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壮絶ないじめの記憶に今も苦しむ42歳女性 鴻上尚史が伝えた“今あなたに本当に必要なこと”とは?

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2019年09月17日 16:00  AERA dot.

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写真作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします(撮影/写真部・小山幸佑)
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします(撮影/写真部・小山幸佑)
 鴻上尚史の人生相談。小学4年〜中学2年に受けた壮絶ないじめの記憶に苦しむ42歳女性。自分の人生を踏みにじった男子たちへの憎悪に苦しむ相談者に、鴻上尚史が勧めた「楽になるための大切なステップ」とは?

【相談42】昔受けた壮絶ないじめが忘れられず、苦しいです(42歳 女性 やなな)

 昔受けたいじめが忘れられず、苦しいです。

 私は小学4年〜中学2年まで、それは壮絶ないじめを男子から受けていました。

「ただ気に入らない、ムカつくから」という理由だけで。他にも理由はあったのかも知れませんが、今となってはそれしか確かめようのない事実として残っているのでこう書きます。

 教科書は切られる、体操着は切られる、机の中に牛乳を入れられる、墨汁を入れられる、ゴミを入れられる、私の持ち物はゴミ箱に入れられる、給食の中にチョークの粉を入れられる、弁当を捨てられるなどはほぼ毎日のことで。

挙げ句の果ては強姦すんでのところまでいきましたよ。紙袋をかぶせられ、下着を下ろされて。(未遂で済みましたが)

 誰も助けてくれませんでした。親は、学校へ行かないなど何事かと私を恫喝し、泣いて嫌がる私を無理やり学校へ引きずっていき、兄はそれを知らん顔を決め込んで見て見ぬふりをしていました。

 誰もかれもが、私の敵でした。味方は私自身しか居なかったのです。

 私は何度も死のうと、高いところにあがったりもしてみました。けど死ぬなんて勇気は無かったので現在に至ります。今は結婚して一女をもうけ、まあ幸せですが、時々、その壮絶ないじめを思い出し、なんとか復讐してやりたいと憎悪の念に駆られます。

 幼い娘がこの事実を知ったら、きっと傷つくでしょう。彼女は知らなくていいことなので、娘には一生話さず、私の胸にしまっておくことにしますが、時々、私の人生を踏みにじってきた男子たちはきっと、私をいじめ、死まで考えるほど追いつめたことなど綺麗に忘れ、幸せになり、のうのうと生きているのだろうかと思うとたまらなく虚しく、悲しく、どうしようもない憎悪が湧き上がってきます。

 鴻上さん、どうしたら、この辛い過去を忘れて生きられるでしょう。どうすれば憎悪を抱かなくて済むでしょうか。ご回答よろしくお願いします。

【鴻上さんの答え】
 やななさん、苦しみましたね。やななさんをいじめ、絶望させ、なのに、おそらく、今はそのことを忘れ、のうのうと生きている男子たちのことを思えば、殺意のような憎悪が湧き上がることは当然だと思います。

 やななさんが、もし、二十代なら、僕は「悔しいけれど、忘れて、前向きに生きませんか。楽しいことを見つけて」と言ったかもしれません。

 でも、やななさんは、42歳になっても、昨日のことのように感じているのですよね。

 それは、やななさんの魂にまで刻まれた深い傷だということです。

 つまり、病院で治療しなければいけない大ケガだと、僕は思います。

 軽い傷なら、素人でも治療できます。親友にアドバイスをもらうとか、恋人や家族に話すとか、です。でも、大ケガは素人が治療してはいけません。まして、一人でなんとかしようと思ってはいけません。それは不可能です。

 必要なのは、自分一人で「忘れよう」とか「復讐しよう」とか悩むことではなく、適切なカウンセリングを受けることだと僕は思います。

 心療内科か精神科かメンタルクリニックか、ゆっくりと話を聞いてくれるお医者さんを探すことをお勧めします。

 5分話して、すぐに薬を出そうとする人は、丁寧に断って下さい。

ちゃんと話を聞いてくれるお医者さんに、30年近く、誰にも言えなかった「いじめられた思い」「彼らに対する憎悪」「家族の無理解に対する憤り」「見て見ぬふりをしたクラスメイトへの敵意」を言葉にするのです。

 その思いを全部、とことんまで吐き出すのです。

 それをずっと聞いてくれて、適切なアドバイスをしてくれるのは、お医者さんしかいないと思います。

「どうしたら、この辛い過去を忘れて生きられるでしょう。どうすれば憎悪を抱かなくて済むでしょうか」とやななさんは苦しみますが、忘れよう、憎悪を抱かないようにしようと結論を出す前に、辛い過去や憎悪と向き合い、ゆっくりと言葉にして、聞いてもらうことが、やななさんが楽になるための大切なステップだと僕は思います。

 苦しい思いは、ずっと心の奥にしまっているからこそ、ずっと残り続けているのですから。

 時間はかかるでしょうが、ゆっくりゆっくり、話し始めませんか。やななさんに合ったお医者さんを探すところから始めることを提案します。

 病院やクリニックの門を叩くことに、最初は抵抗があるかもしれませんが、それは一瞬のことです。30年間、苦しみ続けたことに比べたら、なんでもありません。

「ああ、この人は私の話をちゃんと聞いてくれない」と感じたら、すぐにやめればいいだけです。

 そして、「この人になら、今までの思いを話せる」と感じる人を辛抱強く、探して下さい。これもまた、30年に比べたら、一瞬のことです。

 やななさんが、素敵なお医者さんと出会えることを祈っています。

【AERA dot.編集部からのお知らせ】
『鴻上尚史のほがらか人生相談』をご愛読くださり、ありがとうございます。たくさんの皆さまから本連載への反響の声、ご要望をいただき、このたび『鴻上尚史のほがらか人生相談』を書籍化いたします。発売は9月20日予定です。詳細についてはまた後日、AERA dot.記事内でお知らせします。★Amazonで予約受付中!

【おすすめ記事】66歳男性が風呂場で涙… 友人もいない老後を憂う相談者に鴻上尚史が指摘した、人間関係で絶対に言ってはいけない言葉


このニュースに関するつぶやき

  • 加害者を人格矯正施設に収容して、まともな人間に生まれ変わらせないと、犯罪者を量産することになるだけ。
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  • 助けもしない、加害者の親を殴りにも行かないで無理やり学校に行かせる親が一番の加害者
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