《鹿児島女児虐待死》娘を刺青男に丸投げした母親の「ネグレクト認定」素顔

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2019年09月11日 05:00  週刊女性PRIME

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日渡容疑者の肩から腕、背中、大腿部には和彫りの刺青が彫られている

「最初は今年の2月でした。スポーツクラブの駐車場で、“ママ、ママ”と泣いている声がしたので、スタッフが行ってみると女の子がいました。上半身は薄手のシャツと肌着だけ。下半身にはオムツ。すっかり身体も冷えていました。迷子かな、とも思いましたが親は一体、何をしているんだって、みんな憤っていましたよ」(同クラブのスタッフ)

 鹿児島県薩摩川内市のスポーツクラブでその日、保護された女の子の名は、璃愛來(りあら)ちゃんといった。

17歳で出産、母親はまだ21歳

 前出・スタッフは、

「名前が印象的だったので覚えていました。ニュースで璃愛来ちゃんと聞いたときは、もしかしたらと震えました」

 と表情を曇らせる。

 8月28日、鹿児島県出水市のアパートで大塚璃愛來ちゃんが暴行を受け死亡した事件。暴行容疑で逮捕されたのは、母親の交際相手の建設作業員、日渡駿容疑者だった。死因は溺死で、身体には殴られたとみられる痕が数か所あったという。

 取り調べに対し、「風呂に入れていて目を離したすきに溺れた。殴ったのはしつけだった」と供述しているが、古くからの友人は、「意外ときっちりしているし、しつけには厳しいんじゃないかな」と供述を裏づける。その一方で、こうも証言する。

あいつはやっていないってみんな話してます。だって駿は璃愛來ちゃんのことを可愛がっていました。

 刺青もあって見た目は怖いけど、子どもや動物には手を出さない。フレンドリーだし男くさくて、情に厚いタイプ。先輩の子どもとおもちゃで遊んだり、ゲームセンターに行ったこともありました」

 しかし、別の知人は明かす。

「あいつは特にお金にうるさい。闇金まがいのこともしていたようだ。後輩に“明日〇〇円持ってこい”と脅したり、駿のおごりだと思ったら後から“返せ”とお金をせびられたやつもいた。自分の思いどおりにならなくて後輩に手を上げるなど強引な面もあり、そういうところが嫌で駿から離れたやつも少なくない」

 璃愛來ちゃんを可愛がる反面、気に入らないことがあると手を上げていたのだろうか。

 日渡容疑者と母親は、今年春ごろに交際をスタート。17歳で璃愛來ちゃんを出産した母親はまだ21歳。遊びたい年ごろで付き合い始めたばかりの恋人とは蜜月期。関心は娘よりも恋人である日渡容疑者に向いていたのだろうか。

 璃愛來ちゃんが保護されたり、虐待を疑う通報があったのもこのころからだった。

 冒頭のスタッフは、違和感を覚えることがあった、と振り返る。

「今年2月にもう1回、雨の日に裸足で、璃愛來ちゃんが駐車場で“ママ”と泣いていたんです」

 肌着の上に薄いワンピース、パンツははいていなかった。璃愛來ちゃんは3月にも同じ駐車場で保護されている。

 特別、やせている感じはなかったというが、クラブの関係者たちはネグレクト(育児放棄)を疑っていた。

「3回とも迎えに来た母親に心配する様子はまったくなく、“ありがとう”も“すみません”もありませんでした」(前出・クラブのスタッフ)

 本当に子どもを可愛がっているのか、心配しているのか疑いをもたれても致し方ない母親の態度。

4月までに4度の保護

 同クラブの看護師は3度目に璃愛來ちゃんを保護した際、身体のチェックをしたという。

「アザなどはなく、健康な状態だったのでホッとしました。1時間ほどしてお母さんが迎えに来ました。ドアのところから“璃愛來!”と声をかけると、璃愛來ちゃんはニコっと笑ってから椅子から立ち上がってお母さんに駆け寄ってハグをしたんです」

 でも、と看護師はその際の母親の表情を忘れていない。

「お母さんの表情は無表情でした。茶髪で今どきの若い子って感じで、“ひとりにするのは危ない、1度目じゃないよね”と言うと、“ハイ”とうなだれて、“すみませんでした”と小声で言いました」

 母親の、ネグレクトを思わせる無責任な子育てを、周囲は見逃さなかった。

 前出のスポーツクラブだけでなく3月末に夜、ひとりで出歩く璃愛來ちゃんを近所の人が発見、薩摩川内署が保護した。同署は4月までの間に4度保護。県はネグレクトの虐待認定をしていた。

