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自動運転が明るい兆し? 新型スカイラインに乗って考えた日産の未来

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2019年09月10日 11:32  マイナビニュース

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●飛行機屋が生み出したクルマと技術革新の歴史
クルマの「電動化」と「知能化」を技術の2本柱に据える日産自動車は今後、どんなクルマを作ろうとしているのか。その一端を垣間見ることができるのが、先日発売となった新型「スカイライン」だ。将来の自動運転社会を見据え、日産はあえて、このクルマにハンズオフ機能を搭載した。

○最新技術を取り入れ続けてきた「スカイライン」

「スカイライン」という4ドアセダンは、プリンス自動車工業が生み出したクルマだ。

プリンス自動車は第二次世界大戦後の1947年に立川飛行機出身の技術者らが設立した。当初は「東京電気自動車」という社名で、その後は「たま電気自動車」「富士精密工業」を経てプリンス自動車に落ち着く。技術に凝ったクルマづくりを特徴としたが経営はうまくいかず、1966年に日産自動車に吸収合併された。合併に伴い、スカイラインも「日産スカイライン」と呼ばれるようになった。

そもそも、飛行機を開発してきた技術者たちが生み出したプリンス時代のスカイラインは、車体にもサスペンションにも先端の技術を使い、ガソリンエンジンはトヨタ自動車や日産を上回る馬力を誇った。1964年、鈴鹿サーキット(三重県)で開催された第2回日本グランプリでは、2代目スカイラインが一瞬、ドイツのポルシェ「904」を追い越したが、その場面は高い技術の証として伝説になっている。

技術のプリンスが生み出したスカイラインは、日産車となった1966年以降もプリンス時代の偉業を引き継ぐクルマであり続けた。1969年には初代「GT-R」が誕生。その高性能なエンジンには、レーシングカーの技術を活用していた。

日本車にターボエンジンが登場するのは、1979年の日産「セドリック/グロリア」からである。スカイラインも同技術を取り入れた。「スカイラインRSターボ」というクルマでは、ターボチャージャーによって過給された空気の密度を高めるインタークーラーを追加で装着し、さらに馬力を高めた。

スカイラインは日産にとって、その時々の先進技術を取り入れてきた象徴的なクルマだ。エンジン以外に、例えばHICAS(ハイキャス:High Capacity Actively-controlled Suspension)と呼ばれる後輪操舵技術を初めて搭載したのも、1985年のスカイラインであった。

そして現行スカイラインは、「ステアリング・バイ・ワイヤー」という技術を世界で初めて搭載している。この技術は、ハンドルと前輪を軸でつなげるのではなく、ハンドル操作を信号化し、前輪を電気制御で動かす仕組みだ。ハンドルを切ると、その動きは電線を通じて前輪に伝わる。コンピュータ制御された操舵角が、前輪側のモーターによってタイヤを方向づけるのである。

このバイ・ワイヤーという技術は、今日、多くのクルマでアクセルにもブレーキにも使われている。ここでいうワイヤーとは、ピアノ線のような鋼線ではなく、信号を送る電線を意味する。そして、このステアリング・バイ・ワイヤーは、新型スカイラインが搭載する「プロパイロット 2.0」という運転支援技術にも大いに役立っているのである。

●ハンズオフ機能を支える走行技術の高さ
プロパイロット 2.0は、「セレナ」や「リーフ」などの日産車が搭載する従来の運転支援技術「プロパイロット」の次世代型だ。既存のプロパイロットに3D高精度地図データ、360度の周囲センシング、インテリジェントインターフェースなどの技術を追加したものである。ナビで目的地を入れて高速道路に乗ると、ハンズオフ状態での自動走行および前車追従が可能となる。

プロパイロット 2.0では、ゼンリンおよびダイナミックマップ基盤(DMP)から3D高精度地図データの提供を受けることで、クルマ自体が走行車線のどこを走行しているかを正確に把握することができるようになった。これにより、高速道路上の同一車線内における車線維持機能は、より的確になる。

もちろん、周囲360度のセンシングを行うカメラ、レーダー、センサーの機能も高性能化している。しかし、進路を先読みするという点では、精密な地図情報を使っているという点が重要になる。

ドライバーは、眼からの情報をもとに先読みしながら運転することで、より安全で安定した走行を実現している。プロパイロット 2.0を搭載する新型スカイラインは、目の前で起きていることをカメラやレーダーなどで確認しているだけでなく、その先の見通せない進路がどうなっているかについて、地図と照らし合わせながら事前に認識しているのだ。
○ハンズオフでも安心の新型「スカイライン」

新型スカイラインに試乗してみて最も驚かされたのは、ほかのクルマの運転支援技術と比べ、いい意味で、安心感が全く違うことである。

プロパイロット 2.0は、運転者が走行の全責任を負う「レベル2」の運転支援機能ではあるけれども、ハンドルから手を放した状態で走行している間の挙動は、まさに自動運転そのものだ。そして、将来的な「レベル4」以上の自動運転は、きっとこのように実現されるのだろうという未来をうかがわせてくれる点が新しい。よそ見をしていても構わないという「レベル3」の自動運転ではないものの、走行技術の高さにおいて、プロパイロット 2.0は群を抜いている。

