うのがサラリーマンの処世術としては無難ではある。仮想敵であった滝川が表舞台を去り、身内の脇坂が最大の脅威としてクローズアップされたことで君嶋が直面したジレンマ。それは、君嶋にとっては、ラグビーへの愛情が本物であるかを試される場面であり、アストロズとの絆が真価を発揮する場面でもあった。


 ところで、社会人ラグビーを舞台にした『ノーサイド・ゲーム』だが、ラグビーと言えば「食」である。当たり負けしない身体をつくるための食事とトレーニングは、ラガーマンにとって必須であり、劇中でも居酒屋「多むら」でのアストロズ全員参加の豪快な打ち上げシーンが登場する。今作のスピンオフ企画として配信中の『大泉洋さん私の勝負メシどうでしょう?』(GYAO!)では、主演の大泉洋が出演者をゲストに迎えて“勝負メシ”を紹介。芸能生活50年以上の大御所・西郷輝彦から、宝塚時代には人前で食事したことがないという凰稀かなめまで、日曜劇場を彩るキャストたちが、ここ一番で食べる貴重な一食を披露している。


 全体的な傾向として、出演者の勝負メシは肉成分が高く、俳優=アスリートであることを再認識させられる。また「どうでしょう」とタイトルに掲げるだけあって、ドラマ本編ではシリアスな演技に注力する大泉洋のマルチな魅力をたっぷりと味わうことができる。最新回では、上川隆也をゲストに迎え、さながら君嶋と滝川の場外バトルの様相を呈しており、栄養だけでなく、熱量の高い演技に不足しがちな笑い成分を補って余りある。


 サイクロンズとの優勝を賭けた最終話を前に、緊迫感の高まるチームそしてトキワ自動車社内だが、視聴者としても勝負メシを食べて君嶋たちの行く末を見届けたい。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。


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