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「俺は命を張ってでも反対する」カジノ誘致と闘う覚悟を示した“横浜のドン”

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2019年09月15日 08:50  HARBOR BUSINESS Online

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写真横浜港運協会・藤木幸夫会長
横浜港運協会・藤木幸夫会長
◆「俺は命を張ってでも反対する」

 林文子・横浜市長がカジノ誘致を表明した翌8月23日、“横浜のドン”の異名を持つ藤木幸夫・横浜港運協会会長が記者会見を行った。カジノ推進の急先鋒の菅義偉官房長官(神奈川2区=横浜市西区・南区・港南区)を「安倍首相の腰巾着」と一刀両断、「俺は命を張ってでも反対する」「私はハードパワーと闘うつもりでいるよ」と、誘致阻止に向けて徹底抗戦することを宣言したのだ。

 89歳とは思えない迫力ある藤木氏の会見映像がテレビで流れると、カジノ反対が大多数(各種世論調査による)の横浜市民からは、「久しぶりに本当に感動した」といった声が相次いだ。

 8月31日の市内での講演「横浜港の未来に向けて」(主催・自由民権会議@神奈川)では、満員で会場に入れない人が続出。その講演の最後にも藤木氏は「(カジノ誘致阻止を)私は命がけで、一人でやります。死ぬ時は一人で死にます」「いつ死んでもいい覚悟。本当は嫌だけど、覚悟しないと何もできない!」と啖呵を切り、大きな拍手が会場に響き渡った。

◆安倍さんはトランプさんの“腰巾着”でしょう

 23日の記者会見で藤木氏は「顔に泥を塗られた。泥を塗ったのは林さんだけど、塗らせた人がいる」と切り出し、その背後にいる有利推進勢力を「ハードパワー」と称した。そこで、筆者は次のように聞いてみた。

――(そのハードパワーは)地元選出で“影の横浜市長”とも呼ばれている、林市長にも大きな影響力を持っている菅義偉官房長官とだというふうに聞こえたのですが。

藤木会長:それはあなたの自由。

――菅官房長官は秋田から出てきて、横浜が第二の故郷。若いときからよくご存知かと思います。横浜にお世話になった菅官房長官が、横浜を米国カジノ業者に売り渡すような行為を推進する側に回っている。このことについてどう思われますか。

藤木会長:いま菅さんという名前をあなたが言うから申し上げるけど、とても親しいですよ。いろいろなこと、昔から知っているし、彼もオレを大事にしてくれるし。ただ今、立場がね。(菅氏は)安倍さんの腰巾着でしょう。安倍さんはトランプさんの“腰巾着”でしょう。

 そこで、国家安全保障という大きな問題があるでしょう。日本の国は徴兵制がない。徴兵制がない国は世界でいちばん舐められている、国家の中で。この違いが(外国と日本の)国の中核の人たちの(違い)。今の安倍さんも菅さんも、トランプさんの鼻息をうかがって――。寂しいよ。寂しいけれども現実はそうでしょう。いずれにしても個人的な名前は省いて、いまハードパワーが横行している。

◆私は港湾人として、ハードパワーと闘う

「菅氏=ハードパワー」という断定は避けたものの、「菅官房長官は安倍首相の腰巾着。安倍首相はトランプ大統領の“腰巾着”」と指摘することで、米国に「NO!」と言えない安倍政権が横浜へのカジノ誘致を引き起こしたということを匂わせたのだ。

 菅氏官房長官は、藤木氏の盟友(“兄弟分”)である小此木彦三郎・元建設大臣の秘書を10年以上務めた。その後、横浜市議を経て、国会議員から官房長官にまで登り詰めた。藤木氏は菅氏の「後見人(育ての親)」に等しい存在で、両者は「師匠と弟子」のような関係を続けてきたともいえる。

 しかし今や菅氏は、藤木氏が命がけで阻止しようとするカジノ誘致を推進する側に回り、第二の故郷・横浜を米国カジノ業者に“献上”する役割を演じようとしているのだ。「寂しいよ」と漏らす藤木氏に、米国の鼻息をうかがってばかりの安倍政権についての質問を続けていたところ、冒頭の「徹底抗戦宣言」が飛び出したのだ。

――名前は省いて、構造的なところだけ教えていただきたいのですが。トランプ大統領は(米国カジノ業者の)「ラスベガス・サンズ」のアデルソン会長(※)から莫大な献金をもらっている。そのラスベガス・サンズが「横浜に進出する」と表明した。そういうアメリカの意向を受けて日本政府がなかなか反論できず、これを「ハードパワー」として推し進めているのではないか。こういう構図と理解していいのでしょうか。

