9月1日に開幕した2019/2020年WEC世界耐久選手権は10月4〜6日、富士スピードウェイで第2戦を迎えるが、この際TOYOTA GAZOO RacingのトヨタTS050ハイブリッドは“サクセス・ハンディキャップ”によって、少なくとも1秒のスローダウンを余儀なくされる。
イギリスで行われた第1戦シルバーストン4時間レースで、7号車トヨタTS050ハイブリッドと8号車トヨタTS050ハイブリッドがワン・ツー・フィニッシュを飾った日本メーカーをはじめ、LMP1プライベーターのレベリオン・レーシングと、チームLNTもまた今季から導入された新たな性能調整を受けることになる。
このシステムは、コース1kmあたり+0.012秒とする係数とサーキットの全長、そしてクラス最下位の車両とのポイント差を掛けることによって、ラップあたりのハンディ量を決定するもの。開幕戦では車両タイプごとに設定されるEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)のみが適用されていたが、10月の富士ラウンドからは前戦までに獲得したポイントを基にこのサクセス・ハンディキャップが課される仕組みだ。
その富士でもっとも重い調整を受けるのはシルバーストンで優勝したマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス組7号車トヨタ。彼らは全長4.563kmのコースで計算上、ラップあたり1.4秒遅くなる。
また、前戦2位のセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー組8号車も1周の間に使用できるハイブリッドパワーの出力や燃料流量などが制限され、毎周1秒のディスアドバンテージを背負うことになるが、姉妹車と比べると9.5%分多くハイブリッドエネルギーが使用可能となっている。
LMP1プライベーター勢では、チームLNTが走らせ母国ラウンドで4位に入った5号車ジネッタG60-LT-P1・AERが毎周0.66秒のタイムを失う。このジネッタはクラス3番目に重いハンディを負うことになるが、それは前戦3位表彰台を獲得した3号車レベリオンR13・ギブソンが富士戦を欠場するためだ。
なお、5号車ジネッタの変更されたパラメーターのなかには最低重量の項目が含まれており、前戦の833kgから867kgへと調整がなされた。
総合10位/クラス4位で開幕戦を終えた1号車レベリオンR13・ギブソンはラップあたり0.03秒のプラスに。ランキング最下位でハンディキャップの基準車となる6号車ジネッタG60-LT-P1・AERはハンディゼロ。前戦と同じスピードが維持される。
■GTE Amクラスでも“サクセス・バラスト”が初適用へ
LMP1クラスのサクセス・ハンディキャップとともに、LM-GTE Amクラスでも今季から成功に基づいた性能調整が実施される。
このシステムは前戦および2戦前の優勝車に15kg、同2位は10kg、3位フィニッシャーには5kgのウエイトを課し、さらにランキングトップ3にも上位から15kg、10kg、5kgの重量増加をもたらすもの。すでにELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのGTEクラスで導入済みだ。
FIAの耐久委員会はこの従来のシステムをWECでも実行することを確認しているが今回、LM-GTE Amクラスではハンディを課す前に全車のミニマムウエイトを20kg減らし、その上でバラストを追加することとした。
第2戦富士では、開幕戦ウイナーとなったAFコルセのエマニュエル・コラール、フランソワ・ペロード、ニクラス・ニールセン組83号車フェラーリ488 GTE Evoが、前戦優勝分の15kgとランキングトップの15kgを合わせた計30kgのウエイト加算を受ける。
また、2位表彰台を獲得したアストンマーティン・レーシングの98号車アストンマーティン・バンテージAMRは20kg、クラス3位を得たMRレーシングの70号車フェラーリ488 GTE Evoも10kgのバラストを搭載して富士戦に臨むことが決定している。