 通報を恐れたのか、同時期に早朝、同クラブの駐車場に車を止め、運転席に母親、後部座席で璃愛來ちゃんが眠るのを前出・クラブの看護師は目撃していた。さらに母親の外見の変化も記憶していた。

「髪が金髪になって以前よりも派手な雰囲気になっていました。5月にはお母さんが大きなビニール袋に洋服を詰めて車と自宅を往復しているのを見ましたよ。娘さんは後ろをついてちょこちょこ歩いてました。お引っ越しかな、と思いました」(前出・看護師)

 母親は6月12日から18日にかけて、「引っ越しの準備のため」と同市のショートステイに璃愛來ちゃんを預けている。本当に引っ越しの準備をしていたのかは定かではない。

 7月前後には事件現場になった出水市の2DKのアパートで、3人で暮らして始めた。

 容疑者が仲間と頻繁に来ていたというバーのスタッフは、「璃愛來ちゃんの母親と交際するようになってあいつは変わった」と話す。というのも、

「今年になってから、月に1回来るかどうか。来ても友達を送って来るだけだったり、飲んでいても早く帰っていました。理由を聞くと“夜、女が仕事行っているから子どもの面倒を俺が見てるんだ”って言っていましたし、彼女と子どもと3人で買い物に行ったという話はよく聞きました。意外と子煩悩であいつは璃愛來ちゃんの父親になろうと必死だったんだと思います」

 母親は日渡容疑者の子どもを妊娠中で、出産予定は12月。結婚も考えていたという。

 璃愛來ちゃんの新しいパパとなるはずだった日渡容疑者との同棲生活は逆に虐待をエスカレートさせていったのか。

 璃愛來ちゃんの誕生日の7月22日、「テーブルで頭をぶつけて嘔吐した」と病院を受診。おかしいと思った病院は、8月1日に市に情報提供した。

 前出・日渡容疑者の知人も、母親に対し、こんな疑念を抱く。

「8月ごろ母親がSNSに、璃愛來ちゃんのことをつねっている動画を投稿していました。けっこう強めにやっているなと伝わるものでした」

 虐待になるかもしれず、それをSNSにアップする心境も妙だ。

娘の面倒は容疑者に丸投げ

 同5日には「顔などに青アザがある」という情報が、別の病院からもたらされた。事件現場のアパート近くでは、「うるさい」や「だまれ」と怒鳴り散らす母親の声を、近所の住民が耳にしている。

 社会部記者は、

「以前住んでいた鹿児島市や薩摩川内市の自宅、現在の出水市の自宅近くでも、女性の怒鳴り声を聞いたという話がある。直接手は出していないかもしれないが、母親にも問題があったのではないかと思えますね」

 母親も虐待に加担していたのでは、と記者たちは母親の逮捕も推測していた。

 先月まで母親が勤めていた同市内の飲食店の関係者は、

「夜9時から3、4時間程度。多くても週に4回。娘は自分の母が見てくれていると話していた。でも妊娠もわかっており、8月には辞めました。この月はほとんどシフトには入っていなかった」

 事件が起きたとき、母親は「仕事」といって自宅にいなかった。母親は娘の面倒を容疑者に丸投げし、そのストレスは母親ではなく璃愛來ちゃんに向けられたのだろうか。

 本来、保護してくれる人に保護されない璃愛來ちゃんの命の針は、確実にレッドゾーンに触れつつあったのだ。

 虐待されている子どもに会えないケースが多い虐待事件。

 しかし、まったく面会できないというわけではなく、多少は母子の様子を把握することができた。日渡容疑者が暴行をふるう前日も、保健師と面談している。そのことが関係各所が危機意識を共有できなかったことにもつながっている。児相の所長が地元紙の取材に対し「親和性のある世帯で愛着関係を確認した」と答えているほどだ。

 児相に県警が伝えた「一時保護」の必要性も重視されなかった。病院から市にもたらされた「アザがある」という情報も児相や警察と共有されなかった。関係各所の温度差は最後まで埋まることなく、結果悲劇を招いてしまった。

 日渡容疑者の祖母は、璃愛來ちゃんと会ったことは「ありません!」と、ぴしゃり。祖父は「話すことはない」と口を閉じた。

 璃愛來ちゃんの葬儀では、憔悴する母親より誰よりも大声で泣いていたという日渡容疑者。

 新たな命が宿る母親の車のナンバープレートは璃愛來ちゃんの誕生日だった。

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