日産はなぜ、ハンズオフ機能をいち早く商品化したのだろうか。それは、同社が見据える未来のクルマの姿が具体的であるからだろう。

●電動化でも自動化でも先んじる日産の心意気
○電気自動車と自動運転は相性抜群

日産は環境対応を図るべく、電気自動車(EV)の市販を他社に先駆けて行った会社だ。そして、EVの累計販売台数で世界一を誇る。

自動運転への取り組みについても、2013年に開催した媒体向けのイベント「ニッサン360」において、世界に先駆けて宣言した。その際には、EVの初代「リーフ」をベースとする試験車を用いて、歩行者の飛び出しという危険な状況でさえ、完全自動で避けて走ることができるということを証明すべく、模擬走行を公開していた。

実は、EVと自動運転は非常に相性がいい。なぜなら、エンジンよりもモーターの方が、100倍近く速く制御を行うことができるからだ。緊急事態に素早く対応する際、重要となるのは制御のスピードだ。新型スカイラインにはガソリンエンジン車とハイブリッド車(HV)があるが、HVのみがプロパイロット 2.0を搭載しているのは、モーター走行部分があるためである。

具体的な未来像を描き、その目標へ向け着実に技術を開発してきた日産。その結果、プロパイロット 2.0の実用化にこぎつけ、今回の市販に至った。日産の最新技術は、今回もスカイラインから導入されたわけである。

○存在感を増した「スカイライン」

現行スカイラインは2014年にフルモデルチェンジした13代目である。驚くべきことに、今回のマイナーチェンジまで、現行スカイラインは「インフィニティ」のバッジを付けていた。インフィニティは日産が海外で展開する高級車ブランドで、位置づけとしてはトヨタにとってのレクサスに近い。

もともと、スカイラインは国内専用車だった。これを海外で販売するため、2001年からインフィニティ系列の販売店で取り扱いが始まった。国内では、あくまでも「日産スカイライン」だったわけだが、現行型からバッジだけはインフィニティとしていたのである。その理由は、いまだに不明だ。バッジが変わった影響もあったのだろう。スカイラインの販売台数は近年、月販200台レベルにまで落ち込んでいた。

今回の新型スカイラインは、フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジを受けたクルマなので、世代としては13代目のままだ。ただ、このタイミングでバッジを「NISSAN」に戻した。クルマの顔つきを見ると、グリル開口部は「R35 GT-R」を思い起こさせるデザインとなっている。そこには、ほかの日産車と同じく「Vモーション」という造形が用いられている。

改めてスカイラインの全体像を眺めてみると、ほかのどの自動車メーカーの4ドアセダンとも異なる輪郭で、独特の雰囲気を漂わせている。やや丸みがあり、抑揚を強めた造形は堂々としていて、格好いいといえるだろう。メルセデス・ベンツやBMW、あるいはアウディなどと並べても、存在感に遜色はない。それに、国内専用車であるトヨタの「クラウン」や「マークX」とも違う風合いを持っている。日本を代表するグローバルな4ドアセダンとして、スカイラインの存在意義は大きいと再確認した次第だ。

しかし、フルモデルチェンジから5年を経ているので、乗り心地や上質感といった点では、競合の輸入車やトヨタ車と比べ、熟成が進んでいない印象はぬぐい切れない。室内の雰囲気も、見た目にこそ上級車種の趣はあるものの、ナビゲーション画面の寸法は小さいし、コネクティビティを重視する昨今のクルマに比べると、前時代的だ。

それでも、世界初の技術となるプロパイロット 2.0の搭載により、世界最先端の上級4ドアセダンとして、スカイラインの存在が従来よりも重みを増したのは事実だろう。また、プロパイロット 2.0を搭載するHVは、V型6気筒のガソリンエンジン車と比べて静粛性に優れていて、より上質な乗り味を伝えてきた。

クルマ本来の部分で進化を期待したい部分は残る。ただ、このタイミングで、プロパイロット 2.0を搭載したスカイラインをあえて選ぶことは、1つの意味ある選択ではないかと思った。実際、発売からの1カ月半で受注台数は約1,760台に達している。この数字は、月間販売計画の約9倍だ。このうち、プロパイロット搭載車は48%に及ぶ。

○著者情報:御堀直嗣(ミホリ・ナオツグ)
1955年東京都出身。玉川大学工学部機械工学科を卒業後、「FL500」「FJ1600」などのレース参戦を経て、モータージャーナリストに。自動車の技術面から社会との関わりまで、幅広く執筆している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副代表を務める。著書に「スバル デザイン」「マツダスカイアクティブエンジンの開発」など。(御堀直嗣)

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  • 「ステアリング・バイ・ワイヤー」という技術を世界で初めて搭載している←つまりトヨタ以上にステアリングへのロードインフォメーションが希薄な車であると?物理的に“繋がらない”物がドライビングの楽しさを伝えられる?
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