藤木会長:「うん」と言ったら、オレが言ったことになってしまうからね。オレは命を張ってでも反対するから。自分でできるのはそれだけだ。後は、市民の皆さまがどうするかはまた一人一人違う。私は港湾人として、ハードパワーと闘うつもりでいるよ。

(※)筆者の過去記事では、トランプ大統領とアデルソン会長の関係をレポートしている。

◆「横浜に巨大ギャンブル施設はつくらせない」という思い

 藤木氏は、23日の講演でこう振り返った。

「カジノの問題が出始めた頃、私は官房長官の菅さんに電話しました。『議員会館の自分の部屋に20分、時間を作って来ていてくれ。俺が行くから』と言って2人きりで話して、カジノに対する私の態度表明をしました。

 私は『カジノ反対だよ。博打だから』と言った。私の友達が(博打で)おけらになったのがいっぱいいるから。だけれども最後に『(カジノを)やるならオレがやるよ』と言ったら、彼は『はい』と言いました。さらっとした会話で、意思の疎通をはかっておいた」

 当初は菅氏と同じカジノ誘致賛成派であったという。その理由についても語った。

「我々の足元に、依存症で苦しんでいる人がいっぱいいる。子供が苦しんでいる。私自身が社会福祉法人を(経営)している。だから、そういう人たちの生々しい話、お母さんがパチンコ屋に入り浸りで、お父さんは酒を飲んで何かあったら機嫌が悪くて引っぱたかれる。家にいられないから逃げて(施設で)暮らしている。そういう家庭の方が足元にあることを知らなかった」(藤木氏)

 依存症学会の会長を呼んで勉強会を開いた藤木氏は、「旦那が(ギャンブル)依存症でダメになり、自分自身も依存症になって惨めになる。こんなひどいものはないのだ」といった生々しい話を聞いていくうちに、「えらいものが横浜に来てしまうぞ」と思って、カジノ反対へと考えを変えたという。

 藤木氏は「気が変わるのは得意だけれども、これ(カジノ)だけは二度と(やると)言いませんから」と断言した。

 そして藤木氏は「カジノは『秒殺』、『秒で殺す』。楽しんでいる暇はないそうです。何億円というお金をかけても、一瞬・一秒でオケラになってしまう」とカジノの恐ろしさを伝える側に回った。

 集会の最後に藤木氏は、世界中の情報が集まっていることを参加者に明かした。「世界の反応をちゃんと取っています。この横浜の反対運動に、各国の関係者が拍手しています。私は毎日毎日、張り合いがある。皆さん、よろしくお願いします」

◆藤木氏の覚悟が、地元政治家や横浜市民を動かし始めている

 藤木氏の講演を聞いていた地元選出(神奈川8区)の江田憲次衆院議員は、直後の挨拶でこう切り出した。

「『死んでも阻止する』とテレビで報道されて、感動を呼んでいます。主婦の皆さんが見て『久しぶりに本当に感動した』という声が多く寄せられている。われわれ政治家も、それだけの覚悟を持ってやらないといけないと思いました」

 続いて江田氏は、カジノ阻止に向けた横浜市民との連携も呼び掛けた。

「これは普天間飛行場の辺野古移設と同じです。(安倍政権は)何を言っても強行してきます。『これをどうやって止めていくのか』という意味で今日、『あらゆる手段を駆使して阻止しよう』とい緊急アピールを出しました。

 そのあらゆる手段は皆さんがお決めになる。我々が出しゃばって決めることではありません。まさに横浜市民が決めていただく。幸い、あちらこちらで今日みたいな会議があり、声が上がっています。

 口先や空理空論ではない、本当に地に足をついて反対をされている藤木会長。(集会参加の)皆様もそうだと思います。とにかく我々の横浜の将来、我々の子や孫の将来を真剣に考えれば、『横浜カジノ誘致』という選択は絶対にありえないと思います。皆さんとともに頑張りたいと思います」(江田氏)

 藤木氏の訴えが、国会議員を触発しながら横浜市民の間に広がり、カジノ反対の気運が急速に盛り上がっている。林市長のカジノ誘致表明で「このままでは横浜にカジノができてしまう」と危機感を持った人々と、「ハードパワー」として推進しようとする安倍政権とのバトルが熱を帯びてきている。

<文・写真/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

このニュースに関するつぶやき

  • まず、日本にカジノは作らないって方向性は無いんだねぇ〜国営だから売り上げはすべて国都道府県市町村に入るんだからやりたいというのは判るけど…アホだと思うが…
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