ホーム > mixiニュース > IT・インターネット > IT総合 > コンピュータ同士がだまし合う 「ターミネーター2」に隠された認証シーン

コンピュータ同士がだまし合う 「ターミネーター2」に隠された認証シーン

0

2019年09月18日 12:12  ITmedia NEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia NEWS

写真写真

この記事は認証セキュリティ情報サイト「せぐなべ」に掲載された「架空世界 認証セキュリティセミナー 第22回『コンピューターvs.人間 と認証【ターミネーター2】」(2018年5月24日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。当時未発売だった製品やサービスの記述などは、本記事掲載時の状況に合わせて編集しています。



【その他の画像】



●SF映画の金字塔で認証について学ぶ



 ……それでは講義を始める。



 前回は「プリンセスコネクト!」とその続編「プリンセスコネクト!Re:Dive」を題材に、近未来のウェアラブル端末の脳波認証についてお送りした。いかがだっただろうか。一見柔らかそうなネタに対して、ゴリゴリのハードな最新技術の話をするというのも面白かったのではないかと思う。



 今回はいつもの古典的な認証の話だ。題材は「ターミネーター2」。結構古いSF映画だが、どんな認証シーンが隠されているだろうか。早速見ていこう。



●「地獄で会おうぜ、ベイビー」



 では基本データから紹介しよう。



 前作「ターミネーター」のヒットを受け、ジェームズ・キャメロンが監督し、1991年にロードショー公開された。同年のアカデミー賞で視覚効果賞、メイクアップ賞、音響効果賞、録音賞を受賞しており、その後監督を代えて続編やテレビシリーズも制作されている。



 あらすじを紹介しよう。



 舞台は1994〜95年のロサンゼルス。10年前のサラ・コナーとロボット「ターミネーター」との死闘を知るものはなく、このままだと1997年8月29日に、30億人の人命が失われる「スカイネット」と人類との核戦争「審判の日」が勃発してしまう。



 それを阻止したいサラは、スカイネットを開発するサイバーダイン社の爆破を試みるも未遂に終わり、精神病患者として警察病院へ収監された。一方、カイル・リースとの間に生まれた息子のジョン・コナーは養父母の下に引き取られた。



 「審判の日」に備えるサラによる偏った教育を受けたジョンは、子供ながらにハッキングや武器の知識に精通していた。しかし、母の言動については与太話と断じ、非行に走る日々を送っていた。



 ある日、時空を超えて再び2体のターミネーターが送り込まれる。1体は10年前と同モデルのT-800・モデル101型(演:アーノルド・シュワルツネッガー)、もう一体は変形自在の液体金属で構成された最新モデルT-1000型。2体はそれぞれ共通の目標であるジョンを捜索し、ほぼ同時に発見する。襲いかかるT-1000からジョンを救ったのは、かつてサラを襲ったT-800だった……。



●「イヌの名前は?」「マックス」「ウルフィーがほえてるけど、どうかしたのかい?」



 では、「認証」について見ていこう。まずは細かいネタを2点紹介したいと思う。



 まず、冒頭にジョン・コナーがATMをハッキングし、300ドルをせしめるシーンがある。ジョンは前述の通りサラにハッキングの技術を習っており、これくらいのことは朝飯前だ、という演出なのだろう。この時はATMに突っ込んでいるデバイスで、PIN(暗証番号)を総当たりしているようだ。



 当時のATMのセキュリティがどうなっていたのかは分からないが、現在のATMではこのような単純な総当たりによる突破は不可能になっている。それよりも暗証番号を聞き出したり盗み見たりして、カードも盗むか偽造して、現金を引き出すほうがずっと楽である。読者諸君は安心してほしい。



 続いて、サイバーダイン社の研究所にて保管されている過去のターミネーターのパーツを研究者が見に行く際のシーン。研究者本人と警備員が同時にボタンを押す、二段階認証が設けられていた。もちろん、警備員が声かけをしているため、お互いの本人確認も行われている。



 ちなみに二段階認証と二要素認証は違うというのは第10回の「勇者王ガオガイガー」の記事にも登場している。詳しくはそちらを振り返ってみてほしい。



 さて、ターミネーター2での認証の大きなネタは、T-1000とT-800のだまし合いにあるといっても過言ではない。



 T-1000は液体金属で自由に姿を変えることにより人の目を欺き、例えば警官であると身分を偽って聞き込みを行ったり、ジョンの義母に化けて家でジョンを待ち受けたりとさまざまな策略を巡らす。一方、旧型でジョンを守る立場のT-800もそれを見破るための策略を巡らす。



 代表的なシーンを紹介しよう。T-1000からの追跡から辛うじて逃れたT-800とジョン。家に帰らなきゃと言うジョンに、T-800は家にはすでにT-1000が待ち伏せしているので危ないと言う。「それでも電話しなくちゃ」と言うジョン。電話してみると、さっきけんかしたばかりの義母が妙に優しい。T-800にそのことを告げると、T-800はジョンの声色をまねて話し出す。「妙だな、僕のイヌがほえてる」と言うジョン。ここでT-800は知識認証を仕掛けるのだ。



T-800「イヌの名前は?」



ジョン「マックス」



T-800(電話に向かって)「ウルフィーがほえてるけどどうかしたのかい?」



 義母が本物なら「ウルフィー? あんたの犬の名前はマックスでしょ」とでも言うはずだ。



 しかし、義母からは「大丈夫、なんでもないわ」との返事が。犬の名前の知識がないT-1000が義母に化けているのだ。これにより義母がT-1000に殺害されていることを知ったT-800は電話を切り、逃走を開始する。



●余談:スカイネットは止められないのか?



 ターミネーターシリーズで描かれるコンピュータ対人間の戦争において、人間側はジョン・コナー率いる反乱軍だが、コンピュータ側は「スカイネット」と呼ばれるコンピュータの総体である。



 このスカイネットはT-800の残骸から回収したチップを基に開発されたとされる(その後のシリーズでは若干異なる設定のものもある)。つまり、未来からやってきたチップを解析して技術的特異点(シンギュラリティ)を超えるコンピュータを作り出したということなのだ。技術的特異点については第17回の「BEATLESS」の回でも取り上げているので確認してみてもらいたい。



 さて、果たして技術的特異点に到達したコンピュータを人間は止めることはできないのか?



 同じようなネタはやはりSF映画の名作「マトリックス」シリーズでも見られる。マトリックスでは最終的に人間側代表のネオとコンピュータが和解する形で結末したが、ジョン・コナーはあくまでスカイネットの破壊にこだわっている。



 その方針が正しいのかどうか、筆者は若干疑問である。もしかするとマトリックスでのネオのように、自我を持ったコンピュータと和解する余地はないのだろうか。



●次回はあの世界的大泥棒の活躍に焦点を当てる



 いかがだっただろうか。



 かなりテレビでの再放送が繰り返されている本作だが、若い諸君は元ネタを見たことがなかったりするかもしれない。「溶鉱炉に沈んでいく」ネタだけを知っている諸君は、この機会に見てみると良いだろう。



 また、11月8日には「ターミネーター2」の続編、「ターミネーター:ニュー・フェイト」が劇場公開される。こちらにもさまざまな認証ネタが登場することを期待している。楽しみにしておこう。



 さて次回だが、あの世界的大泥棒「ルパン三世」に焦点を当てて、認証との関わりを見ていこうと思う。最新作「PART 5」はかなり現代のITネタを取り入れているようだが……?



 お楽しみに。それでは本日の講義はここまで!


    あなたにおすすめ

    ニュース設定