DeNAのブルペンを支える三嶋一輝「投げられることは幸せ」

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2019年09月17日 16:42  ベースボールキング

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DeNA・三嶋一輝 [写真=萩原孝弘]
◆ ブルペンを牽引する存在に

 DeNAのストロングポイントは、去年も今年も強力なブルペン陣だ。

 昨シーズンは、12球団ワーストの「31.47%」というQS(クオリティ・スタート)率(※先発投手が6イニング以上を投げ、かつ自責点を「3」以内に抑えた割合)だった先発陣を、強力なリリーバーたちが支えていた。

 しかし今シーズンは、リリーフ陣のリーダー的な存在だった三上朋也が右肘の故障で早々に離脱、昨年70試合に登板した鉄腕左腕の砂田毅樹も不調でファーム暮らし続いた。極めつけは、セットアッパーのパットンが降板後にベンチの冷蔵庫を殴打して骨折し、戦線離脱となる。

 今シーズンのQS率は昨シーズンよりは改善したものの、依然40%には届かない苦しい状況。しかし、前述の3投手がいない期間、復活した武藤祐太、覚醒した国吉佑樹、フル回転の助っ人左腕エスコバーと共に救援陣を引っ張ってきたのが、昨年リリーフとして60試合に登板し、見事に“復肩”を果たした三嶋一輝だ。


◆ 自己最多登板数を更新中

 今年も10試合を切った秋口、自己最多登板数を更新している状況(※9月16日終了時点で67登板)で、9月に入ってからは4連投をこなしたこともある。もはや連投は当たり前のようになっている状況に、「投げすぎ」の声もあがっているが、三嶋本人は「正直話しますが」と前置きしたうえで次のように続けた。

「投げられることは幸せなんです」

 そのポジティブな思考の根底には、自らの苦しい経験がある。

「二軍でくすぶっていたときもありましたし、投げたくても投げられないことも経験した。連投だろうがどんな場面だろうが、声がかかれば『よっしゃ! 出番だ! 今日もいくぞ!』ってなる」。

 そしてもうひとつ、チーム内の最多登板投手(※9月16日終了時点で70登板)でもある年下のエスコバーの存在も大きい。エスコバーの「今日も“チャンス”が来るだろうね」の言葉が「すごく好きで、いいなと思えた」という。チャンスは日本語で“機会”。文字通り、登板機会を“与えてもらえている”との考え方も、三嶋の心をより前向きにした。


◆ 投げられる喜びを胸に
 
 現在のベイスターズには、守護神の山崎康晃に繋ぐまでの方程式は存在せず、フレキシブルな起用で凌いでいる印象だ。リリーフ陣にとっては難しい状況だが、三嶋は「どこで出るのか分からなければ、準備を広い範囲で行うだけ」と語り、来るべき出番に備えている。

 同じ境遇である「中継ぎの皆で戦って、繋いで勝てたときは最高」と笑顔を見せ、「登板機会の多いピッチャーだからこその、責任ある投球を」という発言の中には、リーダー格としての自覚も垣間見えた。

 気になる疲労についても「意外としんどくない」とキッパリ。それには「頭がしんどいと思ったらダメ。弱気な姿勢は見せたくない」とのマインドによるところが大きいようだ。「試合数を投げなくても怪我はする。壊れたら体力がないだけでしょう」と、登板過多に見える現状も意に介さない。

 「プロとして、こういう姿勢の選手でありたい」と、決して逃げない思考は、ピッチングスタイルと同じで強気一辺倒だ。「いい投球が出来なかったときは疲れますね。アタマを切り替える作業が必要ですから。逆に疲れがとれるのは、しっかり抑えてマウンドを降りてくるとき」と、“気持ちで投げ切る”三嶋らしい言葉が溢れる。

 チームはこの先、ポストシーズンに進出することが濃厚となっている。豪腕リリーバーは、投げられる幸せを感じながら、どんな場面でも強気に腕を振り続ける覚悟だ。


取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)

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  • やればできる子、三嶋一輝☆今日も本当にありがとう!
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